星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

ケロウナ便り(40) グリーンなりの技術論

2007年01月26日 16時20分22秒 | Weblog

ケロウナのゴルフ仲間(と呼んでは失礼ですが)にはインストラクターの免許を持った方が3人います。今日はそのうちの一人、K師匠に手ほどきを受けたのです。

BigWhiteでもSilverStarでもコースは初級・中級・上級に分かれています。ゲレンデの地図にはEasier (初級で緑色)、More difficult (中級で青色)とMost difficult (上級で黒色)と三色分けされていて、更に上のExtreme Skiing, Expert onlyの4種類のコースがあります。嬉しいのは上級者も初級者も同じリフトで山頂まで行け、同じ山頂から降りてくる緑・青・黒の3コースがあることです。頂上では初級者も上級者と同じ景色が眺められるのです。同行してくれて指導していただく当地のエキスパートスキーヤーと肩を並べてリフトに乗れるのです。

逆に言えば、初級者と言えども上級者と同じリフトで頂上まで連れて行かれるのです。リフトに乗ること約10分、上級者が滑り降りてくる急斜面、樹氷の間を駆け抜けるエキスパートボーダーを眼下に見ながらだんだん緊張が高まります。巧くリフトから降りられるか不安になります。格好よく滑る自習はしたけど、格好よく転げる練習はしていないのです。リフトから降りるときに自分が転んだら後続組みはどうなっちゃうんだろうと、責任感の強い、臆病者の私には心配の種がつきません。

でもすべて杞憂でした。リフトからは格好よく降りられました。その降り方の格好よさから、中級者と勘違いされ師匠に青いコースに引っ張り込まれるところでした。ゴルフで言えば、素振りの音がいいからとレギュラーティーから打たされるようなものです。素振りの音だけはよくても、ヘッドスピードが小さい私はフロントティーが実力なのです。中身より形が先行する私は、往々にして実力以上に過大評価される傾向があります。尤もそれを狙うからこそ形から入っているのですが。

命にかかわる重大な事項だからと師匠と仲間を何とか説得し、青コースをやめて緑コースで指導を仰ぐことで了解をいただきました。「青でもいけると思うけどなぁ」との師匠の囁きは無視したのです。冗談じゃない。40年間で5回目だよ、今日が。

前日の「初心者未満脱皮自主トレ」が奏功して緩斜面の滑りはかなりイケてるほうだと自分でも思います。両足揃えてのスケーティングまがいの動きなんかするものだからまたまた過大評価されるのです。尤もそれも狙いの一つですが。くどいか?

でもでも、自己流の哀しさ、急斜面に来ると見事に化けの皮がはがれるのです。緩斜面ではスケートのエッジを立てる要領で急停止が出来ることを子供達に自慢していた昔を思い出した私は、それを急斜面でもやろうとしたからたまりません。軸足に体重を乗せ切れないうちにスキーはドンドン加速して目の前には新雪の壁!あわてて右から一気に左に方向転換しようとして体ごと左側に捻って・・・、もうその先は何をやったのか訳も分からず、頭から新雪に突っ込んでいました。

片足のスキーはかろうじて目の前にありますが、もう一方のスキーが見当たりません。ストックも3メートルくらい先にすっ飛んでいます。斜面の先の方を見ても片方のスキーの影も形もありません。倒れた周辺の新雪の中に潜った形跡も無いのです。狐につままれたような気持ちになりながらストックで周りの新雪をつつきまわしたら、ストックの先に何やら硬い物が当たります。驚いたことに片方のスキーは表面から50センチほども潜っていたのです。潜った跡はパウダースノーが何事も無かったように綺麗に塞いでいたのでした。こんなこともあるのですね。人間の一人や二人飲み込んでも簡単にその姿を見えなくてしまいそうな、新雪・深雪の恐ろしさを思い知った気がします。新雪の深みに嵌らないように、急斜面での方向転換技術の習得が緊急課題です。

師匠のたまわく「ターンする場合は一旦スキーの先を揃えて傾斜の真下に向けて一呼吸おき、しかる後に曲がりたい方向にスキーの先端を出すんだよ」と。急斜面でスキーを真下に向けて一呼吸なんかおいたら直滑降で落っこちて行っちゃうじゃん!あんたは急斜面を降りるときの恐怖心を知っているのか?と反抗したい言葉を飲み込んで、素直に「はあ、そうですか」と師匠の言葉に従います。従うしかないのです、この場合は。

いや~、目からうろこです。レントゲンの時みたいに「大きく息を吸って~」なんて深呼吸してたら数メートル滑り落ちますが、「一呼吸」とは「一瞬」なんですね。スキーの先端を一瞬だけでも意識的に真下に向けることによって左右のターンがずいぶんと楽に出来るようになるのです。

ターン前に身体を沈めて体重をかけ(down)、曲がる直前に体を起こして(up)ターンに入る。ターンするたびに「ダウン、アップ、ダウン、アップ」と声に出してリズムを取れ。これが師匠のレッスンその②です。ターンの始動のタイミングを少し早めればもっとスムーズに曲がれるだろうとの仲間からのアドバイスもあり、一日で大分進歩した気がします。

もつべきものは良き師匠、良き仲間、そして、なによりも生徒の素直な学習態度ですね。