名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

20190918今日の一手(その924);重い形は危ない

2019-09-18 | 今日の一手

20190918今日の一手

7月6日の名南将棋大会から、私とMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。

 

 

一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。

角と銀香歩3の交換で竜成桂の作り合いです。先手が少し駒得ですが、終盤なので重視しません。

玉の堅さは先手のほうが堅いです。

(相手玉に向かっているものだけ数えて)先手の攻め駒は41銀1枚、91竜は入れてもいいですが73香は数えません。

後手の攻め駒は55角47成桂と持ち駒飛で3枚。

 

総合すれば互角です。

 

何手で詰めろになるか数えてみると、後手玉は52銀成~42成銀で詰めろ、現状は3手すきです。

先手玉は38成桂同金68飛~47銀成で詰めろ、現状は3手すきです。

先手番なので寄せ合いは先手有利です。

 

☆ 大局観として

問題図の少し前で

寄せありと見て72飛成同金41銀としたのが問題図でしたが、この図では後手の攻め駒が少ない(先手玉が比較的安全)なので72香成と攻めるのが正しかったのです。55角は後手の攻め駒なので91竜と交換になっても構いませんでした。

もう一度問題図では

金2枚を持ったら後手玉が詰みます。金2枚取れる形なのでうまくいくかどうか、問題図の前にしっかり読まねばなりませんでした。まあ秒読みなので仕方ないところですが。

持ち駒もないのですから、どちらの金をどうやってとったら寄せになるか考えてみましょう。選択肢は多くないです。

 

☆ 簡単なまとめ

52銀成が自然なようでも疑問手です。

52銀不成が正解です。

この違いが分かるでしょうか。

 

 

× 実戦は52銀成でした。

金を取って角取り(2手すき)なので自然な寄せ方に見えます。64角上41竜(詰めろ)38成桂同金32銀

竜を逃げる余裕はなさそうです。32同竜同玉41銀22玉32金12玉72香成(詰めろ)34歩

33桂(詰めろ)同角同金(詰めろ)同桂32銀成(詰めろ)

後手玉に受けが無くなっていくのですが、ここでは36桂18玉17飛

桂を渡すと先手玉に詰み筋が生じていました。ところが詰将棋の苦手な私は17飛が見えず、28飛同金同桂成同玉38金同玉47金28玉38飛17玉25桂26玉37角成

読み切れないまま追いかけて、37同桂で詰みだったのですが、25玉ならば先手優勢だったようです。(36馬34玉25馬同玉32飛成と進むのですが。)

 

 

○ さて52銀成は先手の負け筋でした。52銀不成が正解のようです。

違いはどこにあるかと言えば、38成桂同金(これはどこで入れるのもある)64角43銀成

52銀を使った詰めろがあるのです。31銀は42歩ですし

32銀は35桂です。

どちらも一手一手の寄りです。

 

後手が42角を移動せずに(角取りではありませんから)32銀と打てば41銀不成

やはり52銀を使えるのです。

 

 

× 他の選択肢としては72香成を考えてみたいところです。

後手の私はこれで負けなのだろうと思っていました。91角32金12玉52銀成

後手玉は詰めろで受けがないように見えます。しかし31角同金68飛

角を捨てて1手稼いだら、この飛打が詰めろなのです。ということは寄せ合いの速度が逆転して後手有利に変わっています。後手はいざとなれば32金の詰めろに銀を取って31銀でまた1手稼ぐことができますから、この寄せ合いは後手の勝ちのようです。

 

 

× 後は61竜

竜取りを回避してから金を取りに行くのですが、51金には72香成くらい。

(51同竜同角72香成も大差はないです。)38成桂同金31銀

後手玉のほうが堅くなってしまいます。

 

 

× 81竜でも

今度はより響きが薄いですから、38成桂同金47銀打

これくらいでも後手有利です。47同金同銀成52銀成64角上

先手玉のほうが先に詰めろになります。

 

 

× 他の手としては47銀同銀成

後手の攻め駒が増えますし、68飛に合駒も必要でしょう。先手の得ではありません。

 

 

× 67金とか

66金とか

こういう手が好手になればよいのですが、金を渡すので後手の攻めは遅くなりません。

 

 

