バスde温泉

バスで行く温泉旅日記

洞川温泉センター@洞川温泉

2019-08-25 00:35:02 | 温泉(奈良県)
洞川は大峰講の宿場としての歴史は古く、その起源は役小角に従った後鬼の末裔によって起こされたと伝えられています。修験道の行者たちの宿場として修行に赴く前泊に、また世俗に戻るためのいわばリハビリ施設として、今日まで栄えてきました。

温泉は近年になってボーリングで掘り当ててもので、その歴史は浅いものの、「ごろごろ水」と呼ばれる名水の里として、また、大峰山秘伝の胃腸薬「陀羅尼助丸」の生産地として知られていますね。

奈良交通・洞川温泉BSのほど近く、この町の入り口付近にある村営の日帰り入浴施設です。ここは割合新しい施設で、名産の吉野杉を多用した、木造建物の良さを感じさせる作りになっています。

浴場は内風呂と露天それぞれひとつずつの浴槽で、至ってシンプル。内風呂は高野槙の感触が優しい大きな浴槽だが、一部ジェット風呂になっています。

露天湯は岩風呂になっていてオーバーフローもみられるが、内風呂、露天とも循環濾過しています。無味無臭の単純泉のこと、あまり浴感がなくて特徴も希薄です。
温泉というより白湯の銭湯のようではあるが、大峯登山の疲れを癒すには絶好の施設であると言えます。

・場所:奈良交通・洞川温泉BS
・泉質:弱アルカリ性単純泉 26℃

ホテル昴@十津川温泉(十津川温泉郷)

2019-06-24 23:10:51 | 温泉(奈良県)
全長166.9㎞、停留所の数は167、高速道路を使わない路線では、日本一の走行距離を誇る路線バスの奈良交通・八木新宮特急バス。このバスは観光だけでなく、十津川村の生活を支える重要な足です。

大和八木からの行程の7割方を過ぎた十津川温泉での小休止後、国道168号線から一時それて立ち寄るのがこのホテル昴です。

このホテル昴は、十津川村、奈良交通、十津川村観光協会の出資によって1988年に開業した第三セクターのホテルで、小さい旅館が多い十津川温泉の中で、最も規模が大きいところ、十津川を代表する旅館です。

険しい山岳地帯にある十津川では珍しく広い敷地を有し、野外ステージのある広大な芝生広場や温泉プールなどが整備されています。こんな土地を得られたのは、十津川の支流の曲折した盲腸部分の河原を切り開いたからですね。

第三セクターの資本力によって整備されたこの施設、レストランでいただける料理も十津川の山の幸、川の幸に溢れています。
料理の詳細は食べログで。


十津川では珍しい広い敷地を活かしてお風呂も広々。露天風呂、内湯、サウナ、寝湯、うたせ湯…等々、スーパー銭湯並みのヴァリエーションがあって、家族連れやグループ旅行にはうってつけですね。

もちろんお湯は十津川温泉独特のやや白濁した柔らかいお湯で、泉質も申し分ない。比較的空いている冬場には、こんな広いお風呂を独り占めすることも…

当初、巨費をかけて設置した循環装置を、2004年に撤去する英断を…そして、このホテルの掛け流しへの移行をもって十津川村全村の掛け流しが実現しました。

この十津川では各旅館が独自の方式で熱い源泉を薄めずに冷ましているが、ここは熱交換器で自然冷却する方式とのこと。

十津川では貴重なほど広い天空を眺めながらの湯浴みを楽しむことのできるこのホテル、初めて十津川に訪れる際の旅館としてはうってつけです。

・場所:奈良交通・ホテル昴BS
・泉質:ナトリウム‐炭酸水素塩・塩化物泉 70度
・訪問日:2012年6月23日

滝の湯@湯泉地温泉(十津川温泉郷)

2019-06-22 15:51:40 | 温泉(奈良県)
奈良交通・十津川村役場BSから旅館街とは反対方向、村役場横の十津川を渡る橋を歩いた先にある共同湯です。

ここは廃業になった民宿を共同湯に業態を買えた温泉で、さらなる大改装を得て、十津川村いち押しの温泉になっています。

土地の貴重な十津川にもかかわらず、ここは割りと広い敷地で、本館には簡易な食堂と休憩所が設えられています。
食堂のお料理の詳細は食べログで。

入り口で入浴料を支払って靴を預けると、本館の奥に増設された新館へ、以前の内湯は別棟になっていて、いちいちサンダルに履き替えての移動が強いられたのだが、今はこの真新しい内湯になっていて、硫黄臭漂う力強いお湯が満たされています。

