「有限要素法があるから必要ない」
と以前私の上司となった人が言ったけど、基礎工学がわかってないと、当然わかっているべきことがわからずに、とんでもない間違いを犯します。
犯してからでは遅い間違いをする前に、やっぱり基礎工学が重要だということを、なんとか伝えねば!
と、思った次第です。
・有限要素法の前に、材料強度試験!
「有限要素法は、道具だよ」
と私の指導者であった伯父は言い切った。
有限要素法の前に、まずはその原点となる、材料強度試験がわかっていなければ、上手くいく計算も合わない。
そんな話は以前もした。
鉄鋼が変形するさまは、非常に芸術的であり、破壊的。
じゃあ「材料強度試験のシミュレーションをコンピューター上で行なえ」と言われたら、途方にくれる。
そのくらい複雑で、奥深い現象だ。
そこで観測された、鉄鋼の「応力歪線図」の弾性変形域から、ヤング率を求める。
引張試験で得られる、ほんの数%程度の情報にしかすぎない。
そこから、片持ち梁の弾性変形を求める、「材料力学」が存在し、その先に、「有限要素法」が存在する。
有限要素法はメッシュを切ることが必須だが、どこが応力集中を起こすかがわかっていないと、正確な解を得ることができない。
また、その構造体をどのように支持し、どのような負荷を与えるかなどといった、「境界条件」が正確に定義できないと、解が発散する。
では、どこで応力集中が発生し、どのような境界条件を与えればいいか?は、材料力学をしっかりと学び、その前に、材料強度試験の変形や破断面が頭の中にイメージできないと、シミュレーションの正確さは測れない。
わかりやすい例で例えるなら、料理かな?
どんなにいい料理道具を揃えても、どんなにいい食材を揃えても、一流のフレンチ料理の料理の仕方を知らない凡人には、全く意味がないということ。
上の例えは、一流のスポーツ用品を揃えても、一流のアスリートでない凡人が使っても意味がないと言える。
わかりやすく言い換えれば、豚に真珠、猫に小判。
つまり、ただただもったいない。
・3次元アニメーションの前に2次元アニメーション!
「オタクですか?」
と問われれば、
「ですがなにか?」
と答えますが、3次元でアニメーションを作る前に、2次元でしっかりアニメーションが作れなければ、上手くいかない。
当たり前ですよね?
普通の静止画を描くのだって、本当にたくさんの手法があるし、たくさんの道具がある。
人によってものの描き方は異なるし、捉え方も違う。
仮に同じものをデッサンさせるのに、鉛筆と画用紙だけ渡したとしても、人と時間と状況によって、全く違う絵が出来上がる。
そんな複雑な表現手法で絵が描かれるのに、更に色をつけて動かすのだって大変です。
色の塗り方、動かし方も違う。
力の入れ方や重量感をどうやって表現するかを、たくさん考えて表現するのです。
更にそれを撮影して、エフェクトをかける。
光の効果やゆらぎ、ノイズを加えたりする。
それでやっとアニメーションが完成する。
「人の動きを撮影するドラマのほうがかんたんじゃん?」
あのね、エフェクトは応用できるけど、基本的には空間演出やら脚本、衣装、メイク、大道具、小道具、音声などなどいろんなものの管理で、アニメーションよりたくさんのプロフェッショナルが必要になるんですよ?
学園祭レベルを考えてもらっちゃ困る。
ここではプロの話をしている。
ところがプロがアマチュアを下回ることがたくさんあるという現実も、ここで考えなければならない。
一つの作品にとんでもない執念をかけて、プロ集団を上回る作品を作り出す人もいる。
これはアニメにとどまらない。
GAINAXのメンバーにはそういうオタクがいたわけですよ。
・3次元加工より、2次元加工!