☆ まとめ

52銀成からの途中図を見るとわかるのですが

41銀は働きがあるかもしれませんが、52成銀72成香に働きがありません。小駒だけの攻めで、遊び駒ができるようなことは避けたいのです。言い換えれば重い攻めです。

将棋は面白いもので、一度重い攻め方を選ぶとその後も重い攻め方が最善になったり、そのほうが受けにくいということもあるのですが、それで形勢が良いかどうかはよくよく読まないと指せません。

この裏で、軽い攻め方は感覚で選んでもよいことが多いです。筋よく攻めていれば好手の確率のほうが高いです。軽すぎて攻めが跳ね返されることはあるのですが。

 

この問題では角取りではあるし、52銀成が最善に見えるのですが落とし穴がありました。角をかわされた後が重かったのです。

 

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大山将棋問題集20190917

2019-09-17 | 大山将棋研究

先手番原田先生の手を考えます。

第1問

 

この形で仕掛けが利くのです。

A 35歩  B 45桂  C 24歩

 

第2問

 

駒損でも寄せ合い勝ちのはずでした。

A 84銀  B 84桂  C 43と

 

最後は後手番大山先生の好手です。

第3問

 

A 95歩  B 72金  C 84金 

 

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大山将棋研究(1358);四間飛車に左美濃(原田泰夫)

2019-09-17 | 大山将棋研究

今日の棋譜20190917

昭和44年7月、原田泰夫先生と第17回王座戦です。

大山先生の四間飛車です。

原田先生は左美濃。

大山先生は玉頭位取りへのスイッチを警戒して74歩を先にしたので

原田先生の55角が機敏です。73桂では後に64歩を突きにくいので

大山先生は美濃囲いが崩れました。原田先生の角は追われるままに37へ。

銀冠まで組めれば作戦勝ちです。

あとはどうやって手を作るかです。攻め将棋の原田先生は桂を跳ねて

42飛に55歩。同銀に

45桂同飛56歩。これで銀を取れます。(この指し方は見覚えがあるのですが、原田先生考案でしょうか?)

桂歩と銀の交換ですが、右桂が銀と交換できているのですから、先手十分です。この後の指し方はいくつか考えられますが

46歩42飛は良いとして、55歩同歩は入れずに35歩(取れば34銀)だったでしょう。54桂を打たれて少し差が縮まりました。

原田先生は2筋を攻め

大山先生は66歩から85歩。こういう歩は取るほうが良いのですが

原田先生は8筋を手抜いて攻めてしまいました。

87歩まで利かされて銀冠がゆがみます。

飛先を止められて、47飛は25桂ですね。

36同飛27歩成33と これは先手楽勝のようですが

飛角を取り合って69角は痛いです。(この図で85飛~31飛成が先手でした。気が付かないです。)

飛を取られても角銀交換だけですからひどい駒損ではありません。

この桂は厳しそう。72飛93玉では寄せにくいから、92銀を先に打てば寄り筋です。

67歩を取っても良いのですが31飛。これは馬取りで72銀ねらいです。

馬は取れても68歩成は痛い、形勢はわからなくなってきました。

72銀の詰めろは71金。71同銀不成と取るのもありますが

87金から43と これで間に合うのか?

79飛に44と では甘いでしょう。一回32竜でどうだったか。

89飛成から

98桂を打たされて、72金同桂成92玉。先手玉は詰めろ。後手玉は詰まず。逆転です。

原田先生は上に逃げようとしましたがだめでした。

 

