バスde温泉

バスで行く温泉旅日記

くじゅう飯田高原BOSCO@大分(九重)

2015-10-01 23:02:23 | 温泉(大分県)

大分県の西部、熊本県との県境が複雑に入り組む久住山北麓一帯は、阿蘇くじゅう国立公園の一部、標高が800~1,200mの飯田高原と呼ばれる高地です。

ゆるやかな起伏をもって草原のうねりをみせる風光明媚な高原として、別府・由布院と阿蘇とを結ぶやまなみハイウェイ開通を嚆矢として、九酔峡、九重夢大吊橋などの観光開発により、夏は避暑地として人気のエリアとして知られています。

この飯田高原の一角、湯坪温泉にほど近い森の中に佇むオーベルジュを今年の夏休みのお宿にすることにしました。本来、路線バスで旅をする主義を持っているのだが、どうしても路線が繋がらないため、趣旨にはそぐわないが今回はレンタカー。

前日宿泊した壁湯温泉方面からガードレールもない人気のない峠道をカーナビを頼りに進むこと30分、それまでの山道から一転、のどかな高原が広がったところに、見過ごしてしまいそうな小さな標識を発見。

中に進入すると、駐車場の奥に欧州にワープしたかと錯覚するような建物が現れました。ここが2泊3日でお世話になるオーベルジュのエントランスです。車を停めるとすぐに若い男性スタッフが「お待ちしておりました…」っと飛び出てきて、チェックインをする間に、荷物を部屋まで運んでおいてくれました。

本館を入ると実に上品なインテリアに囲まれたレセプションデスクがあり、ここで手続きを済ませて、その横のリビングのような場所でしばしの休憩。冷たいおしぼりとともにハーブティー、そしてポルヴォローネというスペイン菓子を出してくださいました。

今回、ちょっと贅沢をして宿泊棟の一般客室ではなく、「Casa Suite Room」に宿泊です。長期の滞在にも向いているという、文字通り「家」として各棟が独立している言わばヴィラ。天井の高い広さ49m2の開放的な部屋にセミダブルのベッドがふたつ、さらに昼寝用のデイベッドが備わっています。

テラスに出ると、鳥の鳴き声をBGMに美しい山容の涌蓋山が眺められる。ときおり牛の鳴き声が聞こえるので近くに牧場があるんでしょう。アメニティーも充実していて不足はない。またDVDが備わっているとともに、Wi-Fi環境も整えられています。

このCasaの白眉はもちろんお風呂。かなり広いバスルームの一角にシャワーブースと、タイル張りのハート型になった大きな浴槽。思いっきり足を延ばしてもまだ余裕のあるこの浴槽には、かけ流しのお湯が絶え間なく流れ込んでいます。

専用のお風呂があるといっても大浴場は温泉好きの日本人には必須。このオーベルジュの宿泊棟には男女別の大浴場と家族風呂が設置されています。大浴場は内湯と露天からなり、湯坪温泉から引いたお湯が満たされています。

湯坪温泉は九重九湯のひとつで45~70℃の単純温泉。ここから少し離れたところにある温泉街には約20軒の民宿が並び、民宿が多いことから「湯坪民宿村」とも呼ばれているとのこと。この大浴場は源泉からやや遠いので、温度管理の意味から半循環としているようだが、かなりオーバーフローさせていて、塩素臭もなく、掛け流しに近いお湯の質を保っているようです。

露天は白い漆喰に明るい色調のタイルが埋め込まれていてやわらかい肌触り。澄明のお湯は無味無臭ではあるが、浴槽の底には酸化鉄やカルシウムの沈着が見られるので、単純泉ながら温泉の成分は豊富な様子。湯温がやや低いので、長時間ゆったりと浸かることができます。

大浴場は草花の花壇に囲まれ、その奥にそびえる涌蓋山の眺めと相まって、見目にも癒されるが、泉質でいえばやはり掛け流しのCasaのお湯に軍配が上がります。浴感に優れるとともに、湯上りの湯切れは抜群。バスタオルは必要なく、フェイスタオルで充分です。

美食と美湯を兼ね備えたこのオーベルジュ、その料理も圧巻です。料理の詳細が食べログで。

実に充実した夏休みを堪能することができました。さぞ高くついたかと思いきや、意外に安いのにも驚きます。年に1回だけの細やかな贅沢、今年も充分味わい尽くすことができました。

・訪問日:2015年9月10日