同じ十津川村でも、この湯泉地温泉は十津川温泉とは全く異なる泉質。やや湯の花が漂う澄明な美しいお湯です。

露天へはここから公園のように美しく整備された庭の中を歩いていきます。以前はいったん服を着ることになって面倒だったが、改装後は裸でOK!ただし、かなり無防備な姿なので、コケたら擦り傷だらけになること必定…

石段を下り降りたところがここの白眉、滝の見える露天湯です。この露天湯でも力強いお湯が惜しげなく掛け流されています。多少熱くても森からの風と滝のミストによる冷気でのぼせることはありません。

本物の滝のある露天湯はそう見かけるものではありません。滝の音とミストを浴びながら自然のままの温泉に浸かる至福、さすが自然豊かな十津川、癒されます。

・泉質:単純硫黄泉 55.6度
・場所:奈良交通・十津川村役場BS
・訪問日:2019年1月20日

やど湯の里@湯泉地温泉(十津川温泉郷)

2019-06-22 10:02:59 | 温泉(奈良県)
奈良交通・十津川村役場BSから旧道を十津川に沿って上流に向かうと、川沿いの崖っぷちに身を寄せ合うように民家や郵便局、そして小規模な旅館が数軒建ち並ぶ武蔵の集落が現れます。この辺りが十津川温泉郷のひとつ、湯泉地温泉です。

温泉街のさらに上流に、1軒だけひっそりと佇んでいる吉野建ての建物が「やど湯の里」です。吉野建てとは、平地が少ない吉野山に適した建築様式で、道路から見ると2階建に見えても、実は3階建ての2階部分という、山の斜面に合わせた建築様式です。

案内された部屋は「太郎」の間。この旅館唯一の二間続きの角部屋です。眼前には十津川の清流がサラサラ流れています。

この旅館の夕食はお部屋でいただきます。清流の十津川ではやはり鮎が旨い。それとともに、飾り包丁が見事です。
料理の詳細は食べログで。


ここのお風呂は玄関から1階下のところ、ここが本当の1階の上流寄りのところにあります。内湯はいささか古びた感じではあるが、滔滔と満ちているお湯は、紛う事なく今まさに地中から湧き出てきた源泉です。澄明で無味だが硫化水素臭はかなりある。湯温が熱いので少しばかり加水しているが、ガツンと来る濃厚なお湯です。

露天は噂に違わぬ絶景です。こちらは少し温めなので長く入っていられます。こちらも濃厚だが、湯の花が目立ちますね。今物の温泉たる証左です。この日は時折大雨が降るような天候ではあるが、雨に打たれ、霧に包まれながら極上の湯に浸かる…これこそが自然と一体になったような感覚を味わえる貴重な体験です。

驚いたのは湯上りにひと皮めくれたように肌がスベスベになったこと。今まで数多くの温泉に入ってきたが、ここのピーリング効果は一頭秀でてます。十津川の清流の音に包まれて湯に浸かる至極。本当に癒されます。

・場所:奈良交通・十津川村役場BS
・泉質:単純硫黄泉 55.6度
・訪問日:2008年12月10日

田花館@十津川温泉(十津川温泉郷)

2019-06-22 09:33:09 | 温泉(奈良県)
奈良交通・十津川温泉BSよりダム湖畔を少し歩いたところにある、創業が明治42年と、十津川温泉では最も老舗となる湖畔の温泉旅館です。

木造3階建ての建物の玄関横には温泉の流れる蹲があり、温泉気分を高めます。中に入るとすぐに階段となり、2階に上がったところに帳場がある、ちょっと変わった構造になっています。

客室は2階と3階に置かれていて、窓からは湖畔の建物越しにエメラルドブルーに輝く二津野ダムのダム湖が眺められます。

浴場は2階にあり、内湯には十津川温泉独特のやや白濁した柔らかいお湯が掛け流されています。鼻腔をくすぐるアロマがアルファー波を発生させ、柔らかな浴感は心を鎮める。泉質は極上です。

