「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

石川嘉延君の危機管理能力を評価する

2008-11-01 20:52:19 | 静岡空港
昨日の知事とその組織の危機管理無能力に続き、今日は知事会見に見る石川嘉延君個人の能力を評価してみたい。

9月22日の知事会見でのニヤニヤしながらの木が伸びたんです、伸びちゃったんですという発言。
確かに木が伸びたことによる地点もあるが、当時の質問の対象は収用漏れとして報道されているメインの立木群についてのもの。明らかな嘘発言だ。

これについて、10月29日の会見で記者に「それについては今、本当に伸びたと考えていらっしゃるんでしょうか」と問われ、
石川「私は具体的に全ての立木の状態を全部詳細掌握していませんでした。」とあくまで嘘ではなく他の立木との勘違いであるかのように言い訳する始末。
さらに、記者から「あの場で(県のミスなどの3つの原因を知りながら)木が伸びたっていう理由を挙げるっていうのは非常に不誠実な理由だと思われるんですけども、その発言については。」と問われ、
石川「まあこれはいろいろなことが進行中でありましたので、詳細を述べるのを差し控える観点からそういうことを申し上げました。」と、組織の論理でごまかし、まるで反省はない。

全員協議会でふれた責任をとるという「一段落」の時期については、記者から終いには「現時点で時期は知事の頭の中にないのですか。」とまで問い詰められて、
石川「時期は具体的に決まっていません。」ときたから驚きだ。
説明責任どころか、一連の問題の責任なんてはなっから取る気はないのだろう。
しょせんは口先だけの人間だ。

そもそも、今般の嘘の始まりは8月6日の会見
記者の「空港づくりは順調ということでよろしいですか」に「順調にいっております」と述べた時点だ。ここが、「隠ぺい」が「嘘」に質的に変わった時点だ。その後の迅速な対応を自ら縛ってしまった。お粗末というほかない。

静岡県の広報アドバイザーをも務める田中正博氏による「実践危機管理広報」(時事通信社)では、「問題(事件、事故、不祥事)を起こした組織が、真に信用失墜を招いてしまう原因は『起こしてしまったこと』よりも、むしろ、『その後の組織対応の適否(是非)』によって大きく左右される。」とした上で、正しい対応をクライシスコミュニケーションとして三つのキーワードで説明している。
すなわち、
①スピード(迅速な意思決定と行動)
②疑念を生まない徹底した情報公開(説明責任を果たす)
③社会的視点に立った判断(企業論理や組織論理から判断しない)
である。
詳しくは同書を読んでいただきたいが、我々一般社会から見れば基本的・基礎的なことばかりである。

知事の対応はこの基礎的基準から見ても0点である。
おそらくは今般のケースでは知事の近くにいてそう思った職員も少なくはなかったに違いないのだが、さすがに裸の王様にだめだしをするまでの職員はいない。
そういう意味では不幸な人だ。信頼されず利用される対象でしかないのだから。

対応を誤った某料亭の女将は店を失ったばかりか、ついに個人としても自己破産という形で破綻したそうである。
さすがに民間ではなく官という無責任容認社会にあっては、組織も彼もそこまで脆弱ではないだろう。
しかし、その罪はより重いことを認識すべきである。