眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

泥酔

2009-06-08 | 
ノイズが聴きたい
 爆音の音圧で感覚を塞いでほしい
  エフェクトの効いた鉱物の音で
   訳の分からない想いを寸断したかった
    雨が降っている
     クアーズの瓶を飲み干して
      ジャクダニエルのボトルに口をつける
       氷なんて上等なものは要らない
        ただ弛緩した筋肉に
         アルコールを静脈注射したいのだ
          意識を消毒したい
           長い髪をはさみで切った午後の様に

           街の雑音はきらびやかで
          時折吐く空虚感に苛立ちを見せる
         ジャグリングに失敗した大道芸人に
        道行く人々が冷淡な笑みを浮かべる
       舞台に立ち尽くした道化
      雑踏の踏み絵が甘い郷愁をかき消す
     ワインの空き瓶が路上に転がる
    グレッチの音がフィードバックした
   空間が爆音で満たされる
  トリルが永遠に止む事は無い
 バスドラムのロールが重低音をこの世界に刻み込んだ

少女が歌う
 ギター一本持って歌う
  王女と兵士の歌を歌う
   誰かがつまらないと鼻で笑った
    酔いが足りないのさ
     僕は口走る
      だって二万人の聴衆相手にギター一本だなんて
       あんたにそんな度胸があるのかい?
        重い荷物を背負って
         あのアルプスのピレネー山脈を登り切れるのかい?
          少女が歌う
           哀しみについて歌う
            永遠に聴いていたかった

             刹那が邂逅する瞬間
            花が綺麗だ
           お花畑で帽子が笑った
          世界が其の回転速度を上げる
         お願いだ
        時間を止めて
       君の声が聴きたい
      電話越しの無言
     寸断された連絡網
    穏やかな包丁さばきで
   キャベツを千切りにした
  猫が鳴いている
 あれは魔法の呪文
君に届かない永遠の呪文
 
    唯 君之声ダケヲ望ム
     叶ワヌ願イナラ イッソ
      雑音ノ戯レ二 意識ヲ 沈殿サセ
       白夜ノ往来二  
        一筋ノ白線ヲ流スダロウ

         虚無に似て
          虚空はわれを関せず
           一切の雑事は
            沈黙のうちに凝固す
             まるで
              イギリスで発狂した夏目漱石の手紙の様に
               呉博士が紅茶を飲みながら
                診察室で一服を嗜む
                 消毒液の洗面器で丁寧に手を洗う

                 まるで清潔なウイルスだ
                誰もが羅漢している事にきずかない
               その咳だ
              マスク越しの遊覧飛行
             
             情景は孤独の琥珀色をした
            ただ
           君の声が聴きたい
          叶わぬのなら
         意識を消し去る
        適度なアルコールと爆音の壁を
       
       嗜む一本の煙草を恵んで貰えるのなら
      
      娑婆もまだ極楽だ

     大切な存在が消えてしまう




 
               
       
コメント (2)
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