この旅館にも貸切の露天風呂もあります。周囲は壁に囲まれていて景色は全く楽しめないが、 天井がないので確かに露天には違いない。こんな申し訳程度の露天ではあるが、こちらに注がれているお湯のほうがなんだか濃厚なような気がします。

温泉もさることながら、ご主人自ら釣ってきた鮎料理も極上。冬場は牡丹鍋もいいですね。これぞ日本のジビエです。
料理の詳細は食べログで。


十津川温泉は湯量が豊富な高温泉なので、すべての旅館が完全放流の掛け流しを達成しています。ただ、熱い源泉を冷ますのにはどこの旅館も苦労しているようで、この旅館では、温泉を送るパイプに湧き水のシャワーを浴びせて温度を下げ、濃厚な湯を楽しめる様になっています。

・場所:奈良交通・十津川温泉BS
・泉質:ナトリウム‐炭酸水素塩・塩化物泉 70℃
・訪問日:2015年3月20日

湖泉閣吉乃屋@十津川温泉(十津川温泉郷)

2019-06-22 09:15:33 | 温泉(奈良県)
奈良交通・十津川温泉BSよりダム湖畔を少し歩いたところにある、創業が大正15年という老舗で、十津川温泉では高級の部類になる湖畔の温泉旅館です。

15室の客室を持つこの旅館は鉄筋5階建ての建物で、その姿は十津川温泉の遠景写真に必ずと言っていいほど写りこんでいます。温泉博士の松田忠徳氏も幾度となく宿泊されている評価の高いお宿です。


部屋は和室のみで10畳、または12畳もあって広々。窓を開けるとエメラルドグリーンに輝く二津野ダムのダム湖面が広がります。

この旅館の料理はさすが高級旅館だけあって質の高い山の幸、川の幸で溢れています。
詳細は食べログで。

この旅館の大浴場は1階にあります。入り口の格子戸を開けると脱衣所越しにダム湖と対岸の山並みが目に入ってきます。広々とした内風呂には十津川温泉らしい芳しいアロマのお湯が掛け流されています。

十津川温泉は湯量が豊富なので、すべての旅館が同じ源泉からの掛け流しです。タンクで貯めて旅館に配湯しているのと違い、熱々の源泉をそのままの状態で各旅館に配湯しているので、お湯の鮮度が一味違います。

しかし問題は源泉の温度が高いこと。加水しなけりゃ浸かれないし、加水すると温泉が薄まる。どこの旅館でも熱い源泉を冷ますのに苦労しているようです。この旅館でも源泉を適温にするのに工夫があって、温泉のパイプをダム湖に沈めて冷まし、加水することなく極上のお湯を提供しています。

湖畔に接した露天風呂は眺望も極上で、波穏やかなダム湖の景色と、時おり現れるヤマガラの鳴声に心癒されながら湯あみを楽しむことができます。

一角に備えられた銘木をくりぬいた野趣あふれるお風呂も人気で、十津川の極上のお湯を独り占めにすることができる…

ある日、突如霧が湧いてきて、一瞬にして幻想的な情景が広がりました。山の天気は変わりやすいというが、温泉に浸かりながら天候の移り変わりが実感できる…自然と一体化したような気分にさせてくれました。

・場所:奈良交通・十津川温泉BS
・泉質:ナトリウム‐炭酸水素塩・塩化物泉 70℃
・訪問日:2006年8月1日

泉湯@湯泉地温泉(十津川温泉郷)

2019-06-21 19:27:38 | 温泉(奈良県)
奈良交通・十津川村役場BSから旧道を十津川に沿って上流に向かうと、川沿いの崖っぷちに身を寄せ合うように民家や郵便局、そして小規模な旅館が数軒建ち並ぶ武蔵の集落が現れます。この辺りが十津川温泉郷のひとつ、湯泉地温泉です。

歓楽街など皆無、古い歴史を持つ鄙びたこの湯泉地には静かな湯治場の雰囲気が漂っています。そしてこの集落の中にある共同湯が「泉湯」です。

羽目板を纏った建物は、小さいながらも共同湯らしい趣のある姿。エントランスにある券売機で500円の入浴券を買って中に入ります。

小ぢんまりしたロビーの奥に狭い脱衣所があり、その奥に小さな内湯と小さな露天湯が設えられています。内湯はさすが硫黄泉、温泉好きには堪らん匂いが漂っていて、お湯に浸かる前からトロントロンになってしまう。

