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2007年/イスラエル・フランス/87分
原題:BIKUR HATIZMORET
監督:エラン・コリリン
出演:サッソン・ガーベイ、ロニ・エルカベッツ、サレー・バクリ、カリファ・ナトゥール、イマド・ジャバリン
これが今年最初の劇場での鑑賞作品だということが嬉しい~
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はるばるエジプト・アレキサンドリアからイスラエルに演奏旅行でやってきた警察音楽隊の一行が迷子になってしまう・・
コメディなのだけれど全編が詩的で、ユーモアと哀しみが混在して複雑な温かみを醸しだす。
それはあくまで明るい長調の曲の中に宿る哀しみのようであり、また明るさに輝いて描かれた絵画の中にふっと一刷毛の影が射しているようにも感じられる。作品中に流れる音楽は「マイ・ファニー・バレンタイン」、「サマータイム」などと、どこか哀愁を帯びた民族音楽がなのだが、不思議なことにその哀愁の中にそこはかとないユーモアをも感じてしまうのだ。
エジプトとイスラエルという微妙な立場にある2国だけれど、ここではそれは関係ない。あくまで人間対人間、向き合えば同じ人間であり家族もあり、喜びも悲しみも内に秘めているのだ。笑いながら泣き、泣きながら笑う・・・そんな思いを抱いていた。
ところで私はこの作品ツボだったんだけれど、帰りのエレベーターで乗り合わせた一組のご夫婦が「あなた、始まってすぐにぐうぐう寝てるんだもの~。もう一本別の観る?」と話しているのを耳にした。(何しろその一組と私だけだったんで)
う~む、これは案外好き嫌いがあるのかしらん・・・。