初夏の北陸・地方私鉄とバスの旅(1) @福井の続きです。
東尋坊から三国港へは京福バスの、今度は中型レインボー。三国港まで海沿いの漁村を走ります。
岬ぃー巡りのぉー…バスはぁー走るぅー。。。いい気分だ。
三国港駅から乗った電車はこれ。関西人なら見覚えのある車両ですね。そう。色は変わっているが元は阪神電車です。京福電鉄時代には比較的新しい車両だったが、旧型車が一掃された今では最古参で、さすがに古さは隠せない。それでもいつまでも走ってもらいたい車両です。
車内は更新されているものの、どこか懐かしさを感じてしまいます。今度はアテンダントが乗っていない純粋のワンマン運転。三国港から乗る乗客はワタシひとりだったが、次の三国駅からは大勢の高校生が乗り込んできました。
田園地帯は田植えも終わった様子。遠くににょきにょきと建つホテル群が見えると、ここが芦原温泉です。ここ芦原温泉は明治16年開湯の比較的新しい温泉で、田んぼの灌漑用に井戸を掘ってたら突如お湯が湧いてきたとのこと。
翌朝は駅前からバスに乗ってJRの芦原温泉駅へ。現れたバスは昨日、東尋坊への車と同じ。
芦原温泉駅で永平寺行きのバスに乗り換えます。福井観光のもうひとつの定番、永平寺を目指すことにしました。ところが接続が悪く1時間近くの待ちが…退屈しながら長い間待って、ようやく現れたバスは、これまた昨日乗った車と同じ。バスはあわら市、坂井市の田園地帯をひたすら走ります。丸岡の町内に入ったときにチラッとだけ丸岡城が姿を見せます。このバスのルートは昭和40年代まで京福電鉄が走っていたルートで、丸岡のバス停ではいかにも駅の跡といった風情です。
歴史を感じさせる駅舎で知られる永平寺口駅でえちぜん鉄道からの乗り継ぎ客を乗せ、ここから山道に入ります。
バスは曹洞宗大本山の永平寺の門前に着きました。ここから寺内まで、歩く距離は僅かです。直近まで寄れるのはバスだから。ここまでマイカーで来た人は、駐車場を探してうろうろする羽目に陥っています。
門前で500円の参拝券を買い、近代的な建物の中にある受付の僧侶に渡します。これで入山です。
参拝する前に、僧侶から仏閣の配置や参拝の心得など、簡単なレクチャーを受けます。心得は「僧侶に直接カメラを向けるな」とか「この場所ではフラッシュを焚くな」とか「立ち入り禁止の場所には入るな」とか、常識的なことばかり。逆に、その常識すら守れないヤツらがいるのかと…レクチャーの最初と最後はもちろん合掌。神聖な空間に入り込んだことを実感します。
ただひたすら座禅することだけが修行ではなく、ここでの生活すべてが修行とされています。とはいえ、もうすぐ昼食の時間、長い回廊を歩く修行僧の表情も柔和です。
僧侶のレクチャーの中で印象的な一言…「ここでは観光気分をいったん置いて、修行者の気持ちになることによって、この参拝が心に残るのです。」
確かにっ!
禅宗ではトイレのことを東司(とうす)と呼ぶそうで、この東司も重要な精神修行の場だそうな。トイレは決して「御不浄」ではないのですね。
このポスターも耳が痛いな。「無明なる酒を飲まないとみずからに誓います」
そう…だよね…酒は飲んでも飲まれるなってことでしょうか。ワタシに直接語りかけているようなこの一言、いままでの度々の無明に「カツ!」の一言。嗚呼…
門前は土産物屋が林立しています。平日なので、店員もヒマそう。しかし、観光バスが到着する度に、ここぞとばかりに呼び込み合戦を繰り広げています。なのに一人で歩くワタシには誰一人呼び止めようとしません。金にならん客を見極めるのは上手ですね。
永平寺からは福井駅直通のリムジンバスが便利です。一部、自動車専用道を走るため、30分を切る速さ。京福電鉄の永平寺線が廃止されるのも肯けます。
福井ではぜひとも経験しておかなければならないのは、この地のご当地グルメを代表する「ソースかつ丼」。このソースかつ丼の発祥の店として知られるヨーロッパ軒を訪れました。ところがご覧のとおり定休日。
仕方がないので別のお店を探します。うろうろして、ようやく見つけたのがこの小川家で、店は大手牛丼チェーン風のつくりです。
卵でとじてある一般的なものと違い、目の細かいパン粉で包まれたカツに、ウスターソースを潜らせてご飯に盛ったもの。ソースと揚げ油によってご飯がテカテカになって余計においしそうに見える。ただ、味はまったくの想像どおりで目新しさはない。しかも味が一定なのでだんだん飽きてくる。まあ、これが本気で美味けりゃ全国に普及しているはずだが…
福井駅からサンダーバードで帰ります。今度は琵琶湖側の席を取ることができました。高架になった福井駅のホームも新しくてきれい。しかし、この風景、なぜか見たことがあるな!
必死で思い返してみて、気づいたのが金沢駅。全く同じような光景です。画一的なデザインはどうかと思うが…
敦賀を過ぎてすぐにループ線でぐんぐん登っていき、サミットを過ぎたら琵琶湖が見えてきました。初夏の琵琶湖はのどか。太湖の眺めを楽しんでいたらもうすぐ京都。意外に福井は近いんだ…
- 訪問日:2007年6月4~5日