いつか読みたいと思っていた本です。登場人物はエリン、ジョウン、真王(ヨジェ)、大公(アルハン)などカタカナ名で知らない世界で起きた物語のようですが、永遠の人間の課題がテーマになっていると思いました。壮大なスケールの長編ファンタジ―です。人間より強い力。他者に勝てる強い力。エスカレートしていく人間のより強い力への願望。世界で起こっている事件・戦争にも当てはまるものだと思いました。またミツバチの習性を観察するエリンや王獣と心を通わせるエリンの様子がリアルに表現されてどんどん物語りに引き込まれていきます。王獣規範のなぞをところどころに入れながら最後まで明かされない手法も引き込まれる要素と思いました。児童書として世に出た本です。難しい漢字も出てきて内容も深いので本当に児童書?と思いました。作者上橋菜穂子さんは一般書と児童書の枠をとりたいと思って書かれたそうです。思い通りに仕上がっていると思いました。闘蛇編・王獣編で終わらせる予定だったそうですが、後にエリンのその後を書こうと思われて探求編・完結編が出来たそうです。私も今探求編を夢中で読んでいます。ファンタジーでありながらリアルな世界観に引き込まれました。
お気に入り度:★★★★★ 図書館資料 請求記号:B/ウエ1・2