偶然神社で猫に出会ったことで幸せの歯車が回り出す、青山美智子さんの『猫のお告げは樹の下で 』に続いて、『ただいま神様当番』を読む。
今回も現状に行き詰まりこじれたOL・小学生・高校生・大学非常勤教師・零細企業社長の5人の登場人物たちが奏でるオムニバス仕立てです。
この5人に共通していることは、朝同じ時間のバスに乗るためにバス停に並ぶこと。
物語はある朝、一番にバス停に来るとバス停の台に落とし物があるのを発見する。
それは今その瞬間一番自分が欲しいもので、それぞれの主人公たちは誘惑に抗えずその落とし物を持ち帰ってしまう。
そして翌朝目が覚めると、腕に大きく「神様当番」という文字が書き込まれていてる。
何事かと呆然としているなか、部屋に見知らぬ小さなおじいさんが座っていて、いきなり「お当番さん、みーつけた!」と言ってくる。
おじいさんは自分は神様なので、お願い事を聞いて欲しいとねだり、それぞれに「わしのことを、楽しませて」とか、「わし、最高の弟が欲しい」などの難題をふっかけ、出来なければその「神様当番」の文字はずっと消えないと言う。
5人はそれぞれ戸惑いながらも、神様の願いを叶えようとするが・・・。
猫に続いて、今回は本当に神様が出てきます(^^)
一見駄々っ子のように主人公たちに願い事を要求するうえに、時には体に入り込んで勝手に体を操ったりまでもしてくる、とんでもな神様。
それでも後から想えば、すべてそれは自分の心の声、自分が欲していたモノだと次第に気づかされていく。
それぞれ5人のストーリーの中で、私のお気に入りはイギリスから日本語の美しさに憧れて、ある大学の非常勤教師としてやってきたリチャード・ブランソンの話。
受け持ったクラスの生徒たちはことごとくやる気がなく、言葉遣いも自分が思っていた美しい日本語ではなく、「ぶっちゃけマジ無理」とかよく分らない若者言葉にも失望するリチャード。
そこで神様の願いは、「わし、美しい言葉でお話がしたい」。
主人公がイギリス人ということで、リチャードが最初に腕に書かれた「神様当番」という文字を見て、思わず「・・・So cool・・・」とつぶやいたり、神様とのやりとりも他の4人と全く違うリアクションがとにかく面白く、この願い事も抽象的でどうかなえるのか予想がつかなかった。
そしてたどり着いた先の”スピークとトーク”
素敵です(^^)
青山 美智子さんが紡ぐ物語の結末は、最後には必ず主人公たちに幸せをもたらす。
そう、その結末は確定なんです。
そんな予定調和的なストーリーに、私はなぜ惹かれるのか。
安定した心地よさも素晴らしいが、それは読後に改めて自分の心の声に耳を傾け、今自分が本当にやりたいこと、自分に必要なことを考えさせられ、そんなことを考えている自分にエールを送っていることがなによりも楽しいから(^^)
ただねえ、今回男子高校生が主人公で、神様の願い事は「わし、リア充になりたい」という話があるんだけど、ツイッターだけの関係だった女子高生とのキュンキュンするほどの恋バナで、さすがにこの年になってこんな話を読まされるのはキツいなって思ってしまった(笑)
さあ、次は何を読もうかな(^^)
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