星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

ケロウナ便り(70) 流れ星

2007年08月15日 06時07分00秒 | Weblog

日本時間で8月13日の夜空に流星群が見られるとの話を聞き、こちらの12日の夜に注目していましたが生憎の曇り空。一日遅れながらケロウナ時間13日夜半に流れ星を探しに出かけて見ました。

と言っても、出かける先はいつもの散歩コース、裏山の新興開発住宅地の空き地。ここには街灯も無く、星空を眺めるには格好の場所とかねてから目星をつけておいたのです。ところが行ってみれば空き地にもかかわらず治安のためか街灯だけが煌々と照っています。その街灯の光が届きにくそうな、一番暗い所にミニバンと普通のセダンと2台の車が微妙な距離を置いて停まっています。

一番暗いからベストポジションに違いない、「あそこに行こう!」と主張する女房を制して、女房より少しは世事に通じていると思っている私は、「いや、待てよ。暗い所が好きなのは流れ星ファンだけじゃないぞ」と大人の配慮を示し、100メートルほど先の道路沿いに車を停め、横から差し込む街灯の光を手でさえぎりながら流れ星を探し続けました。

気温12℃前後、無風ながらジャンパーが邪魔にならない程度にひんやりとした空気が流れる場所にとどまること半時間、車に寄りかかりながらも上空を長時間見上げたので首が痛くなったこともあり、長く尾を引く数個の本格的な流れ星にも出会ったので、「ま、こんなところかな?」と、腰を上げて帰ることにしたのです。

「怖いもの見たさ」というより、自分の判断の正しさを確認したくて、件の2台の車の脇を通ってみると・・・・、車中には人影も無く、ガラスは曇ってもいません・・・???

ミニバンの脇に置かれた何やら大きな物を挟んで大の男が二人ゴソゴソと動いているではありませんか。直径60センチ、高さ2メートルもありそうな筒状の物体がパイプで作った櫓の上に据え付けられていて、脇には折りたたみ梯子まで用意されています。暗がりでよ~く目を凝らしてみると・・・・、どうやら大型の天体望遠鏡のようです。

野次馬根性丸出しで車から降りた私は「流れ星を見に来たのか?」と素朴な質問。この寒空にTシャツ一枚で望遠鏡を覗き込む青年(中年?)は、仕事帰りにこうして星を眺めるのが趣味で、今日も3時間前から来ていると(多分)目を輝かせて答えます。

太陽の2倍の温度を持つナントカ星の、ハロゲン電灯に似た青白い光の点を見せてくれたり、あと何億年か後には消えてなくなる運命にある(dying star)ナンチャラ星が傘をかぶったように鈍く明るく光を放つ様子を、梯子に昇ったり降りたりしながら望遠鏡を調整してくれて覗かせてくれました。何やら暗がりで調べて「あと2分であの方角に人工衛星が飛ぶのが肉眼で見られるはず」との説明。どうやら天体に関するあらゆる情報の詰まった携帯データソースのようなものを暗い中でしきりにチェックしています。

趣味を通り越して病膏肓、「超」の付く「星オタク」に違いありません。「こんな時間に何時間も星を眺めているようじゃ、家族はいないな」「結婚も出来ないな」なんて、星を碌に眺めたこともないのに「星さんぞう」を名乗る私と女房は、なんともロマンの無い話題で盛り上がりました。

2台の車の正体は「ロマンを追う男達」で、世事に通じた私が思い描いた「ロマンスに耽る男と女」ではなかったのでした。カナダの大自然に接するにはまだまだ修業の足りない、助平なCity Boyなのでしょうか、私って?