ケロウナに「日本人会」がないことは前に書きました。日本からの移住者で組織する「日系人会」はあり、その会が主催するゴルフ会が8月12日、13日の両日にわたって開催されたので、興味深深参加させてもらいました。ここのところ日系人づいていますね。
ケロウナから国道97号線を40キロほど北上したVernon郊外のゴルフ場に、オカナガン地方に在住するゴルフ好きの日系カナダ人老若男女およそ100人が参集してワイワイガヤガヤと「楽しそうな」集いでした。
個人がストロークを競う通常のトーナメントではなく、老若男女4人一組のチームが二日にわたって、いろいろな趣向とルールを凝らしたスクランブル方式で、「競う」というより「遊ぶ」、まさに「親睦」の名に相応しいイベントでした。ゴルフ好きが一年ぶりに顔をあわせ、持ち寄った景品を抽選で分け合ったり、スポンサーから集めた賞品、当日集めた金を福引で引き当てたりと、食事をしながらワイワイガヤガヤ。まさに社交の場で、ゴルフは飽くまでもその手段であり、「前菜」「つまみ」なのです。
ゴルフの好きなことは人後に落ちませんが、日系人の知己を得たいという野心も持ち合わせていますが、なんせ知り合いの少ない「よそ者」の哀しさ。昔からの仲間同士で盛り上がっている話の輪の中に入るには、かなり勇気の要る雰囲気です。同じような境遇の参加者2~3人で一つのテーブルにつき、他のテーブルの盛り上がりを遠巻きに眺めた二日間でした。「楽しそうな」集いと敢えて表現した所以です。
ならば、楽しくなかったのかと言えば、そうでもなく、結構面白かったのです。4人のチームメイトの中で一番ハンデが低いということでキャプテンを拝命しました。このホールはパーオンを狙わずにAさん(82歳男性)のティーショットを採用して、アプローチの巧いBさん(48歳男性)の手腕に期待しようとか、私がグリーンを直接狙うから、万一に備えてCさん(65歳女性)は池の手前にレイアップしてくれとか、ホール攻略のための戦略を立てたり、チームの4人がそれぞれに活躍できる場を作るなど、キャプテンの役割も結構大変ながら、狙い通りに展開すると楽しいのです。期待された自分が失敗した時など、ついつい ”I'm sorry, it's my fault!"なんて悲壮な声を出し勝ちですが、所詮今日のゴルフは前菜、つまみなのです。”Having FUN”が目的なのですからドンマイドンマイなのです。
二日間良いところがなかったとしょげ返っていたCさんが、最終ホールの超ロングバーディーパットを決めてくれたお陰でわがチームが第3組グループ7チーム中トップで優勝。賞金100ドルを4人で山分けする時には、戦友同士の連帯感でハイファイブ!
回を重ねるに従って「楽しそうな集い」が「楽しい集い」に進化するのは間違いありません。
伝統ある日系人ゴルフ会に、夏だけ遊びに来ている「一見の客」みたいな我々が参加するのは場違いで、失礼ではないかとの気後れも正直のところありましたが、どこまでも広い心を持つわが同胞諸兄姉は温かく迎えてくれました。心の広さのお返しにお世辞で言うわけではないのですが、同じ日本人の顔でありながら、日系人の顔って、どうしてあのように穏やかなのでしょうか?眉間に「たて皺」を寄せている人にはついぞお目にかかりません。個人的には色々悩みを抱えていながら、それを表に出さないように自制しているのでしょうか?穏やかな気候風土が人間の風貌までを穏やかにするのでしょうか?生活のゆとりなのでしょうか?
ここまで考えて、この疑問にはあまり意味がないことに思い当たりました。日系人だから穏やかなのではなくて、カナダ人だから穏やかなのです。せちがらく、穏やかでない「日本人」と、穏やかな「日系人」とを比較するのではなく、検証すべきは「日本人に比べてカナダ人は何故穏やかなのか」なのです。
何故でしょう?