なっちこと安倍なつみさんが久しぶりの新曲を出しました。今年、モーニング娘。が発表した曲のうち、カバーではないオリジナル曲が僅か二曲しかない事に憤りを感じている私ですが、なっちは更に可哀想な状況にありまして、なんとこの新曲が今年初の「安倍なつみ」名義のCDです(今年は年頭に舞美とデュエットのCDを出したのみ)。
今月、ハロプロ十周年企画のベストアルバムシリーズが出ますが、そのラインナップに入っている「安倍なつみベスト」が今年の唯一のアルバムです。なっちに限らず、あややもメロンも厳しい状況は同じではありますが。
今回の新曲「スクリーン」は、なっち曲としては久しぶりに作詞作曲つんく♂です。つんく♂がエルダ系に曲提供する際にネックになるのが、やはり歌詞でしょうか。エルダメンバーのような大人の女性に、まさか「ぴよ~ん」とか歌わせる訳にはいきませんから、当たり障りない歌詞になり、良い意味でのつんくらしさが薄まる可能性があります。実際、つんく♂が書くあやや曲はいつからか歌詞がつまらなくなっていました。そして、その後書かなくなっていきました。
なっちに関しても、なっちが大人路線に移行した辺りから、つんく♂は書かなくなっていった訳ですが、替わって女性作詞家の方が安倍なつみワールドに相応しいセンシティブな世界観の歌詞を提供してきました。それらの楽曲群を聴きながら、やはりエルダ系は女性作詞家の方に書いてもらうのが良いなと思わされたものです。
しかし、私には不満がありました。それは「曲」。もう少し踏み込んで言うと「音階」です。
私は、安倍なつみシングルで一番好きな曲は「恋の花」なんですが、この曲の辺りからなっちは歌い方が変わりました。これはいわゆる「つんく♂唱法」が抜けてプラスになっていると感じていたのですが、何故か曲のキーがおかしく感じられようにもなっていました。やたら裏声を使う箇所が増え、それは多分意図的にそうしているのでしょうが、「それは違うんだよな」と私は感じていたのです。なっちの声の美味しい部分はそこじゃないと思えるのです。
なっちの歌声には、どこか陰があり、その陰が生きる…という言い方はおかしいですが、陰が聴き手の心に響いてくるのが中低音の部分。さすが、つんく♂はなっちの美味しい中低音のエリアを把握しているようで、アルバム初期二枚はその美味しい部分が随所で堪能出来ます。1stアルバムなら「一人ぼっち」、2ndアルバムだと「東京みちくさ」が特に良いです。
明るい曲を歌っていても、どこか陰のある歌声が特徴のなっちを一番生かせるのが、やはりなんだかんだでつんく♂だったと、感じられるのが、久々のつんく♂曲シングルである今回の新曲なのです。久々につんく♂であり、なっち曰く久々のアップテンポな曲でもあります。なかなかうまい感じに、メロディと歌声がハマっています。やっぱり、なっちにはつんく♂が一番合うのか?と考えさせられました。
スクリーン - 安倍なつみ
正直、昨年発売されたアルバム「25~ヴァンサンク~」を聴いた時は、なっち曲にはつんくイラネと思っていました。アルバム一曲目の「愛しき人」がいきなり、なっちの歌声の美味しい部分を使いまくりな良曲だったので、他の人が書いても大丈夫だと安心していたのです。
しかし、やっぱり改めて今回思いました。歌手安倍なつみにとってつんく♂は、いわば「ふるさと」みたいなものだと。新曲を聴いていると、なんだかホッとする感じがあります。
さすがに、つんく♂もなっちに~米がどうたら~みたいな歌詞は書かないだろうし、これからも全曲じゃなくていいから書いてほしいです。
そんな安倍なつみさんが、来年も宮本亜門演出の舞台に出る事が決まりました。ハロプロが本来目指している方向性としては、TVバラエティタレントより、こういう仕事をしている人を評価してあげてほしいし、事務所もうまくそれをアピールしてほしいです。本人のためにも、ハロプロのためにも。それは、ハロプロに入りたい!という子を増やすためにも大切な事だと思います。