最近、旅がしたくてたまりません。冬の旅は雪国に出かける事が多いのですが、今の気持ち的には南国もいいなと思っていたりします。要するに何処か遠くへ行きたい訳です。別に日常が嫌になっている訳ではなく、財布事情が苦しい時に限って旅をしたくなったり、(何故か)カメラが欲しくなったりする、一種の現実逃避なのでしょうか。
南国もいいなと書いてみたりしたものの、実は一番行きたい場所は北海道です。私の場合は過去を振り返ってみると、私生活で何か行き詰まったり悩んでいたりしている時に、よく北海道に出かけているような気がします。
行きたいですが、なかなか簡単に行ける距離ではないので(でも、簡単に衝動的に一泊二日で行った事も過去にありました)、北海道は℃-ute春ツアーあたりのお楽しみにしておくとして、北海道の映像を観てみる事にします。読者の皆さんもご一緒に観てみましょう。
ふるさと(モーニング娘。)
http://jp.youtube.com/watch?v=xYTFbs0TJuQ&fmt=18
このPVが撮影された場所は北海道の美瑛(びえい)という所です。ラベンダーで有名な富良野の少し北にある町で、「丘の町」と形容されるなだらかな丘陵の町です。他にも、冒頭の線路のシーンは神奈川県川崎市の南武線向河原駅、なっちがガード下を歩いているシーンは東横線中目黒駅などで撮影しています。
美瑛には以前行った事があります。時期は6月で、富良野のラベンダーはまだ咲いていませんでしたが、湿気の少ない北海道の6月は爽やかで、快晴の美瑛の丘を歩いていても汗をかかず快適な散歩でした。
その美瑛の町で撮られたこのPV。景色、娘。達の表情の演技、この二つが実によくマッチしています。美瑛という場所の景色は、風景写真愛好家にも人気があり、美瑛・富良野の写真を撮り続けた前田真三さんという写真家もいるほど、絵になる風景です。
その美瑛と、東京で孤独な表情を浮かべて歩くなっちの姿を重ねながら、映像は展開していきます。この曲は実質、なっちのソロ曲と言っていいほどの作りで、他のメンバーはコーラス担当です。℃のボーカル編成を、鈴木愛理歌いすぎ!とか言って叩いているアンチ℃-uteの人達に見せてあげたいところです。当時、狼があったら「安倍ゴリ推し」とか叩かれていたのでしょうか?
しかし、この曲は売れませんでした。当時、ASAYANで鈴木あみと売上対決をしたのですが、一位に輝いたあみ~ごに対して娘。は5位に終わり、今までの娘。シングルで最低売上(勿論、1999年当時)に終わってしまいました。でも、改めて聴いてみると良い曲だし、何しろこうして紹介しているようにPVの出来が素晴らしいです。
このPVは歌詞の内容をなぞりながら、その歌詞に出て来る主人公になっちがなりきって演技をしています。この頃から、なっちの女優としての素質は開花していたのでしょう。歌詞で描かれている女性はなっちの事なのではないか?と観る側に思わせるかのような演技です。
そして、歌詞に母親の事が出て来る事に合わせて、メンバーのお母さんが出演しています。後ろ姿ではありますが、各メンバーの横に映る女性がそのメンバーのお母さんです。私は特に中澤姐さんのお母さんに注目しました。お父さんを子供の頃に病気で亡くしている中澤姐さん。姐さんと妹さんを育てたこの方がお母さんか…と見入ってしまいました。この曲の歌詞のような事が中澤姐さんにもあったかもしれません。
そして、曲の最後の伴奏で、メンバーの子供時代の映像がフラッシュバックで流れます。この部分は昔から何度観ても心にズシンと来ます。美しい景色~都会の孤独~母親~そして、幼少時代…。歌詞に合わせて短編映画のような映像が繋がれて終わっていく、そのエンディングを哀愁のあるメロディとともに、小さいメンバーのあどけない笑顔で終わる。ハッピーエンドなような、でもなんか切ないような。そう、例えるなら「夏の終わり」のような哀愁感。「ふるさと」は夏に発売されたシングルでした。
この曲のあとに出たのが、あの大ヒット曲です。つまり、この曲は後藤真希加入前のモーニング娘。の、一つの時代の終わりと言える曲でもありました。その後のモーニング娘。は明るい曲を連発して、世間に「モームス=お祭りソング」、「ハロプロ=つんくの書く変な歌詞を歌うアイドル集団」という認識を植え付けて現在に至ります。
私は、この「ふるさと」までの初期娘。曲が好きで、娘。史上一番のアルバムは「セカンドモーニング」だと思っているのですが、いや「4th 行きまっしょい!」が一番だという人も多く、よくヲタの間でも二つに分かれて意見が交わされたりしています。個人的見解、というか個人的偏見では、この「セカンドモーニング」までの路線を現在風にアレンジして表現しているのが℃-uteであり、「4th 行きまっしょい!」前後の作品を現在風に表現しているのがBerryz工房だと思っています。(ベリの最近のアルバム二枚は、4thやNo.5の頃の娘。テイストが感じられます)
温故知新というには、まだ歴史が重なっていないかもしれませんが、9年前のこのPVを観て、今を噛みしめる…そんな結果にもなりました。そして、現在のモーニング娘。には、この曲のPVを超える作品を作ってほしいところです。モーニング娘。のPVで、私の一番好きな作品です。