お湯は澄明ながら僅かに湯の花がみられ、もちろん掛け流し。湯温が高いので加水は仕方ないが、硫黄臭はそのままです。

露天湯にももちろん湯泉地の源泉が掛け流されています。お湯に浸かりながら十津川の清流を眺めることができます。せせらぎの音に包まれながら源泉のお湯が楽しめる…この匂いと音で癒されるんですよね。

日本一広い村の十津川村は、実は平地が少なくて、この温泉も狭い敷地を最大限に利用しようとの工夫が感じられますね。

・場所:奈良交通・十津川村役場BS
・泉質:単純硫黄泉 55.6度
・訪問日:2011年7月4日

庵の湯@十津川温泉(十津川温泉郷)

2019-06-21 18:49:52 | 温泉(奈良県)
十津川温泉のバス停留所は窓口や待合室、トイレなどが備わるひとつの建物で、バス停というよりはちょっとした駅です。日本一広い村の十津川村の重要な足、十津川村営バスがここを起点にしていて、寒村の貴重な移動手段を守っています。

全長166.9㎞、停留所の数は167、高速道路を使わない路線では、日本一の走行距離を誇る路線バスの奈良交通・八木新宮特急バスもここに着いたら小休止、長旅の疲れを癒します。

バス停留所の目の前のダム湖の湖畔にあるのが、十津川村の「源泉掛け流し宣言」とともに、それを象徴する施設として造られた、足湯や飲泉所も有する、小さいながらも本格的な日帰り温泉施設です。

エントランスの横には飲泉所があり、温泉水を飲んだりペットボトルに詰めたりすることができるようになっています。(ポリタンクに給水する場合は横の駐車場にある有料の温泉スタンドを利用のこと。)

エントランスから階段で1層降りたところが無料の足湯、さらに1層降りたところにあるのが庵の湯の浴場です。券売機に500円を入れて入浴券を購入して奥に進むと、男女別の浴室があります。

高野槇の浴槽には十津川温泉独特のやや白濁した、心地よいアロマのお湯が掛け流されています。大きい窓からダム湖が広がり、露天ではないもののそれと同じぐらいの解放感を感じることができます。

この湯をワインに例えるなら、きりりとして、かつ芳醇。フランスを代表する白ワインの「シャブリ」のような感じかな。こんなお湯を心おきなく堪能できるのだから、ここは極上の共同湯といって間違いない。

当初、浴室は露天のみの設計だったそうだが、それでは奈良県の条例に抵触するらしく屋内に変更されたとのこと。温泉好きには香りや浴感を余すところ無く感じることのできる屋内のほうがいいですね。

・場所:奈良交通・十津川温泉BS
・泉質:ナトリウム‐炭酸水素塩・塩化物泉 70℃
・訪問日:2008年12月10日

神湯荘@上湯温泉(十津川温泉郷)

2019-01-23 17:50:08 | 温泉(奈良県)

日本(北方領土を除く)最大の面積を誇る村、十津川村には、十津川温泉、湯泉地温泉、上湯温泉と、それぞれ泉質の異なる3ヶ所の温泉があり、そのどれもが源泉掛け流しの極上温泉です。

その中の上湯温泉は、十津川の支流、上湯川を遡ったところの渓流の畔にある秘湯感あふれる温泉で、この神湯荘は「日本秘湯を守る会」の提灯を誇らしげにぶら下げた一軒宿。秘境の十津川村の中でも、秘湯中の秘湯です。

路線バスとして日本一の走行距離を誇る「八木新宮特急バス」に乗って十津川温泉BSで下車。ここからはお宿の車に迎えに来てもらっての到着です。バス停から宿までは車で10分ほど、目もくらむような渓谷を這い上がって行くのでスリル満点です。

案内された部屋は「栂の間」で、8畳ほどの広さの部屋にはあらかじめ布団が敷かれています。風呂や食事の案内とともに茶菓としてお善哉がふるまわれました。正月だからでしょうか。移動で疲れた体にはありがたい。

