獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

『居場所を探して』を読む その17

2024-08-27 01:59:59 | 犯罪、社会、その他のできごと

友岡さんが次の本を紹介していました。

『居場所を探して-累犯障害者たち』(長崎新聞社、2012.11)

出所しても居場所がなく犯罪を繰り返す累犯障害者たち。彼らを福祉の手で更生させようと活動する社会福祉事業施設の協力で、現状と解決の道筋を探った。日本新聞協会賞を受賞した長崎新聞の長期連載をまとめた一冊。

さっそく図書館で借りて読んでみました。

一部、引用します。

■第1章 居場所を探して―累犯障害者たち
 □第1部「福祉との出合い」
 □第2部「司法と福祉のはざまで」
 □第3部「あるろうあ者の裁判」
 □第4部「塀の向こう側」
 □第5部「見放された人」
 □第6部「更生への道」
 ■第7部「課題」
□第2章 変わる
□おわりに 


第7部「課題」

=2012年6月12日~22日掲載=

(つづきです)

6)広がる距離
 「拙速さ」に戸惑いも

「告訴してください」
社会福祉法人コスモス会(南島原市)理事長の本田利峰(56)は5月末、面倒を見てきた知的障害者を警察に引き渡すことを求め、彼の職場にそう告げた。
刑務所で更生できるとは思わない。しかし反省もなく福祉から離れていこうとする彼を見逃すわけにはいかなかった。悩んだ末の“答え”だった。
数日前。運営するグループホームにいた島崎洋介(40)=仮名=が勤め先の車を盗み、無免許運転で事故を起こした。幸いけが人はなかった。
島崎は1年ほど前にグループホームに来た。これまでに何度か刑務所に入っていた。一度自転車を盗んだが、その時は被害届を取り下げてもらった。
だが車の盗みが発覚した後、島崎は「会社をやめて長崎に行く」と言い出した。長崎に身寄りはない。「もし同じ犯罪を起こし、人にけがをさせたら社会に申し訳ない」。告訴されて数日後、島崎は窃盗の疑いで逮捕された。
本田は約30年にわたり知的障害者の福祉に携わる。これまでも罪を犯した障害者を受け入れてきた。今は県知的障害者福祉協会の会長も務める。社会福祉法人南高愛隣会の田島良昭(56)が目指す、知的障害者を刑務所ではなく福祉施設で更生させる理念には賛同する。
ただ、福祉関係者の間には「知的障害者の更生はそう簡単ではない」という空気が広がるのも事実だ。「今は手探りの状態で、愛隣会でさえノウハウを持っているのだろうか」。本田はそう感じる。

田島が代表を務める厚労省の研究班は昨年12月、刑務所ではなく福祉施設で更生教育する制度の創設を国に提言した。しかし本田にはその動きが拙速に映る。厚労省社会・援護局総務課長の古都賢一(54)も「福祉施設での更生教育はまだモデル事業の段階だ。福祉の受け皿づくりも必要だし、刑事政策の整理が必要だ」と話す。

福祉関係者の戸惑いをよそに田島は改革のスピードを緩めようとはしない。
「検察の改革は進んでいる。これから福祉がもっと裾野を広げるべきだ」。
3月16日に広島市内で開かれた研修会。田島は社会福祉法人が更生保護事業に参入する必要性を訴えた。しかし会場に福祉関係者の姿はまばら。田島と福祉の“距離”は広がっている。それを縮めるには田島が歩み寄るべきなのか、福祉の側が歩み寄るべきなのか。その答えは出ていない。

(つづく)

 


解説

ただ、福祉関係者の間には「知的障害者の更生はそう簡単ではない」という空気が広がるのも事実だ。

現実問題として、罪の意識がない場合には、累犯障害者を福祉施設で更生させるのは難しいのでしょう。

 

獅子風蓮