・場所:石見交通、広島電鉄(高速バス)・有福温泉BS
・泉質:アルカリ性単純温泉 45.5℃
・訪問日:2009年4月12日
鷺の湯温泉は旅館3軒の小さな温泉地だが、その発見は西暦700年代と歴史は古く、その昔、一羽の白鷺がこの湯で脚の傷を癒したという伝説からこの名となったとのこと、まあありがちな逸話ですが…
そのごく小さな旅館街の奥に「安来節屋」という土産物屋というか、どじょうすくい体験道場のようなよくわからんお店があり、そこの離れが「どじょうすくいの湯」という温泉施設です。
まるで民家の離れのような造りの建物があり、にわかに信じがたいがここが温泉なのです。
3畳ほどの浴槽には無臭で透明なお湯が掛け流されています。露天はないが、大きな窓からお庭を眺めることができ、経営者の思い入れが感じ取れます。ウイークデーにもかかわらず、常連と思しき客が立ち代り…聞くと、スポーツで痛めた肩を癒すのにここがいちばんだとのこと。
JR山陰本線・安来駅、または荒島駅から安来市広域生活バス(イエローバス)で20分~30分。安来市郊外の飯梨川沿いにある、旅館がたった3軒だけの小さな温泉街が鷺ノ湯温泉です。
開湯は古く724年~729年の間とされ、白鷺が傷を癒していることから発見したという開湯伝説から鷺の湯温泉と呼ばれるようになったとのこと。
130点におよぶ横山大観の作品と日本庭園で有名な足立美術館のすぐ隣にあるこの旅館では、ここの食堂でのマクロビオティックの食事に+500円で旅館のお風呂をいただくことができます。
まずは食事です。ここでいただけるマクロビオティックランチ(1,500円税別)は、マクロビオティックの本来の姿である皮や根も捨てずにひとつの素材を丸ごと使うのと違って、旅館の提供するものにふさわしく美しく加工されています。
マクロビオティック (Macrobiotic) とは、玄米や雑穀、全粒粉の小麦製品などを主食とし、植物性の自然食を中心とした食生活法や食事療法のこと。玄米ご飯と厳選オーガニック素材のお料理の数々で、メインはおからの揚げ餃子。植物性の優しい味わいながら、煮物などは意外にしっかり味付けされています。健康食的な悲壮感はありません。
食事の後がお楽しみの温泉です。こぢんまりした内湯には澄明なお湯がこんこんと掛け流されていて、舐めてみてもほぼ無味無臭。浴感に特徴はないがサラッとした素直な湯質です。
岩風呂になっている露天は、広くはないが丁寧に手入れされているお庭に面していて実に雰囲気がある。オーガニックな食材と、オーガニックなお湯…この合わせ技で実に心に残るお宿だといえます。
・場所:安来市広域生活バス(イエローバス)・鷺の湯温泉BS
・泉質:含放射能-ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉 51.6℃
・訪問日:2009年11月3日
ここ出雲湯村温泉は出雲国風土記に「漆仁の湯」とされる歴史ある温泉。しかし、夢千代日記であまりにも有名になった兵庫県の湯村温泉と区別するため、いまでは出雲湯村と呼ばれるようになっています。今夜の宿は「国民宿舎晴嵐荘」。公共の宿なので、客室は狭くて質素、仲居さんすらいないながら、料金は格安です。
安くて簡素なサービスな、庶民的な宿なのにもかかわらず、増築されたような真新しい浴室棟があり、ここに湯村温泉の柔らかい、優しいお湯が満たされています。温泉にはかなりの力を注いでいるようですね。現に昼間は地元の日帰り客でかなりの賑わいを見せている。確かに宿泊だけでは施設の維持は難しいんでしょう。
露天風呂は周囲の山々が見渡される絶景で、ここでも新鮮なお湯がジャバジャバ掛け流されています。ここのお湯は少し温く、長湯を楽しめるワタシ好みのお湯です。日帰り客のいなくなる深夜に、上質なお湯をひとりで楽しみました。
国民宿舎なので、食事は食堂でいただきます。ご飯を装うのもセルフサービス。しかし、ひとり旅のオッサンにはこんなフランクなサービスのほうが合ってるような気がします。仲居さんに付きまとわれるのも気が引けるしね。料理の質は…まあこんなもんでしょ。
JR木次線・木次駅より雲南市民バスで国道314号線で15分ほど斐伊川沿いを遡ったところにある、出雲湯村温泉唯一の共同浴場です。
この温泉場は出雲国風土記に「漆仁の湯」とされる歴史ある温泉ながら、夢千代日記であまりにも有名になった兵庫県の湯村温泉と区別するため、いまでは出雲湯村温泉と呼ばれるようになっています。
斐伊川の両岸に1軒づつの旅館(うち1軒は一時休館中)しかない鄙びた温泉だが、鉄道の開通までは出雲と広島を結ぶ街道の宿場として栄えていたとのこと。今ではその鉄道すら危うい状況ではあるが…
その鉄道の息の根を止めるがごとく快適に整備された国道バイパスにあるバス停から、坂道を下り斐伊川を対岸に渡ると現れてくるこの共同湯は、その2軒の旅館のうちのひとつ、元湯の「湯乃上館」が運営する共同湯です。
2002年に立て替えられた木造の建物は、小さいながら小洒落た造りで、内湯と露天風呂が設けられています。
浴室内の溜め枡に澄明で無味無臭な源泉が一旦木桶に注がれ、そこから斐伊川を望む浴槽にジャブジャブ流れ落ち、内湯の湯船を満たします。
そしてその湯はさらに露天湯へ流れ、最後は川に捨てられる、見事なまでのお湯の利用法です。ここのお湯は少し温いので、じっくり長湯を楽しむことのできるお湯です。
・場所:雲南市民バス・湯村温泉BS
・泉質:アルカリ単純泉 44.1℃
・訪問日:2006年6月25日
「出雲国風土記」にもその名を残す海潮温泉は、雲南市の山間、斐伊川支流の赤川沿いに約1,200年前に発見された歴史ある温泉とのこと。しかし、現役の旅館は3軒だけ。それ以外には、営業しているのかいないのかよくわからないスナック1軒と、廃業旅館の廃墟が骸を晒しているだけの、ごく小さな温泉地です。
そんなあまりにも鄙びた温泉街の、これまたはずれにある共同湯がここ「かじか荘」です。ここには管理人が居らず、左の写真の賽銭箱に入浴料を投入してスタンプを押す方式。入浴客の善意によって成り立っています。
4畳ぐらいの浴槽に源泉がそのまま掛け流されています。お湯は無色透明で僅かに硫化水素臭が感じられる…温泉の名前から塩辛いのでは?っと予想していたが、舐めてみると無味。特にコップを置いてるわけではないのだが、飲泉はできそうな感じです。
熱い場合は蛇口を絞るように掲示してある。ワタシはは少し熱いと感じたが、地元の人たちは満足そうに浸かっているので、一介の旅行者が余計なことをしないほうがよさそうです。無名ながら一級品の温泉に出会いました。