
「新編 風の又三郎」
宮沢賢治 著
ページを開くと、いきなり
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
という文字が飛び込んできます。「やまなし」という掌編の一節です。
「にほんごであそぼ」でよく出て来る言葉なのに、前に読んだ詩集には見当たらなかったので、気になっていたのですが、こんなところにあったんですね。
全16編の短編からなるこの一冊は、今までの二冊と比べても、シニカルな味わいや死への親和性が濃い感じで、大半がアンハッピーエンド。賢治ワールド全開です。
そんな中、今回僕のお気に入りなのは、表題作「風の又三郎」と「グスコーブドリの伝記」でしょうか。子供たちの生き生きとした描写が魅力の「風の又三郎」に、人としての生き方をあらためて考えさせられる「グスコーブドリの伝記」。両作品とも、読後に深い余韻を残す名作です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます