「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

責任感なき厚生労働省

2007-12-13 22:18:49 | 日記
二日前、中国で鳥インフルエンザが人から人に感染したかもしれないとの情報が流れた。
新型インフルエンザの流行が現実味を帯びてきた。
この新型インフルエンザは例年のものとは異なり、若い免疫力のある人ほど重症化しやすいものとなると推測されている。鳥インフルエンザ由来のH5N1型ウイルスが免疫を暴走させ多臓器不全を起こすからだ。
国の被害想定は、国民の4人に1人が罹患し、最大2500万人が医療機関を受診、入院が200万人、死者64万人というものだが、これでも甘い想定といわれている。
新型インフルエンザのワクチン政策は大きく分けて二通りある。
現在開発されているH5N1型ウイルス用のワクチン(プレバンデミックワクチン)をあらかじめ全国民分用意するスイス式と、プレパンデミックワクチンは社会機能の維持に不可欠な職種の人に接種する分だけ用意しておき、現実に新型インフルエンザが流行したときにはそのウイルスからより効果的なワクチンを新製法と増強した設備で速やか(3~6か月)に大量製造・全国民接種を行うカナダ・アメリカ式である。

では、日本ではどうなっているか。
プレパンデミックワクチンは社会機能の維持に不可欠な職種の人に接種する分として約1千万人分(国民の14人に1人分)だけを備蓄し、現実に新型インフルエンザが流行したときにはそのウイルスから従来どおりの製法と設備で1年以上かけて全国民に新型に適合したワクチンを供給するというおよそ危機感のないワクチン政策である。

プレパンデミックワクチンは必ずしも発症防止効果があるというものではないが、交差免疫による重症化防止効果は期待されている。
全国民分の事前のワクチンを用意したとしても約1800億円(静岡空港整備事業が約1900億円)であるというから用意してしかるべきだろう。
なによりも、14人のうちの1人を誰がどうして選べるというのか。同じ国民である。
しかも、このワクチン接種を受けられない国民は1年以上にわたり死の恐浮ノおびえ続けなければならない。治療薬タミフルは早期に枯渇する。

国は8週間は続くと仮定した流行期において、不要不急の外出を差し控えるようにガイドラインで国民に示しているが、一方で「最低限(2週間程度)の食糧・日用品等は準備しておくのが良いでしょう」と実にのんびりしたものだ。
インフルエンザは決して冬だけのものでもない。
生産ラインが停止し物流従事者も不足し生産・物流が滞れば生活維持に必要なものを入手困難な地域の発生も容易に想像できる。

だいたい、現状でも医師不足・病床不足の中で、国の机上の対策どおりに想定患者を見れるわけもない。
結局、国の事務的な、ガイドラインで示した、準備しないでどうなっても後は国民の責任だといわんばかりの無責任姿勢こそが問題なのだ。

厚生労働省、この国賊のために、薬害に劣らない悲劇がまた近い将来起こるだろう。