原田先生の作戦勝ちから快勝のはずでしたが、最後に逆転されてしまいました。振り飛車党でも先手をもって考えたほうが楽しいです。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1969/07/01
手合割:平手  
先手:原田泰夫8段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 9六歩(97)
12 9四歩(93)
13 5七銀(48)
14 4三銀(32)
15 5八金(49)
16 7二銀(71)
17 7八銀(79)
18 5二金(41)
19 8六歩(87)
20 7一玉(62)
21 8七銀(78)
22 7四歩(73)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 5五角(88)
26 7三銀(72)
27 3六歩(37)
28 6四歩(63)
29 1六歩(17)
30 5四銀(43)
31 3七角(55)
32 4五歩(44)
33 7七桂(89)
34 1四歩(13)
35 7八玉(68)
36 7二金(61)
37 6六歩(67)
38 8四歩(83)
39 6七金(58)
40 6三金(52)
41 8九玉(78)
42 8二玉(71)
43 7八金(69)
44 2二飛(42)
45 8八玉(89)
46 1三香(11)
47 2七飛(28)
48 8三玉(82)
49 2八角(37)
50 8二玉(83)
51 3七桂(29)
52 4二飛(22)
53 5五歩(56)
54 同 銀(54)
55 4五桂(37)
56 同 飛(42)
57 5六歩打
58 6六銀(55)
59 同 銀(57)
60 5四歩(53)
61 4六歩(47)
62 4二飛(45)
63 5五歩(56)
64 同 歩(54)
65 3五歩(36)
66 5四桂打
67 5七銀(66)
68 6五歩(64)
69 3四歩(35)
70 4四角(33)
71 2四歩(25)
72 6六歩(65)
73 6八金(67)
74 8五歩(84)
75 6四歩打
76 同 金(63)
77 3三歩成(34)
78 同 桂(21)
79 2三歩成(24)
80 8六歩(85)
81 同 銀(87)
82 8七歩打
83 9八玉(88)
84 6七歩成(66)
85 同 金(68)
86 2六歩打
87 3七飛(27)
88 3六歩打
89 同 飛(37)
90 2七歩成(26)
91 3三と(23)
92 2八と(27)
93 4二と(33)
94 6九角打
95 8三歩打
96 同 金(72)
97 6八金(67)
98 3六角成(69)
99 8四歩打
100 同 金(83)
101 8五歩打
102 8三金(84)
103 8四桂打
104 6六桂(54)
105 同 銀(57)
106 6七歩打
107 3一飛打
108 4一歩打
109 3六飛成(31)
110 6八歩成(67)
111 7二銀打
112 7一金打
113 8七金(78)
114 7八と(68)
115 4三と(42)
116 7九飛打
117 4四と(43)
118 8九飛成(79)
119 9七玉(98)
120 9九龍(89)
121 9八桂打
122 7二金(71)
123 同 桂成(84)
124 9二玉(82)
125 7五銀(86)
126 同 歩(74)
127 8六玉(97)
128 9八龍(99)
129 7五歩(76)
130 8八と(78)
131 投了
まで130手で後手の勝ち

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大山将棋問題集20190916

2019-09-16 | 大山将棋研究

先手番大山先生の手を考えます。

第1問

 

いろいろな手がありますが、これは覚えておきたいです。

A 79金  B 65歩  C 47銀

 

第2問

 

後手の駒組をけん制します。

A 37桂  B 26角  C 26歩

 

第3問

 

普通の手なのですが、案外に指せないかも。

A 63歩  B 76銀  C 86歩

 

第4問

 

こういう手は逃してはいけません。

A 62角成  B 53歩  C 72銀不成

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大山将棋研究(1357);中飛車に袖飛車(有吉道夫)

