バスde温泉

バスで行く温泉旅日記

青島サンクマール@宮崎(青島)

2019-06-16 22:12:14 | 温泉(宮崎県)
毎年の夏休み、ワタシたち夫妻の恒例行事となっている九州の温泉巡り、2017年の夏は宮崎を訪れることにしました。九州は各所に温泉が湧いている温泉密集地帯であるが、宮崎県は温泉の恩恵に恵まれておらず、これまで未訪問だったのです。

旅の冒頭に日南市・北郷温泉でお籠もりした後、鉄道・バスを乗り継いで、宮崎を代表する景勝地のひとつ、亜熱帯植物の生い茂る青島の近くに宿を取ることにしました。
宿泊は青島から漁港や海水浴場を隔てた南側、「鬼の洗濯板」のまっただ中にある「ホテル青島サンクマール」です。このホテルはJAグループの宮崎県農協共済福祉事業株式会社の運営とのこと。これは食材にも期待できますね。

この ホテルへは宮崎駅から宮崎交通バス・青島サンクマール線があり、ホテルの目の前に直通しているが、残念ながらこのバスは1日にたった3本しか運行していないので、宮崎交通の青島BSまで迎えに来てもらいました。

青島サンクマール公式写真より
ホテルは岬の突端の敷地に合わせた先端が半円状になった外観で、屋根の色などから南欧の雰囲気を醸しています。

エントランスを入るとレセプションとロビー、カフェ、ショップを兼ねた吹き抜けの広大な空間。ワタシたちの旅では珍しい巨大ホテルでの宿泊に期待が膨らみます。
チェックインを済ませ、お部屋に案内してもらいます。レセプションのすぐ近くに格子戸で隔たれたスペースに進むと、ここが「旅の蔵」と称するこのホテルに4室だけのちょっといいお部屋が並ぶエリアです。

案内されたお部屋は「野島」と称する6畳二間の和室で約46㎡。やや変形の間取りとなっているのはホテル建物の半円状部分にあるからでしょう。この部屋にはバスルームとは別に、バルコニー部分に専用の露天風呂が設えられています。

大きな窓からは日向灘と鬼の洗濯板が一望、海を隔てた先の小島は青島ですね。椰子の木と篝火がリゾート感を漂わせています。青島神社の赤い鳥居がなければここが日本とは思えないようなダイナミックなロケーションです。

このホテルには天然自噴の自家源泉があり、本館2階の大浴場はもちろんのこと、離れにある共用の貸切露天風呂や、この部屋付き露天風呂にも温泉が引かれています。
貸切露天風呂は1回のみ無料で45分間利用できるとのこと。まずはこの貸切露天 温泉を味わうことにします。レセプションで鍵をもらい、離れに向かいます。
貸切露天風呂は2室並んでおり、岩風呂風になっています。貸切にしては広々としているので、もしかしたら以前は男湯と女湯だったのかもしれません。

お湯は澄明で、無味ながら石油のような鉱物臭があります。浸かってみると、独特のねっとりとした肌触り。これはきわめて特徴的な温泉といえます。加温なので純粋な掛け流しとは言えないが、お湯の鮮度に問題はありません。

目隠しの囲いの中央が開放できるようになっていて、開けると日向灘と鬼の洗濯板が眼前に広がります。ここも抜群のロケーション。広々とした浴槽を独占して大きな海と広い空を眺める…45分間と時間限定ではあるが、贅沢を味わえます。

部屋付きの露天にも同じ湯が供給されています。こちらでは必要なときに蛇口を開けてお湯を満たすようになっていて、約10分ほどで、五右衛門風呂のような浴槽にお湯が満ちてきます。

こちらでもねっとりとした浴感で、独特の鉱物臭を漂わせています。目隠しの一部に開けられた小窓を開けると、こちらでも日向灘と鬼の洗濯板が眼前に広がり、パームツリーと篝火が望めます。


この篝火は温泉の副産物として湧出するメタンガスを燃やしているもので、雰囲気を醸成するというよりは、環境保護を目的としているのだそうです。
潮騒の中、篝火を眺めながらねっとりと体にまとわりつくお湯に浸る至福…南国らしい温泉情緒がここにありますね。

このホテルでの食事は2階の「お食事処 くろしお」でいただくことになります。宮崎の特産品を活かした料理の詳細は食べログで。


この青島・日南海岸一帯は、その昔、新婚旅行のメッカとして大いに賑わったこともあったのだが、ブームも去り、今ではいささか寂れた観光地となっていると聞き及んでいました。
ところが実際来て見ると、外国人観光客でそれなりに賑わっているとともに、この時期は海水浴客で賑わいに拍車をかけている様子。9月になれば海水浴客が落ちつくとともに、伊勢海老が解禁になるとのこと。次回もし来ることがあるなら9月にしよ!

