エンジニアとして優秀かどうか?
いくつか判断基準があると思うけれど、工業力学が面白いと思うか?は重要な判断基準だと思う。
テコの原理などの力の釣り合い
三角形トラス構造に掛かる力の分散
複数の違う力が加わったときの合成力
回転運動から直動運動、あるいはその逆変換
振動の分析
それらの応用として、
コマを回すときの糸の引き方
ピストンとクランクシャフトの変位と運動方程式の構築
ロケットや衛生の打ち上げ軌道の計算
有限要素法で応力計算して、飛行機の構造を最適化する
などができる。
これを、面白いと思うか、面倒でつまらないと思うかで、エンジニアの適性がわかると思う。
面白いからとにかく数式モデル化しようと思えば、様々な複雑な問題を定量的に分析できる。
これを面倒だと思ってしまうと、何も糸口が掴めない。
結果として当然壊れるものが出来上がる。
理工学出身でも、これができる人はあまりいないと実感している。
最近のシーリングライトはほとんどリモコン式だけど、少し前はいわゆるペンダント式が多かった。
天井から吊るした円形蛍光灯と、調光のための紐(ペンダント)。
蛍光灯の部分とペンダント部分の振動数も質量も全く違う。
紐を引いて電気をつけたり消したりすると、しばらく揺れ続ける。
二重振り子と呼ばれる。
ぼんやりと眺めていたりしたが、これは単純なsin、cosなどの三角関数と時間の関数では求まらない、複雑な挙動をする。
これを真面目に解こうとすると、制御工学のラプラス変換やZ変換で、慣性質量系の振動が大元の振動に与える影響や、空気の粘性抵抗や変形摩擦抵抗などをモデルに加える必要が出てくる。
そんなことも、基礎的部分を工業力学では習う。
しかし、真面目に履修する学生は少ない。
一般的には難しすぎて、与えられた課題を解くのに必死か、処理量オーバーして睡魔に襲われる。
今であれば、VTuberなどの3Dアバターモデルの服のスカートやアクセサリーや胸や髪がリアルに揺れるか?といった問題にも適用できるだろう。
キリンの首やゾウの鼻の動きから、ヘビやドラゴンの首の動きをどうモデル化するかにもつながる。
さらなる応用展開としては、人がジャンプする際や格闘する際の力の入れ方もイメージできる。アニメ的表現は、現実的には実現不可能であることも証明できる。
(自分の投げた物体に乗って移動することの意味がわからない…)
ものづくりの基礎の基礎を学ぶ機会なのだけれど、できる人は少ないのが工業力学。
アメリカの参考書を独自に購入して、さらなる応用問題を解いていた学生時代。
今仕事で100%活かしきれているとは思えないが、基礎理論というものは得てしてそんなものかもしれない。
要は、頑張ればやれるか、頑張ってもやれないかが分かっているかどうかなのだと思う。