2019-09-16 | 大山将棋研究

今日の棋譜20190916

昭和44年6月、有吉道夫先生と第28期名人戦第7局です。

大山先生の中飛車です。

有吉先生は急戦のようで、大山先生は普通の67銀型を選びました。

78金まで備えても46歩よりも先に36歩とするあたり、位取りを警戒しています。

有吉先生は63金と備えてから袖飛車に。これは古い指し方です。

79金は大山先生が考案した袖飛車対策です。75歩同歩同飛に78飛という意味。有吉先生は44歩と止めて

68金を見て7筋の歩を交換します。

大山先生は高美濃へ組み替えです。有吉先生は43銀から自陣を整備して74金からゆっくり攻めるくらいが普通ですが

76歩59角に45歩同歩65歩。こう指したくなるのはわかりますが、後手陣がしっかりしていないので無理な感じがします。

大山先生は55歩同歩65歩。

有吉先生は金を繰り出して45歩を取ってしまいました。これで収まるならばまあまあかもしれませんが

大山先生は26角でけん制します。

有吉先生の77歩成同銀35歩は突っ張った感じ。後手陣が堅くないので35同歩でも面白くないですが

68飛で64歩を見せられました。63歩ではつまらない、74飛は積極的ともいえるのですが

64歩同銀75歩これは取れず

左銀をさばかれて、結局63歩を打ちます。

銀は後手から取らねばならず

また64に打つのでは少し苦しいでしょう。

それでも飛のさばきを見せ

83銀を打たせたのでまだまだ。大山先生は銀を打っても84角と使えるので指せると主張します。

有吉先生は83銀が残っているので飛角交換でも構わないとしたのですが

結局落ち着けば52飛が仕方ないのでしょう。ここでどう指すかですが

77歩同桂76歩というのはお手伝いです。当然左桂を使われて

53歩を避けて飛を浮いたら72銀不成。銀桂の働きに差が出ました。

55銀から64飛は最善で我慢した感じが出ていますが

54同金でも53歩なのでしょう。

飛金の取り合いは後手玉がさらに薄くなります。

53桂成42歩まで利かせて、59と を払った大山先生が有利です。

壁になっている角を移動して44角のけん制は有吉先生の好手かと思えば

45歩に35角とはできません(43成桂同歩35馬)。成桂を取るのではだめです。

駒の損得としては大差ではないですが、大山先生に気持ちの良い手が多いです。

66銀に同金57飛を打たれてもまだ大丈夫ですが、47金とすれば怖いところもないです。

香を取り合い51香を打たれましたが

52歩から銀香を換えて34香

馬を逃げておいて銀取り(+遠くに竜)です。有吉先生は二枚換えでも銀を打ちますが

竜取りを88角で返したら77銀。97角成88銀打ということでしょう。ここで投了となりました。

 

有吉先生の序盤がうまくないというか、指しやすくなった後の大山先生が強すぎるのか、7番勝負の最終局にふさわしい堂々とした指し回しで、振り飛車の快勝です。中途半端な急戦では美濃囲いの堅さがものを言います。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1969/06/18
手合割:平手  
先手:大山名人
後手:有吉道夫8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 5四歩(53)
5 5八飛(28)
6 4二玉(51)
7 6八銀(79)
8 3四歩(33)
9 6六歩(67)
10 3二玉(42)
11 4八玉(59)
12 6二銀(71)
13 3八玉(48)
14 4二銀(31)
15 2八玉(38)
16 5二金(61)
17 3八銀(39)
18 7四歩(73)
19 6七銀(68)
20 6四歩(63)
21 7七角(88)
22 8五歩(84)
23 7八金(69)
24 1四歩(13)
25 1六歩(17)
26 5三銀(62)
27 3六歩(37)
28 6三金(52)
29 4六歩(47)
30 7二飛(82)
31 7九金(78)
32 4四歩(43)
33 6八金(79)
34 7五歩(74)
35 同 歩(76)
36 同 飛(72)
37 5七金(68)
38 7二飛(75)
39 4七金(57)
40 7六歩打
41 5九角(77)
42 4五歩(44)
43 同 歩(46)
44 6五歩(64)
45 5五歩(56)
46 同 歩(54)
47 6五歩(66)
48 5四金(63)
49 6六銀(67)
50 4五金(54)
51 4六歩打
52 4四金(45)
53 2六角(59)
54 7七歩成(76)
55 同 銀(66)
56 3五歩(34)
57 6八飛(58)
58 7四飛(72)
59 6四歩(65)
60 同 銀(53)
61 7五歩打
62 8四飛(74)
63 7六銀(77)
64 6三歩打
65 6五銀(76)
66 5六歩(55)
67 7四歩(75)
68 6五銀(64)
69 同 飛(68)
70 6四銀打
71 4八角(26)
72 8二飛(84)
73 6九飛(65)
74 7二飛(82)
75 8三銀打
76 7一飛(72)
77 8四角(48)
78 4三金(44)
79 6六歩打
80 5一飛(71)
81 5九飛(69)
82 5二飛(51)
83 3五歩(36)
84 7七歩打
85 同 桂(89)
86 7六歩打
87 6五桂(77)
88 5四飛(52)
89 7二銀(83)
90 5五銀(64)
91 6三銀(72)
92 6四飛(54)
93 6二角成(84)
94 7七歩成(76)
95 5四歩打
96 6八と(77)
97 5三歩成(54)
98 5九と(68)
99 4三と(53)
100 同 銀(42)
101 5三桂成(65)
102 4二歩打
103 5九金(49)
104 5七歩成(56)
105 同 金(47)
106 4四角(22)
107 4五歩(46)
108 5三角(44)
109 同 馬(62)
110 2四飛(64)
111 8二角打
112 6六銀(55)
113 4七金(57)
114 7九飛打
115 6九歩打
116 9九飛成(79)
117 9一角成(82)
118 5一香打
119 5二歩打
120 同 香(51)
121 同 銀(63)
122 同 銀(43)
123 3四香打
124 3三歩打
125 4四馬(53)
126 5五銀打
127 同 馬(91)
128 同 銀(66)
129 同 馬(44)
130 8八角打
131 7七銀打
132 投了
まで131手で先手の勝ち

