20190918今日の一手
7月6日の名南将棋大会から、私とMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
角と銀香歩3の交換で竜成桂の作り合いです。先手が少し駒得ですが、終盤なので重視しません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
(相手玉に向かっているものだけ数えて)先手の攻め駒は41銀1枚、91竜は入れてもいいですが73香は数えません。
後手の攻め駒は55角47成桂と持ち駒飛で3枚。
総合すれば互角です。
何手で詰めろになるか数えてみると、後手玉は52銀成~42成銀で詰めろ、現状は3手すきです。
先手玉は38成桂同金68飛~47銀成で詰めろ、現状は3手すきです。
先手番なので寄せ合いは先手有利です。
☆ 大局観として
問題図の少し前で
寄せありと見て72飛成同金41銀としたのが問題図でしたが、この図では後手の攻め駒が少ない(先手玉が比較的安全)なので72香成と攻めるのが正しかったのです。55角は後手の攻め駒なので91竜と交換になっても構いませんでした。
もう一度問題図では
金2枚を持ったら後手玉が詰みます。金2枚取れる形なのでうまくいくかどうか、問題図の前にしっかり読まねばなりませんでした。まあ秒読みなので仕方ないところですが。
持ち駒もないのですから、どちらの金をどうやってとったら寄せになるか考えてみましょう。選択肢は多くないです。
☆ 簡単なまとめ
52銀成が自然なようでも疑問手です。
52銀不成が正解です。
この違いが分かるでしょうか。
× 実戦は52銀成でした。
金を取って角取り(2手すき)なので自然な寄せ方に見えます。64角上41竜(詰めろ)38成桂同金32銀
竜を逃げる余裕はなさそうです。32同竜同玉41銀22玉32金12玉72香成(詰めろ)34歩
33桂(詰めろ)同角同金(詰めろ)同桂32銀成(詰めろ)
後手玉に受けが無くなっていくのですが、ここでは36桂18玉17飛
桂を渡すと先手玉に詰み筋が生じていました。ところが詰将棋の苦手な私は17飛が見えず、28飛同金同桂成同玉38金同玉47金28玉38飛17玉25桂26玉37角成
読み切れないまま追いかけて、37同桂で詰みだったのですが、25玉ならば先手優勢だったようです。(36馬34玉25馬同玉32飛成と進むのですが。)
○ さて52銀成は先手の負け筋でした。52銀不成が正解のようです。
違いはどこにあるかと言えば、38成桂同金(これはどこで入れるのもある)64角43銀成
52銀を使った詰めろがあるのです。31銀は42歩ですし
32銀は35桂です。
どちらも一手一手の寄りです。
後手が42角を移動せずに(角取りではありませんから)32銀と打てば41銀不成
やはり52銀を使えるのです。
× 他の選択肢としては72香成を考えてみたいところです。
後手の私はこれで負けなのだろうと思っていました。91角32金12玉52銀成
後手玉は詰めろで受けがないように見えます。しかし31角同金68飛
角を捨てて1手稼いだら、この飛打が詰めろなのです。ということは寄せ合いの速度が逆転して後手有利に変わっています。後手はいざとなれば32金の詰めろに銀を取って31銀でまた1手稼ぐことができますから、この寄せ合いは後手の勝ちのようです。
× 後は61竜
竜取りを回避してから金を取りに行くのですが、51金には72香成くらい。
(51同竜同角72香成も大差はないです。)38成桂同金31銀
後手玉のほうが堅くなってしまいます。
× 81竜でも
今度はより響きが薄いですから、38成桂同金47銀打
これくらいでも後手有利です。47同金同銀成52銀成64角上
先手玉のほうが先に詰めろになります。
× 他の手としては47銀同銀成
後手の攻め駒が増えますし、68飛に合駒も必要でしょう。先手の得ではありません。
× 67金とか
66金とか
こういう手が好手になればよいのですが、金を渡すので後手の攻めは遅くなりません。
☆ まとめ
52銀成からの途中図を見るとわかるのですが
41銀は働きがあるかもしれませんが、52成銀72成香に働きがありません。小駒だけの攻めで、遊び駒ができるようなことは避けたいのです。言い換えれば重い攻めです。
将棋は面白いもので、一度重い攻め方を選ぶとその後も重い攻め方が最善になったり、そのほうが受けにくいということもあるのですが、それで形勢が良いかどうかはよくよく読まないと指せません。
この裏で、軽い攻め方は感覚で選んでもよいことが多いです。筋よく攻めていれば好手の確率のほうが高いです。軽すぎて攻めが跳ね返されることはあるのですが。
この問題では角取りではあるし、52銀成が最善に見えるのですが落とし穴がありました。角をかわされた後が重かったのです。