月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.52 フリクション「CRAZY DREAM」のライブを聴きたい

2022-06-14 15:34:20 | 日本のロック

フリクションの「LIVE1980」を聴いてから興味を持ったわけですが、

最重要音源と言えるものが再発されて、

フリクションの評価が決定的になりました。

それがフリクションのファーストシングルです。

まだPASSレコードがインディーズだった頃のシングルで、

1000枚限定だったとの事。 

CD化で発売が決定してからちょっとした騒ぎになり、

そんなに凄いものなのかと眉唾物でしたが、聴いてみて納得しました。

 

Friction / Crazy Dream (Single Version) - YouTube

 

ファーストアルバムである「軋轢」は、その少し前に入手してます。

 

坂本龍一さんがプロデュースしているアルバムで傑作には違いないですが、

何か物足りないのです。

ファーストシングルの方を聴いてわかりました。

シングルの方が疾走感が段違いなんです。

特に1曲目の「CRAZY DREAM」にやられました。

アルバムバージョンを高速道路を制限速度で走るフェラーリとするなら、

シングルバージョンはサーキットを全力で走るフェラーリですね。

うん、騒ぎになるのは納得ですね。

 

それで考えてみたんです。

「CRAZY DREAM」のライブはどんな感じだろうって。

「LIVE1980」には無かったですからね。

一応、「DUMB NUMB CD」っていうライブ盤には入っていますが、

これは80年代後半のライブなので、出来れば、

レック、ツネマツ、チコヒゲのラインナップでのライブを聴きたい。

 

当時のライブとしては、自主製作で発売された「79 LIVE」 がありますね。

 

 

音質こそよくないですが、演奏自体は文句なしのカッコよさです。

CD化の時には、当時の映像を収録したDVD付きでした。

しかしながら、これには「CRAZY DREAM」は収録されていませんでした。

う~ん、残念。レックも「奇跡的だったかもしれない」

と言っていたライブだけに、聴きたかったなぁ。

 

やはりコレクター間で密かに出回っているような

当時のライブの隠しどりした音源を探すしか方法がないのかな

と思っていましたら、少々反則気味ですが、

意外なところに存在が確認できました。

2005年に発売されたロック画報っていう雑誌の19号。

 

 

特集はフリクションとクレイジーキャッツですが、

これの付録CDにレックが所有しているテープから、

1979年12月15日名古屋エレクトリックレディランドでの

ライブ音源が収録されています。合計15分にも満たない時間ですが、

「79LIVE」の前日のライブ音源になります。

この中に「CRAZY DREAM」が入っていました。

ラジカセで録音されているので、音質はよくないですが、

シングルと同様のアレンジで、熱狂的なファンの歓声も加わり、

圧倒させられます。

難点があるとすれば、余韻に浸ろうと思っていても、

続く曲が同時特集のクレイジーキャッツなので、

気分が台無しのなるところですか。クレイジーキャッツも好きですが、

フリクションとは決定的に合わないですので。

以前は古本を探すしか方法がなかったですが、

現在ではYouTubeを探せば音源自体は見つかりますね。

 

さて映像は残っているだろうかと思い立って検索したのですが、

そういえば東京ロッカーズのドキュメントって見たことなかったな

と思い調べてみました。そしたら何とドンピシャで

「CRAZY DREAM」を演奏している映像でした。

確かDVD化もしていたはずだし、確保しておいた方がいいかなと。

う~ん、灯台下暗しでしたね。

 

Friction (フリクション) - Crazy Dream Live 1979 [60FPS] - YouTube


NO.42 スピードグルー&シンキ「MAAHNGAMYAUH」

2022-05-18 14:08:38 | 日本のロック

2021年は、日本のロックの発掘物が多々あったようだけど、

レコードコレクター誌の恒例のリイシューベスト10で

スピードグルー&シンキのライブ音源の発掘を知った時は驚きました。

ライブ音源なんて存在しないと思っていただけに、これは聴かなければと。

それも40分弱のある程度まとまったもので。

50年前の音源、よくぞ残っていてくれました。

 

スピードグルー&シンキは、

陳信輝(ギター)exパワーハウス、フードブレイン

ルイズルイス加部(ベース)exゴールデンカップス、フードブレイン

ジョーイ・スミス(ドラム)