 

 

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20190916今日の一手(その923);中段玉は寄せにくし

2019-09-16 | 今日の一手

20190916今日の一手

4月7日の名南将棋大会から、Wさんと私の対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。

 

 

一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。

銀と角(歩)の交換で先手の駒得です。

玉の堅さは後手のほうが堅いです。

先手の攻め駒は25飛と持ち駒角銀で3枚。(23歩成とすればもう一枚増えます。)

後手の攻め駒は74飛は数えにくくて56銀55銀の2枚ですが55銀は入れるべきかどうか。

 

総合すれば先手有利です。

 

☆ 大局観として

後手の私が序盤で失敗して、中段玉で粘っています。後手の駒損でも先手玉が不安定なので実戦的には難しいと思っていました。

さて先手としてはもう一息で寄せが見えるかどうかというくらいだと思います。「中段玉は寄せにくし」とは言いますが、大駒が使える時は少し寄せやすいはずです。後手玉を中央へ逃げ出されて追いきれなかった、とならないように、やや遠くから包囲網を狭める感じが良いでしょう。

 

☆ 簡単なまとめ

52銀が次の一手問題のような好手です。

無難なのは48歩など受ける手です。焦って攻めるとおかしくなりそうです。

 

 

△ まず見えるのは23歩成の王手。

と金もできるので自然な手です。43玉61角52歩

後手玉が狭くなりました。54玉を避ける意味でも65銀同銀同歩

これで88角も使えます。簡単に寄せたようですが、77歩成を同角と取りにくい(同飛成~14角がある)から77同金(か同桂か)56銀打83角成54飛

自然に指して悪くないはずですが、後手の飛が働いてくると先手玉も安泰ではないです。波乱がなければ先手が勝つのでしょうが。

 

 

△ 実戦は61角で詰めろです。

これでも52歩なので、23歩成から前の変化と同じにすることはできます。

実戦では23歩成を保留して56金(疑問手)同銀65歩54飛

54飛では77歩成を入れるべきだったかもしれませんが、先手玉が危なくなりました。55歩47歩成69玉74飛75歩同飛66角65飛

角が質駒になったので(67歩22歩83角成66飛同歩58と)

王手飛車の筋ができて後手の勝ち筋になりました。後手としては飛角交換は歓迎なのです。

 

 

△か× 他には22角の王手も見えるでしょうか。

22同玉は詰みですね。43玉に55飛

二枚換えの筋で寄せてみます。55同金同角成57銀成同玉59飛

46歩の存在が大きくて、これは後手の勝ち筋なのです。

 

55同角成ではなくて44銀52玉55銀としても

やはりこの飛打ちが厳しいです。

 

 

○ さて最初の変化の中で出てきましたが、65銀とするのが

攻防の手です。後手としては取るしかありません。65同銀同歩77歩成

角で取ると飛を切られて14角が厄介です。

なので77同桂56銀打に22角

43玉55飛同金同角成57銀成同玉59飛58銀

同じことをやっているようですが、先手玉は66にかわせるので詰みはありません。後手玉は44銀から詰みがあります。よってこれは先手の勝ち筋です。

 

また先手としては65銀同銀の時に45歩を打つこともできます。(23歩成43玉45歩もありそう。)

23歩成や22角もあるので44歩と取るのが大きな手なのです。後手としては22歩か14銀(23歩成同銀)か、2筋を受けなければだめそうで、44歩54銀56歩44銀75歩

先手玉はずいぶん安全になりました。駒得でゆっくり指すことができます。

 

 

△ 45歩を先にすると

45同金には65銀をねらうのですが、45同銀もありますし、57銀成同玉56歩68玉54金

はっきりしません。

 

× 銀を打つ手としては53銀

53同銀同歩成ならば簡単ですが、これは取ってもらえません。57銀成同玉56歩68玉54金

銀を渡すので先手玉がかなり危ないです。

 

 

○ 52銀というのは見えにくいかもしれません。

詰めろですし、52同金は23歩成43玉32角で詰み。ということは絶好手です。22歩41銀成54飛ならば23歩成

後手に持ち駒が歩だけしかないと、23同歩は15角で寄せきれます。

 

 

△ 83角は攻防になりそうなのですが

61角52歩83角成のほうが優るかもしれません。54飛23歩成43玉65銀

というのが継続手ですが、47歩成同金同銀成同玉46銀同玉35金打

83角の利きが止まっている状態で急襲されるのでかなり危険です。

 