前と同じ文章を使えば、3次元で加工する前に、2次元でしっかり加工できなければ、上手くいかない。
単純に、「真四角のブロックを削り出す」というテーマを与えても、加工方法から研磨、測定方法まで考えると、無数の選択肢が存在する。
また、「どんな材料を」という選択肢が出てくると、材料と加工方法も変わってくる。
プラスチック樹脂と、木、ガラス、鉄鋼では、加工機も加工方法も変わってくる。
もちろん仕上がりの大きさも重要。
どうやって加工するかもそうだし、その品質検査も異なる。
鉄鋼にΦ0.9mmの穴を開けるのと、山に高速道路を通すトンネルを掘るのでは、手法も何もかもが変わる。
それで本題に戻すと、「三次元プリンター」がどんどん出てきているわけですが、これもね、そういった加工方法の違いによる素材表面の変化や、品質検査手法をしっかりわかっていないと、迂闊に触っていいものではないと思うわけです。
単純な意匠形状を作成するのだったらいいけど、機能部品を作ることに関しては、ちょっと賛成できない。
三次元プリンターの表面粗さは、鏡面加工品のそれと比べると、比較にならないほど粗い。
摺動部品に三次元プリンターを使うのは、デモンストレーションとしてはわかるけど、機能部品としては怖いなあと思うのです。
更に自宅にカッティングシート用の「二次元カッター」を導入しましたが、これがまた普通のプリンターと同じようには扱えないわけです。
切るものの厚みとか、細かさなどをしっかり調整しないと、切れても貼れないものを作ってしまう。

これなんか、"S"についてるヒゲのような装飾が切れてもなかなか転写できなかった。
フォントの選択を間違えたと後悔しましたよ。
だから、3次元より2次元をしっかり習熟しないとならないと思います。
・管理職より、最前線!
これはね、ホントに骨身にしみて思います。
現場の苦労を知らない管理職は、管理しないで放任するか、プロジェクトの資金繰りや上層部のネゴをしっかりやってほしい。
現場のことがわからない管理職は、現場技術をしっかり理解把握する前に、憶測で指示を出したりするので、誠に邪魔極まる。
現場技術が全くわからないのが不安なものだから、聴いてくるんだけど、説明を聞いてもわからないし、挙句の果てに、
「わからない説明をするんじゃない!」
と切れる。
マネジメントとして不安なものだから、現場任せにすることができない。
世の管理職よ。
ちゃんと勉強して、ちゃんと自分の仕事をしなさい。
迷惑です。
・経験則より、前提をしっかり確認!
「それだったら、レタスを食べればいい」
以前の職場の先輩が、
「最近風邪ひきやすくて」
という私に何度もいったこと。
その先輩は家族と暮らしている。
そりゃ家族と暮らしているんだったら、レタスをまるまる一個買ってきても消費できるだろうよ。
でも私は一人暮らしだ。
朝にしか家で食事できなかった。
レタスを消費するより、腐らせるのがオチ。
しかも財政難。
更に、自ら風邪をひいたにも関わらず、
「俺なんかレタス食ってるから風邪ひかない」
ひいたじゃん。この間…。
こんな馬鹿らしい会話を毎日続けていると、一言いいたくなる。
「馬鹿が」
最近、この言葉はパワハラになるのでNGだそうです。
自分の経験則だけじゃなく、相手が抱えている問題はなんなのか?をしっかりと確認することが最低限の前提です。
その前提が自分と全く異なれば、結論も変わってくる。
ヘタにアドバイスなんかしないほうがいい。
最近はアドバイスほど自己満足な行為はないと思っている。
このあたり、有限要素法の境界条件にも似ている。
どう支持して、どう荷重をかけたかによって、シミュレーション結果は大きく異なる。
最後の項目で終わりたいと思います。
・数万アクセスより、1人のファン
YouTubeに映像作品を上げていますが、ジワジワ増えて1作品数千アクセスにカウントが増えてきました。
アクセス数少ないと思いますか?
完全オリジナル作品で、いきなり数万アクセスもらったら、逆に変じゃないですか?
本当にいいものは、いつの間にかそこにあって、自然に生活の中に溶け込んでいるものだと考えています。
確かに流行るものは売れる。
でも、一過性のものはやっぱり一過性で、長持ちしない。
歌でいうと、サザンオールスターズの歌のイメージ。
桑田佳祐さんは、夜のラジオ番組では、いろんなキャッチーな音楽と、エロトークを展開する。
でも実際にリリースするのは、「あれ?これどこかで聴いたような?」というメロディー。
キャッチーな曲もありますけどね。
カラオケでもあまり歌われないし、知っている人も少ない。
変な味や変なパッケージのお菓子は一瞬売れるけど、そんなに長続きしない。
食品も芸術も工学も文学も、ありふれて長く愛されるものこそ、大変な価値を持っていると思う、今日この頃です。
と以前私の上司となった人が言ったけど、基礎工学がわかってないと、当然わかっているべきことがわからずに、とんでもない間違いを犯します。
犯してからでは遅い間違いをする前に、やっぱり基礎工学が重要だということを、なんとか伝えねば!