のスリーピースバンドです。70年代初めにアルバム2種を発売して解散。

ブルース色の強い所謂ニューロックに分類されますが、

日本のバンドとは思えないセンスの良さをしています。

アルバムのアートワークもあか抜けていました。

そんな感じでマニア受けはしたでしょうけど、

一般的には受け入れられなかったようで、

売れ行きは芳しくなかったようですね。

しかしながら、海外では一部マニアに評価が高かったようで、

正式なものかはわかりませんが、海外でもプレスされていたようです。

(昔からオリジナルアナログ盤はレアでしたが、今では状態のいい帯付きなら

6桁価格も珍しくないかと)

フラワートラヴェリンバンド、トゥーマッチと並んで

日本が世界に誇っていいバンドだと自分では思っています。

 

SPEED, GLUE & SHINKI/MAAHNGAMYAUH - YouTube

 

調べ物をしていたら、このアルバムについての

陳信輝さんのインタヴューを見つけました。

流石に年をとったなぁと。

残念ながら加部さんは亡くなられていますが、

陳さんは元気そうでなによりです。

 

スピード・グルー&シンキは終わらない。陳信輝と李世福が語る60~70年代横浜ロック史 | Mikiki


NO.35 アイランド「STAY WITH ME」

2022-04-26 17:04:21 | 日本のロック

ここしばらく、紫関連の音源を聴いていたら、

ふとこの曲も久しぶりに聴いてみたくなりました。

 

紫解散後、各メンバーは、それぞれ別のグループを結成し活動していました。

ジョージ紫さんは、マリナーやオキナワ(そこでヴォーカルをしていたJJが

現在の紫のヴォーカルです)、宮永英一さんは、サンディエゴ、ゾディアック、

イースタンオービット等で活躍。

(イースタンオービットのライブ盤については、いづれ記事を書きたいです。)

そして城間正男、敏雄さん兄弟は、アイランドというライブハウスを経営しながら

同名のバンドで活動していました。

80年代にNHK-FMで放送された沖縄のライブイベントでの演奏、

オキナワの「MAGIC MOUNTAIN WAY」と並んで印象に残っていたのが

アイランドの「STAY  WITH  ME」でした。

泣きのギターソロも良かったですが、

しっとりと歌われる正男さんのヴォーカルが大変印象的でした。

 

時は流れ、レンタルCD屋で探し物をしていた際、たまたまこのCDシングルを

発見しました。確かに昔聴いたあの曲でした。

これはCDシングルを買っておきたいと思い、色々な店を探すも見つからず、

かなり規模の大きなショップでようやく見つけた次第です。

当時は知らなかったのですが、松任谷由実さんが沖縄を訪れた際、

この曲を聴いていたく感銘し、パーソナリティーをしていた

松任谷由実のオールナイトニッポンのエンディングに採用したそうです。

その縁もあってシングル化されたと思いますが、

曲の良さもあって、大ヒットまではいきませんでしたが、

多くの人の心に残る事になりました。

 

Island - Stay with Me - YouTube

 

90年代になると、この曲を含む唯一のアルバムも発売されています。

 

 

紫のようなハードロックを期待すると肩透かしとなります。

どちらかというとAORっぽい曲が多いです。

で、見方を変えてポップスとして聴いてみるとシティポップっぽい曲もあったりで

それ程悪くないんじゃないかと思えてきました。

ジョージ紫さんも1曲提供していて、キーボードで参加もしています。

 

10年ほど前に俊雄さんが死去、正男さんは不祥事で数回逮捕。

もう最高の形でのアイランドは見ることは出来ませんが、

紫の40周年記念ライブの時は、正男さんがゲストで出演していました。

もう高音は怪しくなってきていますが、またライブ活動してもらいたいですね。


NO.31 休みの国「休みの国コンサート1975」

2022-04-15 15:06:04 | 日本のロック

注文したものの品切れ中で、ようやく入荷して手に入りましたので

書かせてもらいます。

 