 

○ 先手玉が薄いから優勢ではなかったのです。ですから48歩と受けておくと

形勢判断の3つの要素で上回れるかもしれません。後手も22歩と受けたら53歩成同銀56金同銀57歩

45銀ならば先手玉は薄いなりに安定しています。47金と打ち込まれる方が怖いですが、47同金同歩成69玉57と23歩成同歩15角

この角が成立すると後手玉は簡単に寄せられます。

 

後手は22歩と守り合う余裕はなくて54飛

23歩成43玉61角52歩(これを打たせたい)65銀

後手が歩を使った攻めができないので、受けに回っての勝ちをねらいます。

 

 

△か○ 68金としても

受けの意味は同じです。54飛23歩成61角52歩65銀の時に47歩成

後手の攻めが怖いですが、反撃もきついのでなんとかなっているようです。

 

☆ 大局観として

形勢判断の3つの要素を考えれば、先手玉を守るのが無難です。変に攻めるより勝ちやすいのです。簡単に堅くならないのですが、後手の攻め駒が少ないので48歩が普通の良い手でした。

攻めとしては52銀が鮮やかな決め手です。

それ以外の攻めは悪くはないけれどはっきりしません。間違えると逆転されます。感覚的にはちょっと遠くから攻めてみる感じです。単に65銀は有力でした。

 

後手の立場で言えば、形勢が悪い時に中段玉で粘るのを考えてみると良いでしょう。22玉の位置で玉頭を継ぎ歩攻めされて逃げ出しました。22歩と謝らないで先手玉に嫌味をつけて逆転をねらいます。

毎日大山先生の将棋を並べていたのが役に立ちました。

 

 

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第201回名南将棋大会(弐)速報

2019-09-15 | 名将会

今日は第201回名南将棋大会(弐)を行いました。結果速報です。

E級優勝

伊藤孝治さん

F級優勝

岡田仁さん

G級優勝

地下好さん

佐藤健治さん

吉田泰久さん

H級優勝

大西啓雄さん

I級優勝

山田信一さん

J級優勝

栗本聡さん

大野清さん

優勝した方々おめでとうございます。

参加した皆さまありがとうございました。

 

 

 

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大山将棋問題集20190915

2019-09-15 | 大山将棋研究

先手番大山先生の手を考えます。

第1問

 

固められたところですが、これが攻め筋です。

A 45歩  B 84角  C 75歩

 

第2問

 

急がないのが良いのです。

A 84歩  B 53と  C 44歩

 

第3問

 

気持ちよい手があります。

A 27歩  B 35香  C 53と

 

 

 

 

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大山将棋研究(1356);四間飛車に玉頭位取り(有吉道夫)

2019-09-15 | 大山将棋研究

今日の棋譜20190915

昭和44年6月、有吉道夫先生と第28期名人戦第6局です。

大山先生の四間飛車

有吉先生は玉頭位取りです。

大山先生は66銀型で

居飛車は62飛とまわって、ここでの64歩同歩同銀を避けるというのが定跡です。

有吉先生も1歩持って互角の駒組です。

大山先生は銀冠から3筋の歩を切って

37桂を跳ねたら、有吉先生は44歩。無難ですが作戦負けかも。

大山先生は銀を立て直して待ちます。

先手番で作戦勝ち、千日手ではつまらないから大山先生から動きます。55歩同歩同角

有吉先生は64歩同歩54歩

後手だけ6筋の歩を切ったということになるのですが、大山先生は52歩。ねらいは51歩成同飛64歩あるいは51歩成同角45歩でしょうか。

有吉先生は63歩。作戦負けを認めたようなものです。大山先生の66角は84角~51歩成ねらいでしょうか、77桂~85桂ねらいでしょうか。

有吉先生の62飛は77桂に82飛と受けたかったのでしょう。大山先生は51歩成から55歩で揺さぶります。

55歩を取らずに33金寄から玉を固めるのは有吉流です。

でも45歩を取れないのでは先手の作戦勝ちは変わりません。

64歩86歩63歩成87歩成。互いに我が道を行く応酬は

大山先生が84歩で我慢して

香損ですが と金があるから良しと主張します。

有吉先生が36歩~35香とすれば

銀得ではあるのですが、8筋も窮屈です。

どうにか飛を守ったら

44歩には同銀でも34銀でも同じようなものですが、45歩を打たれて

53と が決まりました。

大山先生は銀を取り返して44香。こうなれば攻めるのは簡単です。

33角には43銀くらいで良いでしょう。

有吉先生は角を逃げずに勝負です。

駒を損する攻めなので

あまり厳しくはありません。

大山先生は玉を逃げ出して優勢です。

ここまで。

 

