温泉というより白湯の銭湯のようではあるが、大峯登山の疲れを癒すには絶好の施設であると言えます。
・場所:奈良交通・洞川温泉BS
・泉質:弱アルカリ性単純泉 26℃
日本(北方領土を除く)最大の面積を誇る村、十津川村には、十津川温泉、湯泉地温泉、上湯温泉と、それぞれ泉質の異なる3ヶ所の温泉があり、そのどれもが源泉掛け流しの極上温泉です。
その中の上湯温泉は、十津川の支流、上湯川を遡ったところの渓流の畔にある秘湯感あふれる温泉で、この神湯荘は「日本秘湯を守る会」の提灯を誇らしげにぶら下げた一軒宿。秘境の十津川村の中でも、秘湯中の秘湯です。
路線バスとして日本一の走行距離を誇る「八木新宮特急バス」に乗って十津川温泉BSで下車。ここからはお宿の車に迎えに来てもらっての到着です。バス停から宿までは車で10分ほど、目もくらむような渓谷を這い上がって行くのでスリル満点です。
案内された部屋は「栂の間」で、8畳ほどの広さの部屋にはあらかじめ布団が敷かれています。風呂や食事の案内とともに茶菓としてお善哉がふるまわれました。正月だからでしょうか。移動で疲れた体にはありがたい。
窓から果無山脈が望めるこの部屋は、リニューアルされて日が浅いようで、部屋のトイレには最新式のウォシュレットが備えられています。これは現代人には必須です。
旅館の料理の詳細は食べログで。
このお宿の温泉は、館内にある男・女の内湯のほか、屋外に男・女の露天風呂、2ヶ所の貸切露天ぶろ、そして歩いて5分ほど山を下った川縁に、男・女の大露天風呂があります。
内湯は本館とは別の棟となっていて、浴室部分が多角形になった特殊な構造。浅めの浴槽に澄明のお湯がこんこんと掛け流されていて、お湯には白い湯の花が多く舞っています。浴槽が浅いので、自然と寝湯になってしまう…
泉質はナトリウム-炭酸水素塩泉(重曹泉)で、源泉温度85度。やや硫黄臭はあるが、舐めてみると意外にも無味。しかしこの浴感が特徴的で、ツルツルした肌触りが実にいい。湧出温度が高いので夏場は加水しているようだが、今は真冬なので100%の源泉です。
源泉をタンクに貯めて配湯しているようで、屋外の露天風呂も泉質は同じ。しかし自然との一体感が味わえるので雰囲気は露天の方がいいですね。頭が冷たい風に晒されているので、のぼせることもありません。
白眉は川縁にある大露天風呂です。こちらは十津川村をはじめ、紀伊半島に多大な被害をもたらした平成23年の台風の後に築かれたもので、こちらは日帰り入浴も可能。宿泊者はタグを腕に着けておけば料金が要りません。
泉質はこちらも旅館のお湯と同じだが、源泉のすぐ近くにあるのでフレッシュな浴感が楽しめます。これほどの広さの露天浴槽にもかかわらず、真冬でも適温を保てるのは、湧出温度とともに豊富な湧出量が成せる業です。
浴槽はプールのようなコンクリートの打ちっぱなしなので風情は劣るが、鳥の囀りと上湯川のさらさらと流れる水の音がBGM。良質の掛け流しの湯に身をゆだねていると、だんだん意識が遠くなるように感じます。