眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

真夏の青

2009-06-05 | 
酔いどれた僕らの空を
 青い月が繊細に受け止めた
  それはどんな明かりよりも哀しい
   零れ落ちる明かりの一粒が
    僕らの時代を優しく包み込むのだ
     やがて小雨の降りしきる夜に
      廃墟と化してしまった想い出の地において
       僕らは呆然と立ち尽くし煙草を吹かした
        どこかで口笛が聴こえた
         僕らは怒っていたのだ
          この愚らない世界の境界線に

      どうして何もかもを抱え込もうとする?
     絵描きのmasiyaさんが呟いた
    sherbet。お前の親父も俺の親父も何時か死ぬ。
   俺達は俺達の子供よりも早く死ぬ。
  それはどうしようもないことなんだ。順番があるんだ。
 人は遅かれ早かれいつか死ぬ。
それはルールなんだ。ルールは守られなくっちゃならない。

 人はいつか死ぬ
  当たり前のことだ。
   病室のベットでいつか誰かが呟いた
    僕は暑い日のことを忘れない
     親父がつぶやいたんだ
      真夏の青さの中
      
       震える手のひらが指し示す
        青の領域

        浴びるように酒を飲んだ

         会おう。

         君に。

        青い月の光が

       柔らかな雨粒の粒子と共に

      僕らを優しくしめつける

     純粋な青

    追い求める雑居の中の存在の軽さ






      masiyaさんは僕の頭を抱え込んだ
       自分ひとりで背負い込むな。
        俺もいる、皆がいる。忘れるな。
         酒臭い吐息が耳元で木霊した
          な、sherbet。
           お前は何してる時がいちばん楽しいんだ? 
            何をいちばん大切にしている?
             僕は持たれかかる絵描きの言葉に
              答えを出そうと試行錯誤した

              詩、ですかね。
             死か?
            詩です。
           誰に向けて描いてる?
          たぶん自分自身に向けて。
         自分自身に銃弾を浴びせかけているのだ
        ネットで描いてるあれか?
       はい。
      お前さ。sherbet.いいかよく聴け。
     お前は紙に描け。
    何万枚でもいい。そうしたら、
   そうしたらお前の詩を俺が街中にくばってやる。
  masiyaさんは僕をぎゅうと抱きしめた
 一人だなんて想うな。俺達がついてる。
哀しいことを云うな。
 
 絵描きで郵便局員のmasiyaさんは崩れ落ちるように
  コンクリートの地表に倒れこんだ
   僕はmasiyaさんの背中をさすりながら独り言をつぶやいた

    ねえ、masiyaさん。
     僕は酒を飲み、詩を描く。
      誰に迷惑をかけている訳でもない。
       ただ、描かないと死んでしまうから描くんだ。
        僕は僕の人生を生きる。
         誰にも文句は云わせない。
          これは僕自身の人生なんだ。
           いろんな人がいろんな銃口を突きつける。
            それでも。
           誰にも何も云わせない。
          僕の人生なんだ。
         僕は歌い続ける。それでいじゃないですか。
        ねえ、masiyaさん。
       地べたに這いつくばった背中から言葉はなかった
      僕は煙草に灯をつけた
     それでいいじゃないですか。
    二度、激しく嘔吐したmasiyaさんを介抱しながら 
   僕は熱病のように繰り返した。
  描き続けてください、masiyaさん。
 それで。それだけでいいじゃないですか。

僕は残ったウイスキーをラッパ飲みした
 世界が回る
  僕たちは怒っていたのだ
   僕ら自身とこの不条理な仕組みについて。
    酔いどれの戯言なのだろう
     会おう
      いつか君に。
       きっと会おう。
        青の世界の悲しみに向けて
         自己嫌悪した醜態をさらし
          巡査に職務質問されることも。
           
          きっと青の悲しみに放つ悲しみの虚脱した領域










            
コメント
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