後手番での玉頭位取りは駒組が難しいです。しっかり組んでも手損していると互角にはなりません。77手目52歩からの数手でもう少しあったかどうか。気が付けば大山先生の圧勝でした。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1969/06/10
手合割:平手  
先手:大山名人
後手:有吉道夫8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八銀(39)
12 1四歩(13)
13 1六歩(17)
14 5四歩(53)
15 3九玉(48)
16 4二銀(31)
17 6七銀(78)
18 5三銀(62)
19 5八金(69)
20 3五歩(34)
21 4六歩(47)
22 3三銀(42)
23 6五歩(66)
24 8五歩(84)
25 7七角(88)
26 5二金(61)
27 2八玉(39)
28 4二金(41)
29 5六歩(57)
30 3四銀(33)
31 6六銀(67)
32 4四歩(43)
33 4七金(58)
34 6二飛(82)
35 5五歩(56)
36 同 歩(54)
37 同 銀(66)
38 5四歩打
39 6六銀(55)
40 4五歩(44)
41 同 歩(46)
42 同 銀(34)
43 4六歩打
44 3四銀(45)
45 2六歩(27)
46 4三金(52)
47 2七銀(38)
48 2四歩(23)
49 3八金(49)
50 3三角(22)
51 3六歩(37)
52 同 歩(35)
53 同 銀(27)
54 3五歩打
55 2七銀(36)
56 2二玉(32)
57 3七桂(29)
58 4四歩打
59 5七銀(66)
60 3二金(42)
61 5六銀(57)
62 9四歩(93)
63 9六歩(97)
64 7四歩(73)
65 9七香(99)
66 9二香(91)
67 5五歩打
68 同 歩(54)
69 同 角(77)
70 6四歩(63)
71 同 歩(65)
72 5四歩打
73 7七角(55)
74 6四飛(62)
75 6五歩打
76 6一飛(64)
77 5二歩打
78 6三歩打
79 6六角(77)
80 6二飛(61)
81 5一歩成(52)
82 同 角(33)
83 5五歩打
84 3三金(43)
85 5四歩(55)
86 同 銀(53)
87 5五歩打
88 4三銀(54)
89 4五歩(46)
90 8二飛(62)
91 6四歩(65)
92 8六歩(85)
93 6三歩成(64)
94 8七歩成(86)
95 8四歩打
96 9七と(87)
97 同 桂(89)
98 4二角(51)
99 6四歩打
100 3六歩(35)
101 同 銀(27)
102 3五香打
103 同 銀(36)
104 同 銀(34)
105 3六歩打
106 2六銀(35)
107 8八飛(68)
108 8六歩打
109 同 飛(88)
110 9三桂(81)
111 8九飛(86)
112 8五歩打
113 4四歩(45)
114 同 金(33)
115 4五歩打
116 3四金(44)
117 5三と(63)
118 3三角(42)
119 4三と(53)
120 同 金(32)
121 4四香打
122 同 金(43)
123 同 歩(45)
124 同 角(33)
125 4五歩打
126 4六歩打
127 同 金(47)
128 2七香打
129 同 金(38)
130 同 銀成(26)
131 同 玉(28)
132 2六銀打
133 3八玉(27)
134 6五歩打
135 同 銀(56)
136 3七銀(26)
137 同 玉(38)
138 2五桂打
139 4七玉(37)
140 2六角(44)
141 5六玉(47)
142 3七角成(26)
143 4三銀打
144 3三金(34)
145 5四歩(55)
146 4四歩打
147 3四銀打
148 投了
まで147手で先手の勝ち

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大山将棋問題集20190914

2019-09-14 | 大山将棋研究

先手番大山先生の手を考えます。

第1問

 

後手の陣形の急所です。

A 45同歩  B 24歩  C 75歩

 

第2問

 

これがねらい筋です。

A 41角  B 61角  C 17桂

 

第3問

 

強い受け方です。

A 56金  B 77桂  C 55銀

 

第4問

 

これが早い寄せ方です。

A 15歩  B 17桂  C 32銀

 

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