地域、産業別労働組合では、様々な人の相談が寄せられます。
仕事の問題だけではなく、自分の病気や家族の問題、金銭上の問題、国や性別の問題、差別問題、パワハラ・セクハラ、犯罪など様々です。
それらの問題が一気に同時期に訪れて、何が問題なのかさえ、自分でもわからない人もいます。
早いところ相談に来てもらって、第三者からの目線で、それはひどいとか、共感を得られればよいのですが。
自分にも当てはまりますが、それらの問題を個人でなんとかしてしまう人もいます。
完全に対策できればそれはそれで素晴らしいのですが、人は万能ではないので何かしらの抜け漏れ事項が残っていたりします。
それがクリティカルに人生に影響を与える問題だとすると、非常に厄介です。
それも含めて、個人で対応するのではなく、なるべく組織立って複数人で問題を共有するのが重要です。
コミュニティ・ユニオン全国ネットワークなどの地域に根ざした労働組合という組織は、地域や産業を超えて多くの人と連携する必要があります。
県内県外、場合によっては国外も含め、弁護士や司法や行政や政治家や医者や学者などと相談して物事を進める必要もあります。
その重要性を理解している人は、多くの人とのコネクションがあり、問題を一箇所にとどめません。
適切な人や組織を紹介して、よりスペシャリストに相談することもできます。
人によっては、話しても自分の考えを理解されないというのもあるかと思っています。
人に相談できない理由は様々で、社外秘で禁止されているからとか、今まで人との相談を禁止されていたからとか、人を信用できないとか、知っていることの違いとか、好きか嫌いかとか、怖いとか、恥ずかしいとか、プライドとか、政党宗教の違いとか、様々です。
これは、人とのコミュニケーションという根本的な部分で、詰まる所、これさえ上手であれば、問題を問題にせずに切り抜けることも可能です。
嫌いな人さえも味方につけてしまえる能力をつければ、そもそも問題も起こりません。
うまく断る。うまくなだめる。うまく依頼する。うまく説明する。それさえできれば社会生活は相当楽になります。
完璧にそんな事ができる人はいませんし、完璧になる必要もないのですが、その練習をすることはできます。
その場として、労働組合を使っても良いと思っています。
組合費などは月数千円で済むし、変なセミナーや宗教に入るよりよっぽど安全です。
あんまりしつこく勧誘する組合などは避けても良いと思います。
日本では企業別労働組合が正しい組合だと勘違いされていますが、世界的には産業別労働組合のほうが主流です。
中世ヨーロッパの、職能別ギルド時代から続く労働組合は、一般の人達が生きるために当然の権利を主張する、基本的人権に根ざした行動です。
日本でハローワークが行っている職業訓練や職業教育、職業紹介は、西欧では労働組合がその役割を担っています。
逆に、国による職業紹介がありません。
それだけ、一般の人々の自主意識が違うのです。
そもそも国の制度に頼っていない。
国や制度や会社や生活を変えるのが自分たちだという意識がある。
分かってもらえないのではなく、説明できる人がいなかった。話せる人がいなかった。
誰にも理解されずに自分だけで抱え込んでいる。
そのような不幸をなくすだけでもいいのかなと思っています。
日本では労働基準法より先に、労働組合法ができている。
労働者と使用者が対等に話し合うことができれば、そもそも労働基準法さえいらないからです。
実際にはそんなことはないので、基本的なルールは定める必要があります。
社会制度はうまく使う。
社会人としては必要な能力の一つだと思います。