獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

『居場所を探して』を読む その13

2024-08-23 01:20:26 | 犯罪、社会、その他のできごと

友岡さんが次の本を紹介していました。

『居場所を探して-累犯障害者たち』(長崎新聞社、2012.11)

出所しても居場所がなく犯罪を繰り返す累犯障害者たち。彼らを福祉の手で更生させようと活動する社会福祉事業施設の協力で、現状と解決の道筋を探った。日本新聞協会賞を受賞した長崎新聞の長期連載をまとめた一冊。

さっそく図書館で借りて読んでみました。

一部、引用します。

■第1章 居場所を探して―累犯障害者たち
 □第1部「福祉との出合い」
 □第2部「司法と福祉のはざまで」
 □第3部「あるろうあ者の裁判」
 □第4部「塀の向こう側」
 □第5部「見放された人」
 □第6部「更生への道」
 ■第7部「課題」
□第2章 変わる
□おわりに 


第7部「課題」

=2012年6月12日~22日掲載=

(つづきです)

2)変わる検察(2)
  捜査にも福祉の視点

昨年7月。社会福祉法人南高愛隣会理事長の田島良昭(66)は、検察改革の一環で最高検につくられた「知的障がい専門委員会」の参与に就いた。検事が専門家に意見を聞いて、検察活動に生かす勉強会のようなものだ。
10年近く前、刑務所の中に罪を繰り返す障害者が大勢いることを知って、田島は衝撃を受けた。それからは累犯障害者の支援に奔走する日々。田島を駆り立てたのは、人知れず、塀の向こうで生きてきた障害者たちに対する申し訳なさのような思いだった。
田島は言う。「福祉が手を差し伸べていれば、累犯障害者の多くは刑務所に行かなくても良かった。彼らのような存在をつくってしまった責任は、われわれ福祉の側にもあると思う」
まず、障害がある受刑者が刑務所を出た後、福祉とつなぐ制度をつくった。それから、裁判中の障害者の支援もした。刑務所でなく福祉施設で更生してもらうため、執行猶予判決を求める取り組みだ。やればやるほど、支援が必要な障害者が見つかった。
そこで田島は気付いた。刑事司法の分野で、容疑者を起訴するかどうかの権限を握っているのが検察だ。刑務所を出たあとの支援が「出口」だとすれば、検察は「入口」に思えた。「『入口』をふさげば、根本的な解決につながるのではないか」
昨年10月。田島は最高検を訪ねた。自ら書いた企画書を直訴するためだ。「知的障害者の取り調べに福祉の専門家を立ち会わせる」「検察や弁護士が、障害者の特性や更生の仕方について意見を求める専門機関をつくる」。累犯障害者の捜査を劇的に変える内容だった。
その翌月。最高検や長崎地検の検事が大挙して、南高愛隣会の施設を視察に訪れた。刑務所を出た人が暮らす更生保護施設、就労訓練をする製麺工場……。「更生のシステムが確立している」「福祉でここまでできるのか」。そう感想を漏らす検事もいた。
年が明けて、田島に最高検から連絡があった。企画書へのゴーサインだった。検察と福祉によるかつてない試みが、長崎で動きだした。それは「新長崎モデル」と呼ばれた。しかし、田島に達成感はない。
「長崎だけでの実験で終わらせてはいけない。検察も、福祉もこれからが本当の正念場だ」

(つづく)


解説

10年近く前、刑務所の中に罪を繰り返す障害者が大勢いることを知って、田島は衝撃を受けた。

これについては、後ほど明らかにされると思います。

 

獅子風蓮