と、思った次第です。
・有限要素法の前に、材料強度試験!
「有限要素法は、道具だよ」
と私の指導者であった伯父は言い切った。
有限要素法の前に、まずはその原点となる、材料強度試験がわかっていなければ、上手くいく計算も合わない。
そんな話は以前もした。
鉄鋼が変形するさまは、非常に芸術的であり、破壊的。
じゃあ「材料強度試験のシミュレーションをコンピューター上で行なえ」と言われたら、途方にくれる。
そのくらい複雑で、奥深い現象だ。
そこで観測された、鉄鋼の「応力歪線図」の弾性変形域から、ヤング率を求める。
引張試験で得られる、ほんの数%程度の情報にしかすぎない。
そこから、片持ち梁の弾性変形を求める、「材料力学」が存在し、その先に、「有限要素法」が存在する。
有限要素法はメッシュを切ることが必須だが、どこが応力集中を起こすかがわかっていないと、正確な解を得ることができない。
また、その構造体をどのように支持し、どのような負荷を与えるかなどといった、「境界条件」が正確に定義できないと、解が発散する。
では、どこで応力集中が発生し、どのような境界条件を与えればいいか?は、材料力学をしっかりと学び、その前に、材料強度試験の変形や破断面が頭の中にイメージできないと、シミュレーションの正確さは測れない。
わかりやすい例で例えるなら、料理かな?
どんなにいい料理道具を揃えても、どんなにいい食材を揃えても、一流のフレンチ料理の料理の仕方を知らない凡人には、全く意味がないということ。
上の例えは、一流のスポーツ用品を揃えても、一流のアスリートでない凡人が使っても意味がないと言える。
わかりやすく言い換えれば、豚に真珠、猫に小判。
つまり、ただただもったいない。
・3次元アニメーションの前に2次元アニメーション!
「オタクですか?」
と問われれば、
「ですがなにか?」
と答えますが、3次元でアニメーションを作る前に、2次元でしっかりアニメーションが作れなければ、上手くいかない。
当たり前ですよね?
普通の静止画を描くのだって、本当にたくさんの手法があるし、たくさんの道具がある。
人によってものの描き方は異なるし、捉え方も違う。
仮に同じものをデッサンさせるのに、鉛筆と画用紙だけ渡したとしても、人と時間と状況によって、全く違う絵が出来上がる。
そんな複雑な表現手法で絵が描かれるのに、更に色をつけて動かすのだって大変です。
色の塗り方、動かし方も違う。
力の入れ方や重量感をどうやって表現するかを、たくさん考えて表現するのです。
更にそれを撮影して、エフェクトをかける。
光の効果やゆらぎ、ノイズを加えたりする。
それでやっとアニメーションが完成する。
「人の動きを撮影するドラマのほうがかんたんじゃん?」
あのね、エフェクトは応用できるけど、基本的には空間演出やら脚本、衣装、メイク、大道具、小道具、音声などなどいろんなものの管理で、アニメーションよりたくさんのプロフェッショナルが必要になるんですよ?
学園祭レベルを考えてもらっちゃ困る。
ここではプロの話をしている。
ところがプロがアマチュアを下回ることがたくさんあるという現実も、ここで考えなければならない。
一つの作品にとんでもない執念をかけて、プロ集団を上回る作品を作り出す人もいる。
これはアニメにとどまらない。
GAINAXのメンバーにはそういうオタクがいたわけですよ。
・3次元加工より、2次元加工!
