さっちゃん 空を飛ぶ

認知症で要介護5の妻との楽しい日常を 日記に書き留めたいと思います

さっちゃんは嬉しそうに「散歩、行こ!」と言いました

2021-03-28 22:56:18 | 言葉
昨日は何となく体調すぐれず、散歩には行きませんでした。
喉がほんのほんの少し痛く、僅かに軽い頭痛があって、全身の筋肉痛による(のかな?)倦怠感もあるような気がしていたからです。
端的に言うと、心身ともにシャキッとしてなかったんでしょうね。
今日はほとんどそんな感じも消えて、少しの怠さだけが残っているだけでした。
という訳で、今日は散歩に出ます。

さっちゃんは3時くらいから何となく出かけたがっているようでした。
落ち着かないさっちゃんに、僕は「今すぐは無理だけど、1時間後くらいに出かけようかね」と言います。
そして、いよいよ4時も過ぎたころ。
さっちゃんと散歩に出かけることにしました。
まずはさっちゃんの出かける支度をします。
念のためトイレに行き、部屋着から外出着に着替えます。
それが終わると僕が準備、僕の準備は数分で完了します。

もうこれで出かけるだけ、となった時に、僕はさっちゃんにちょっとだけ意地悪をしました。
「僕はこれから散歩に行くけど、さっちゃんはどうする?」と聞いたんです。
さっちゃんはその質問にはモゴモゴ言うだけで、明瞭には答えられませんでした。
でも、当然のことながら「私も行く」という気持ちは伝わって来ます。

それで、僕は椅子に座っているさっちゃんの両手を掴んで立ち上がらせます。
その時でした。
さっちゃんが元気な嬉しそうな声で「散歩、行こ!」と叫んだんです。
正しい言葉に気持ちもしっかりと載せて、この瞬間にふさわしい会話でした。
言葉は心を表現するものですから、さっちゃんのこの言葉は満点でしたね。

散歩自体はいつもの基本の周回ルートです。
桜並木のところだけ、少し遠回りはしましたが。


▲17:02。多摩川土手(右)のすぐ下にある桜並木です。まだ満開ではありませんが、見頃に入りました。曇天の空なのが残念です。中央の左にベンチが幾つか置いてあるのですが、3組の方々が散歩の途中の休憩をしていました。

基本の周回ルートはこの桜並木の手前から土手を離れるのですが、今日はこの写真の奥まで歩いて、左の抜け道に入りました。
湧水の流れ沿いの散策路を通ります。
今日は鴨が4羽いました。
鴨を見た後に、さっちゃんが「あっ!」と叫んで空を見上げます。
僕に何かを示しています。
僕もそちらを見上げると、アオサギが右から左へ飛んで行きました。
僕が「鴨だよ~」と言っても、あんまり関心を示してくれないのに、実はちゃんと自然をよく見てるんですね。

この散策路から離れるところでは、右上に戻るような感じで坂道を上がって行きます。
その曲がり角に来た時、さっちゃんは明瞭に「こっち行くよ」と言いました。
散歩道とか駅やスーパーへの行き帰りの道は何度も通るので、さっちゃんは道を覚えていることもあるようなんです。
そんな時、「こっち」とか、それに似た発声をしたり、体の動きで示したりすることはよくあります。
でも、今日みたいに正しい文章で「こっち行くよ」とはなかなか言えません。


「散歩、行こ!」と「こっち行くよ」のふたつだけですけれど、十分に嬉しいふたつでした。
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