窓から果無山脈が望めるこの部屋は、リニューアルされて日が浅いようで、部屋のトイレには最新式のウォシュレットが備えられています。これは現代人には必須です。

旅館の料理の詳細は食べログで。

このお宿の温泉は、館内にある男・女の内湯のほか、屋外に男・女の露天風呂、2ヶ所の貸切露天ぶろ、そして歩いて5分ほど山を下った川縁に、男・女の大露天風呂があります。

内湯は本館とは別の棟となっていて、浴室部分が多角形になった特殊な構造。浅めの浴槽に澄明のお湯がこんこんと掛け流されていて、お湯には白い湯の花が多く舞っています。浴槽が浅いので、自然と寝湯になってしまう…

泉質はナトリウム-炭酸水素塩泉(重曹泉)で、源泉温度85度。やや硫黄臭はあるが、舐めてみると意外にも無味。しかしこの浴感が特徴的で、ツルツルした肌触りが実にいい。湧出温度が高いので夏場は加水しているようだが、今は真冬なので100%の源泉です。

源泉をタンクに貯めて配湯しているようで、屋外の露天風呂も泉質は同じ。しかし自然との一体感が味わえるので雰囲気は露天の方がいいですね。頭が冷たい風に晒されているので、のぼせることもありません。

白眉は川縁にある大露天風呂です。こちらは十津川村をはじめ、紀伊半島に多大な被害をもたらした平成23年の台風の後に築かれたもので、こちらは日帰り入浴も可能。宿泊者はタグを腕に着けておけば料金が要りません。

泉質はこちらも旅館のお湯と同じだが、源泉のすぐ近くにあるのでフレッシュな浴感が楽しめます。これほどの広さの露天浴槽にもかかわらず、真冬でも適温を保てるのは、湧出温度とともに豊富な湧出量が成せる業です。

浴槽はプールのようなコンクリートの打ちっぱなしなので風情は劣るが、鳥の囀りと上湯川のさらさらと流れる水の音がBGM。良質の掛け流しの湯に身をゆだねていると、だんだん意識が遠くなるように感じます。

・場所:十津川村営バス・小原口BS
・泉質:ナトリウム-炭酸水素塩泉 76℃
・訪問日:2019年1月19日

十津川荘@湯泉地温泉(十津川温泉郷)

2018-02-20 22:22:48 | 温泉(奈良県)

奈良交通・十津川村役場BSから国道168号の旧道を十津川に沿って上流に向かうと、川沿いの崖っぷちに身を寄せ合うように旅館や民家が十数軒、ここが十津川温泉郷の中のひとつ、湯泉地温泉です。


ここは十津川温泉郷では最も歴史のある湯泉地温泉のなかで、大正年間から代々宿屋を営んでいる老舗です。1階は帳場と食堂、客室は2階となっていて、古びてはいるものの、部屋には花が活けられ、清掃も行き届いています。


余談だが、二・二六事件のフィクサーとされる荒木貞夫が戦後、十津川郷士に関する講演のため十津川村を訪れた際、宿泊先のこの旅館で倒れて翌日この世を去ったとのこと。翌年、 十津川村は湯泉地温泉の入口付近に、佐藤栄作の揮毫による「荒木貞夫終焉之地碑」を建立しています。


温泉は1階から階段を降りた階下にあり、男女それぞれの内湯と貸切の家族風呂および露天風呂があるほか、玄関を出て道を挟んだ向かいに、かなり広い露天風呂「十六夜の湯」が設置されています。


内湯では湯泉地温泉特有の硫黄臭が満たされ、澄明で僅かに湯の花が漂うお湯が掛け流されています。泉質を愛でるには内湯の方がいい。まとわりつくような上質な肌触りが味わえます。


しかしここの白眉は貸切露天風呂でしょう。十津川の清流が眼前にできる露天ぶろは、さほど広くはないが、日本庭園のように植栽が整えられ、鳥の声、十津川の清流の音に包まれて湯に浸かる至極。ま さに心の解放が得られます。


この旅館では山峡らしい素朴な料理がいただけます。春から秋にかけては、地元の山菜、きのこ、川魚をあしらった山里料理となり、冬は十津川で放し飼いをしているイノシシを使用したぼたん鍋が楽しめます。
 
料理の詳細は食べログで。
 

上質のお湯と上質のお料理、冬の十津川は魅力に溢れています。

・場所:奈良交通・十津川村役場BS
・泉質:単純硫黄泉 55.6℃
・訪問日:2018年2月16日