
「愛のお荷物」
監督 川島雄三
主演 山村聰
(物語)増え続ける人口抑制のため、国会で産児制限を声高に主張する厚生大臣。だが、大臣の女性秘書は彼の息子と交際中で、煮え切らない彼氏に決断を迫るために半ば計画的に妊娠。また、大臣の妻も、四十代後半にして妊娠。国会の論戦も山場に差し掛かった今、身内の妊娠が公になれば、「言ってることと、やってることが、あべこべじゃないか」と野党の集中砲火を浴び、ひいては大臣の進退に関わる事態にもなりかねない。内々に無かったことにしようと画策する大臣に、息子カップルの逆襲が始まる。更に、結婚を間近に控えた次女と不妊に悩む長女夫婦も加わって、いよいよ事態はこんがらがって行くのでありました…。
◇ ◇ ◇
昭和30年公開。先月取り上げた「あした来る人」と同じ川島雄三監督の手によるドタバタコメディです。産児制限や性道徳の確立を信条とする保守政治家の一家に、にわかに巻き起こるベビーラッシュをユーモラスに描きます。
三橋達也さん演じる長男が、最初はいかにも世間知らずの若旦那だったのが、実はそうじゃなかったり、そのお相手の北原三枝さん(石原裕次郎夫人ですね)が、知的で、キュートで、ウエストがびっくりするほど細くて。
やっぱり川島監督はコメディが良いですね。
あくまでもウエットにならない笑いと、全体に漂う良い意味での軽さが心地好い、秀作です。
しかし「産児制限」なんて、今の少子化社会では考えられない話ですよね。昭和30年頃といえば、戦後処理も一段落して、これから高度成長期に入っていこうという時代。今とは隔世の感があります…。
このブログでは、時々、僕の見た映画で面白かったものを紹介しています。割と古い映画が多いので、作品名も監督名も聞いたこともないのが多いかと思いますが、「こんなのもあるんだ」程度に読んでいただければ、幸いです。
川島雄三監督は、個人的にもっと評価されて良いと思っているので、最近好んで取り上げてます。