前と同じ文章を使えば、3次元で加工する前に、2次元でしっかり加工できなければ、上手くいかない。
単純に、「真四角のブロックを削り出す」というテーマを与えても、加工方法から研磨、測定方法まで考えると、無数の選択肢が存在する。
また、「どんな材料を」という選択肢が出てくると、材料と加工方法も変わってくる。
プラスチック樹脂と、木、ガラス、鉄鋼では、加工機も加工方法も変わってくる。
もちろん仕上がりの大きさも重要。
どうやって加工するかもそうだし、その品質検査も異なる。
鉄鋼にΦ0.9mmの穴を開けるのと、山に高速道路を通すトンネルを掘るのでは、手法も何もかもが変わる。
それで本題に戻すと、「三次元プリンター」がどんどん出てきているわけですが、これもね、そういった加工方法の違いによる素材表面の変化や、品質検査手法をしっかりわかっていないと、迂闊に触っていいものではないと思うわけです。
単純な意匠形状を作成するのだったらいいけど、機能部品を作ることに関しては、ちょっと賛成できない。
三次元プリンターの表面粗さは、鏡面加工品のそれと比べると、比較にならないほど粗い。
摺動部品に三次元プリンターを使うのは、デモンストレーションとしてはわかるけど、機能部品としては怖いなあと思うのです。
更に自宅にカッティングシート用の「二次元カッター」を導入しましたが、これがまた普通のプリンターと同じようには扱えないわけです。
切るものの厚みとか、細かさなどをしっかり調整しないと、切れても貼れないものを作ってしまう。

これなんか、"S"についてるヒゲのような装飾が切れてもなかなか転写できなかった。
フォントの選択を間違えたと後悔しましたよ。
だから、3次元より2次元をしっかり習熟しないとならないと思います。
・管理職より、最前線!
これはね、ホントに骨身にしみて思います。
現場の苦労を知らない管理職は、管理しないで放任するか、プロジェクトの資金繰りや上層部のネゴをしっかりやってほしい。
現場のことがわからない管理職は、現場技術をしっかり理解把握する前に、憶測で指示を出したりするので、誠に邪魔極まる。
現場技術が全くわからないのが不安なものだから、聴いてくるんだけど、説明を聞いてもわからないし、挙句の果てに、
「わからない説明をするんじゃない!」
と切れる。
マネジメントとして不安なものだから、現場任せにすることができない。
世の管理職よ。
ちゃんと勉強して、ちゃんと自分の仕事をしなさい。
迷惑です。
・経験則より、前提をしっかり確認!
「それだったら、レタスを食べればいい」
以前の職場の先輩が、
「最近風邪ひきやすくて」
という私に何度もいったこと。
その先輩は家族と暮らしている。
そりゃ家族と暮らしているんだったら、レタスをまるまる一個買ってきても消費できるだろうよ。
でも私は一人暮らしだ。
朝にしか家で食事できなかった。
レタスを消費するより、腐らせるのがオチ。
しかも財政難。
更に、自ら風邪をひいたにも関わらず、
「俺なんかレタス食ってるから風邪ひかない」
ひいたじゃん。この間…。
こんな馬鹿らしい会話を毎日続けていると、一言いいたくなる。
「馬鹿が」
最近、この言葉はパワハラになるのでNGだそうです。
自分の経験則だけじゃなく、相手が抱えている問題はなんなのか?をしっかりと確認することが最低限の前提です。
その前提が自分と全く異なれば、結論も変わってくる。
ヘタにアドバイスなんかしないほうがいい。
最近はアドバイスほど自己満足な行為はないと思っている。
このあたり、有限要素法の境界条件にも似ている。
どう支持して、どう荷重をかけたかによって、シミュレーション結果は大きく異なる。
最後の項目で終わりたいと思います。
・数万アクセスより、1人のファン
YouTubeに映像作品を上げていますが、ジワジワ増えて1作品数千アクセスにカウントが増えてきました。
アクセス数少ないと思いますか?
完全オリジナル作品で、いきなり数万アクセスもらったら、逆に変じゃないですか?
本当にいいものは、いつの間にかそこにあって、自然に生活の中に溶け込んでいるものだと考えています。
確かに流行るものは売れる。
でも、一過性のものはやっぱり一過性で、長持ちしない。
歌でいうと、サザンオールスターズの歌のイメージ。
桑田佳祐さんは、夜のラジオ番組では、いろんなキャッチーな音楽と、エロトークを展開する。
でも実際にリリースするのは、「あれ?これどこかで聴いたような?」というメロディー。
キャッチーな曲もありますけどね。
カラオケでもあまり歌われないし、知っている人も少ない。
変な味や変なパッケージのお菓子は一瞬売れるけど、そんなに長続きしない。
食品も芸術も工学も文学も、ありふれて長く愛されるものこそ、大変な価値を持っていると思う、今日この頃です。