合歓のはな@北郷温泉

2017-08-28 10:28:48 | 温泉(宮崎県)
ちょっと贅沢な夏休みを目的に、九州の温泉を巡ることが、ワタシと妻殿との恒例行事。今年はどこを巡ろうかとあれこれ思案していたが、さすがにネタが尽きてきた。
そんなときにふと思いついたのが宮崎県です。温泉の豊富な九州ではあるが、唯一、宮崎県にはこれといった温泉が無いので、今まで敬遠してきたからですね。
 
ネットであれこれ調べてみると、日南市・北郷温泉のはずれに10棟の離れのみの素敵な湯宿があるではないか。早速行程を立て、夏期休暇を調整したうえで、このお宿を予約しました。
 
JR日南線・北郷駅が最寄りとのことだが、駅からはけっこう距離があり、バス等の公共交通もなさそうなので、事前に到着時間を伝えてお宿の方に迎えに来てもらいました。駅で待っていてくれたのはややお年を召した上品な紳士。後で知ったのだがこの方がお宿のオーナー社長とのこと。
 
旧飫肥街道にまつわる由緒のレクチャーを授かりながら高級車のレクサスで山中へ、飫肥杉の生い茂る猪八重渓谷に至る細い道の終端近くにお宿のアプローチがありました。ここは2008年にオープンされたということで、それまで宮崎市内で老舗旅館を経営されていたのだが、プライベートが優先される現在のニーズに合わせて、一家ごと、この自然に富んだ猪八重渓谷の畔に移転してきたとのこと。
 
車を降りて小道を進んだところにエントランスがあり、ここが管理棟。中に進むとレセプション、バーラウンジ、ショップが配置されています。バーに腰掛け、宿泊手続き とともにウエルカムドリンクのサービスがあります。
 


ウエルカムドリンクは宿オリジナルの「ドライフルーツティー」、またはミニビール。ピーカンナッツが添えられています。バーカウンターの背後には渓流がさらさらと流れ、傍らの書棚にはさまざまな本とDVDが納められています。
 

暫しの休息の後にスタッフの案内で離れに進みます。今回予約していたのはプレミアムスイート「花」。ビオトープに沿ったプロムナードを進むと、宿泊の並ぶエリアとなり、各棟が渓流に沿って建ち並んでいます。
 


離れ専用の門をくぐり、様々な低木が植わったアルコーブを抜けると玄関となる。このプレミアムスイートは平屋造りで、広いリビングとキングサイズベッドが置かれた寝室、ダブルベッドが 二つ並んだ第2寝室、バスルーム、パウダールーム、トイレから構成されています。この広さなら家族4人でも充分。ワタシたち2人にはむしろ広すぎる…
 

掃き出し窓からは猪八重渓谷を借景にしたこの棟専用のお庭と、何よりものお楽しみ、源泉かけ流しの露天風呂が設えられています。風呂には屋根が造りつけられ、これなら雨の日でも安心して入浴できますね。
 

パウダールームには洗面ボウルがふたつ。アメニティも充実しています。広いバスルームから露天風呂に直接つながっており、開放感も満点。ただしバスルームのお湯は白湯なので、ワタシたちの滞在中、結局いちども浴槽にお湯が満たされることはありませんでした。
 

猪八重渓谷を眺めながら湯浴みのできるこの露天風呂。大人 二人がゆったり浸かることができる広さを持ち、奥側は浅くて寝湯として浸かれるようになっています。ここは24時間、いつでも気兼ね無しに湯あみできる贅沢を味わうことができます。

 
浴槽に満たされている湯は澄明で、一応掛け流しにはなっているが、加温により40~41℃くらいに調整されています。泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉。仄かな硫黄の香りとともに僅かに塩気が感じられます。北郷温泉は集中配湯で、そこから3kmほど離れたこの旅館までパイプで送られているそうで、なめらかなでマイルドな浴感なのは劣化によるものなのかもしれません。なので厳密な意味での掛け流しではないと言えます。
 

とはいえ、澄み切った水と空気、さまざまな形や色の植物、鳥やカジカ の鳴き声、どこからともなく現れる虫…こんな大自然に包まれた、清澄な環境の中での入浴は快適そのもの。些細なことは忘却の彼方です。
 

施設内や部屋にはところどころに置物や絵が飾られているが、それらすべてが和風のもの。モダンなインテリアにも妙にマッチしているのが面白い。これらは以前の旅館にあったものを移してきたのでしょうか。老舗旅館のDNAを感じさせますね。
 

このお宿での食事は食堂棟のレストラン「BASARA」の個室で創作会席をいただくことになります。夕食は18時から20時までの間の任意の時間に行けば、専用の個室が用意されています。到着日の夕食は掘り炬燵の部屋が用意されていました。
 
料理の詳細は「食べログ」のレビューで詳しく紹介しています。
 

このお宿は本当に周りに何もない、ただ自然があるのみの一軒宿。当初、2日目に渓谷まで外出しようかと思ったが、小雨と雷のため中止、お昼におにぎりとうどんを部屋に持ってきてくれたこともあり、結局敷地内から一歩も出ずに一日を過ごしました。
 

湯に浸かる以外は何もしないという実に贅沢な時間を過ごすことができ、実に深い休息を得ました。ここは身も心も癒やす力を持ったお宿といえるでしょう。