高橋照幸(カイゾク)さんが率いるユニットが休みの国です。

ジャックスとの関わりの深いグループで、同じ和光大学に通っていた

という縁もあり、また寮の同僚がジャックスの谷野ひとしさんで、

その影響で曲を作り始めたそうです。

ファーストアルバムは、URCレコードの会員制時代に

岡林信康さんのライブとのカップリングで配布されていて、

早川義夫さん以外の後期ジャックスのメンバーが参加しています。

またNO.26でも書いたように、ジャックスも休みの国のナンバーを

演奏することがありました。

音楽性は少々違いますが、休みの国もまた独特な感性を持ったグループかと。

 

今回発掘された音源は、数度のヨーロッパ放浪から帰国後の

活動再開の皮切りとなる重要なコンサートのもので、

高橋照幸さんが自ら録音した6ミリオープンリールを主な音源として、

アンコールを除くほぼ全編を収録したものです。

一度、枚数限定の自主製作盤で一部の音源が発表されていますが、

今回は、より完全に近いもので音質もいいものとなっています。

この時はフリーコンサートという事で、更に谷野ひとしさんや

つのだ☆ひろさんといった元ジャックスのメンバーも出演したとあって、

大盛況だったとの事です。実際にコンサートを観てきた

ジャックスファンクラブの会長の方の解説によれば、

最初は機材の調子が悪く、マイクがヴォーカルを上手く拾えてなくて

聴きづらかったとの事で、アンコールで最初の3曲を歌いなおしたと記載がありました。

 

聴いてみて特に印象的だったのは、この再出発のために作られたという

「白い国籍のスパイ」、そして少々ピッチを速めたバージョンで、

永井充男さんのギターソロが素晴らしい「悪魔巣取金愚」ですね。

休みの国は、ジャックス程のアクは強くないですが、

高橋さんの独特なセンスと音の選び方は、なかなか面白いものがあります。

 

余談ですが、某ディスクユニオンで購入すると、当日のアンコールを収録した

CD‐Rを特典で貰えます。(無くなり次第終了)

 

 

更に余談ですが、このCDの発売の際、谷野ひとしさんとつのだ☆ひろさんが

インタヴューに答えていますので、参考にどうぞ。

 

谷野ひとし&つのだ☆ひろに訊くジャックス、休みの国、そしてカイゾク=高橋照幸のこと | Mikiki

 


NO.28 フードブレイン「新宿マッド」

2022-04-03 01:04:54 | 日本のロック

4月1日に柳田ヒロさんが参加していたエイプリルフールというグループの

事を書こうとしたのですが、またしても所有しているCDがどこかに紛れて

しまい気力を失って書くのを断念。引っ越しの時にしっかり整理して

おけばよかったと今更ながら反省。いい加減何とかしないとなぁ。

 

という事で、柳田ヒロさんの参加したグループでフードブレインという

グループについて書こうかと思います。フードブレインは、

陳信輝さん(exパワーハウス、スピードグルー&シンキ)

柳田ヒロさん(exエイプリルフール)

ルイズルイス加部さん(exゴールデンカップス、ピンククラウド)

つのだ☆ひろさん(exジャックス、フライドエッグ)

によって結成されたスーパーグループで、

1970年9月に「晩餐」というアルバムを発表後に解散します。

このアルバムは実験的要素が強い作品でした。

もっとストレートで荒々しい演奏も聴きたいとは思いましたね。

 

このアルバムしか音源はないと思っていましたが、後日、

これまた若松孝二監督の「新宿マッド」という映画のサントラが

発掘されCD化されました。「晩餐」製作前の録音で、

ベースは加部さんでなく、後に柳田ヒロさんのグループや

ファーラウトに参加する石川恵さんが参加しています。

映画のサントラという事で、タイトルもなくジャムっぽい

演奏やフリージャズ色の強いが多いのですが、

1曲目のM-6とタイトルされた曲は、暴力的なまでの激しい演奏で、

これぞ聴きたかったフードブレインの曲です。

活動期間が短かったからライブ音源発掘は期待出来ないと思うので、

聴けるだけでありがたいです。

 

それにしても、デビュー前のジャックスといい、フードブレインといい、

更には第1期山下洋輔トリオを使ったりと、

若松監督はどうやって見つけて参加させてきたんでしょうか?

今となっては貴重な音源を残してくれて非常にありがたいですが。

柳田ヒロさんに関しては、後に岡林信康さんや吉田拓郎さんのバックバンドを

していたりしていたので、機会があれば書くつもりです。