ここの南にある下湯原温泉・足温泉・真賀温泉・郷緑温泉との5つを総称して「湯原温泉郷」とも称されるが、最大の旅館街を構成するこの湯原温泉は「湯原温泉郷」の中枢です。
湯は無味無臭で透明。足元から砂が噴き出す様は見れなかったが、浮遊物(湯の花と藻)が少なからずあります。
・場所:真庭市コミュニティーバス・湯原温泉BS
・泉質:アルカリ性単純泉 48.5度
・訪問日:2011年7月3日
湯原温泉郷にある温泉のひとつ、郷緑温泉は、湯原の温泉街よりかなり南方向、米子自動車道の湯原ICの近く、鉄山川沿いにある一軒宿です。
立派な石垣の上に建つ古いお屋敷がここの母屋で、小洒落た暖簾をくぐって宿の人を呼ぶと、笑顔の素敵なご主人が現れ、「もうすぐ空くからちょっと待っててぇ」っと。ここは浴室は1カ所だけで貸し切り専用なんですね。30分貸切で一人500円とのこと。
先客と交代にお湯をいただきます。ひとつしかない浴室は、旅館の規模にしては大きめで、浴槽は二つ、手前が加温の「上がり湯」で、奥がここの白眉、足元湧出の源泉です。
加温のほうには目もくれず、この源泉に浸かってみます。浴槽の底が天然の岩になっていて…っていうか、岩の上に浴槽を設えたかたちになっているのだが、ぱっくりと大きく割れた岩の裂け目からプクプク気泡とともにお湯が湧いてきます。
この辺りの他の温泉と同様、少し青みがかった澄明なお湯で、無味だが僅かに炭酸臭が感じられる。肌触りは柔らかく、低めの湯温と相俟ってとろけそうになってきます。そのうちに気泡のヴェールが体を優しく包み込んでくる…これは贅沢だ!
真冬であれば横の加温浴槽の価値もあろうが、今は真夏。源泉だけで完結してしまいます。貸し切りの持ち時間があっという間に感じてしまう極上温泉、これは値打ちがありますね。
昭和初期の古いながらも威厳のある建屋が並ぶ奥津温泉。約400年前、津山藩主の森忠政が森家専用に鍵をかけたことから「鍵湯」と呼ばれるようになった、由緒ある温泉を守るのがここ奥津荘です。
古いながらも実にセンスよくまとまった玄関ロビーを入ってすぐ、地下に降りたところにこの名物の「鍵湯」があります。この「鍵湯」と、その隣の「立湯」が男女入替制。立湯とは反対側の隣の「泉の湯」と、少し離れた新館、川を望む場所にある「川の湯」が貸切湯となっています。
「鍵湯」は最も大きな温泉で、といっても客室数の少ないこの旅館のこと。16畳程度の広さでしょうか。湯気を抜く程度の窓があるだけで、外光の入らない薄暗い浴室。湯治場の風情が漂っていますね。その中央の浴槽に澄明なお湯が溢れている…そしてその底からポコポコと温泉が湧き出てきます。
無味無臭、癖のない柔らかいお湯でトロトロ感を感じるが、泉温がやや高めなので浸かっているうちにガンガン沁みてくるようにも感じる。これは強力だ。
「立湯」は「鍵湯」と同様の、薄暗い岩造りの浴室で、浴槽はその名のとおり立って入らなければならない深さ。もちろんここも澄んだトロトロのお湯。最高のコンディションのお湯が溢れています。
「泉の湯」は最も小さい浴室と浴槽。その分、湯温が高くなっていて、夏場のこの時期はすぐに茹ってしまいます。最初は熱くて足も浸けられないほど。桶でかき混ぜてようやく入れるようになったのだが、ここはかき混ぜる棒(あれ、なんていう名前なんでしょうかねぇ…)を置いてほしかったな。
「川の湯」は唯一、眺望を楽しめるお風呂です。ここだけ他と違ってレトロモダンな意匠になっています。お湯はやや温め。じっくり浸かってられるお風呂です。
「泉の湯」や湯上り処など、タイル張りが実に見事、職人さんの技が光っています。ところが残念なことに、一部剥がれているんですね。今やこんなタイルは手に入らないのでしょうが、同じ奥津温泉の河鹿園では、流れたタイルを河原まで探しにいっていると聞きます。何とかならないのでしょうかねぇ…
ここのお料理はこちら…奥津荘(料理)@奥津温泉