「基本定跡」からは外れている気がしますが、戸辺先生の「石田流の基本」には相穴熊も書いてあるので、調べてみましょう。
この図の辺りの評価値は-100以下で後手ペースです。角の働きが違うからでしょう。駒組が進み
64歩を突くと後手は評価値を損ねます。おそらく
63銀型は穴熊を固めにくいからでしょう。この94歩は86歩同歩同角85歩95角の筋を避けたもの。
石田流本組+穴熊に、居飛車穴熊と腰掛け銀で対抗しています。ここから固め合った図は
評価値は0近辺の互角です。互いにどこから動くか、動くとカウンターを食らいやすいので難しい局面です。
さて戸辺先生は
この図から、46銀44歩55歩
銀を引かせて攻めようと書いています。怖いのは45歩54歩46歩
銀の取り合いのほうで、74歩同歩53歩成同金65桂
43金ならば64角
75銀には構わず53桂成
53同金同角成76銀43金
これで先手が勝ちやすいとしています。評価値は+592の先手有利。相穴熊の場合は玉の堅さが最優先ですから、駒損よりも後手玉に食いついてしまえば勝ちです。
AIに聞くと途中に問題があります。
この図では63金52銀75銀
これが難しくて、評価値は0近辺の互角です。
もっと戻って
ここから74歩に同歩は必然ではありません。86歩の返しがあって
73歩成87歩成は角取りが痛くて後手有利。86同歩74飛75歩87銀は
飛の取り合いですが、97角が働かいないので後手有利、評価値は-510
戻って
86同飛同飛同角89飛
これは66角や47歩成があるので後手の寄せが速いです。評価値は-582で後手有利。
となれば
ここでは86同角しかないのですが、74歩53歩成同金65桂
86歩同角が入っていなければ互角でした。後手は63金52銀85銀でも指せるようですが、ここは57歩同金52金
64角には87飛成ですね。54歩に86飛同歩65歩
86同歩のところ、86同飛には68角でした。この図は飛と角桂の交換、後手が攻めやすいようです。評価値は-460の後手有利。
戸辺先生の解説には穴があるようです。先手が積極的に動いて良しにはなりません。