電車ならJR阪和線の和泉砂川駅か南海電車の樽井駅から岩出行きの南海ウイングバス・和歌山バス那賀に乗って川尻BSで降りるか、阪和線の紀伊駅からタクシーを使うか…車なら阪和道の泉南インターから府道63号線で15分ぐらいの岩出市川尻というところ…いずれにせよ実に行きにくい場所にあるイタリアンのレストラン・オーベルジュです。
いつもは公共交通機関を旨としているが、今回だけはレンタカーを借りて伺いました。少し迷って辿りついたお店は、いかにも南イタリア風。和歌山県の岩出市は、関西国際空港から近いこともあって宅地化が進んでおり、和歌山県では珍しく人口が増加している近郊都市。といっても、まだまだ田舎です。この郊外のいかにも日本的な田んぼの真ん中に、突如イタリアが出現するのでいささか違和感がありますね。
テーぶりに置いてあるオリーブオイルのボトルがかわいいですね。野菜のランチコース(4,200円)を予約時にお願いしていたので注文で迷うことはありませんが、問題は飲み物。残念ながらワインをいただくことができないので、仕方なくノンアルコールのスパークリングワインをお願いしてみました。
アミューズはポレンタのフリット。ほんのり甘いフリットに、意外に効いている岩塩の辛味。目が覚めます。
オードブルは里芋とセロリのグラタンです。里芋の甘みとセロリの香味のハーモニーが楽しめます。今度は塩気を排して野菜の風味を際立たせています。
ここでパンが登場しました。ハードな自家製パンは小麦の香りも豊か。
サラダは黒大根、サザエ、コリアンダー、ホウレン草。さまざまな形にカットされた黒大根がほろ苦くていい。形によって味が変わるのが不思議です。
さすがにスパークリングのワインは甘くて断念、ここでガス入りのミネラルウォーターをお願いしました。フェラレッレはガスがマイルドで飲みやすく、料理も邪魔しません。最初っからこれにすればよかった…
パスタミスタとうずら豆、さつま芋。野菜の滋味が溢れるスープの中に芋、豆、そしてショートパスタがぎっしり。パスタの食感がいいですね。
魚料理はハタとふだん草、イカのカネロニです。今度は岩塩を効かせて魚介の旨みをクッキリ引き出します。ハーブの香りも華を添えています。
肉料理は鴨と白ビーツのチャツネ、人参です。見事な火入れですね。持ち味を殺さぬように仕上がった野菜との調和がすばらしい。
ドルチェは3種類からのチョイスになっています。私は「無花果とフロマージュブランのジェラート、スパイス蜂蜜と菜園ハーブ、アーモンド」を。ハーブ園のミニチュアがお皿の上に載っているような感じ。実に爽やかです。
相方は「ジンジャーショコラと黒米、秋茄子のジェラート アールグレイ風味」を選びました。茄子の風味が面白い。残るひとつの「完熟柿とハーブ蜂蜜風味のバニラジェラート、ルバーブのフイヤンティーヌ」も気になるなぁ…
最後はエスプレッソ・紅茶・自家栽培ハーブティからのチョイスとプティフール。最後の最後まで手を抜かないのには恐れ入ります。苦いエスプレッソには甘いマシュマロがよく合います。
豊かな環境に恵まれた和泉山地の山麓で育った野菜を、その持ち味をさらに引き上げるような調理の技が冴え、自家菜園のハーブの数々がそれを彩る…しかも、こんな圧倒的なクオリティーにもかかわらず、支払ったのは二人で1万円強。レンタカー代を取り戻せました。
- 営業時間:11:30~14:00、18:00~21:00
- 定休日:月曜(祝日の場合は翌日)