昼休みの電話が発端。
「どうも、亡くなったらしい。身体を壊していたんだって。俺も詳しいことは分からないんだけど、何か分かったら連絡します。」
夜7時。僕は葬祭場にいた。
綺麗に飾られた祭壇の中央に大きな写真。仕事着で、にっこり微笑む彼。その前にしつらえられた棺の中で、静かに眠る彼の顔は、元々痩せていたのが更に小さくなっていた。
地元でよく知られた大衆酒場の跡取り息子。高校まではふっくらしていたのが、専門学校を出てお店に出るようになってからは、別人のように痩せて。でも、人懐こい笑顔は変わらず、広い店内で家族や友達同士でたまに行くだけの僕を目ざとく見つけ、必ず声を掛けてくれる、優しい男だった。
クラスメートだった時も社会人になってからも、特に親しくしていた訳じゃない。でも、知らせの電話を切った後で、思わず涙が溢れそうになったのを必死に耐えた。お陰で、職場の上司や同僚に余計な心配を掛けてしまったけれど。行かなくちゃ、その思いに突き動かされて、仕事の後で通夜の席に急いだ。
写真の彼は、いつものように、ただ笑っている。
やがて、読経が始まる。弔問客の焼香の列が並ぶ。
ああ、これは儀式なんだ。
残された人達は、もう居なくなった人が居ないことを、こうした段階を踏んで受け入れて行くんだ…。
弔問客は仕事絡みの人が多かったのか、知った顔はあまり居なかった。
ご家族とは面識はないので、どう挨拶していいかも分からなかった。ただ頭を下げた。あちらも、頭を下げてくださった。
今の気持ちを、どう表したらいいか分からない。ぴったりくる言葉が浮かばない。
「どうも、亡くなったらしい。身体を壊していたんだって。俺も詳しいことは分からないんだけど、何か分かったら連絡します。」
夜7時。僕は葬祭場にいた。
綺麗に飾られた祭壇の中央に大きな写真。仕事着で、にっこり微笑む彼。その前にしつらえられた棺の中で、静かに眠る彼の顔は、元々痩せていたのが更に小さくなっていた。
地元でよく知られた大衆酒場の跡取り息子。高校まではふっくらしていたのが、専門学校を出てお店に出るようになってからは、別人のように痩せて。でも、人懐こい笑顔は変わらず、広い店内で家族や友達同士でたまに行くだけの僕を目ざとく見つけ、必ず声を掛けてくれる、優しい男だった。
クラスメートだった時も社会人になってからも、特に親しくしていた訳じゃない。でも、知らせの電話を切った後で、思わず涙が溢れそうになったのを必死に耐えた。お陰で、職場の上司や同僚に余計な心配を掛けてしまったけれど。行かなくちゃ、その思いに突き動かされて、仕事の後で通夜の席に急いだ。
写真の彼は、いつものように、ただ笑っている。
やがて、読経が始まる。弔問客の焼香の列が並ぶ。
ああ、これは儀式なんだ。
残された人達は、もう居なくなった人が居ないことを、こうした段階を踏んで受け入れて行くんだ…。
弔問客は仕事絡みの人が多かったのか、知った顔はあまり居なかった。
ご家族とは面識はないので、どう挨拶していいかも分からなかった。ただ頭を下げた。あちらも、頭を下げてくださった。
今の気持ちを、どう表したらいいか分からない。ぴったりくる言葉が浮かばない。