「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

やはり、情報公開日本一の公約は詐欺だったのか

2011-02-18 21:20:00 | 川勝平太語録
以下は今週15日の知事記者会見の一幕である。
本県の情報公開が進まない理由がよくわかるのでその部分を抜粋し記録しておく。
(全文は県HPで御確認を。)

<記者>
 JALの搭乗率保証の裁判についての県の対応に関してですが、裁判で提出された準備書面について、県は公表されないということだったのですけれども、その理由の一つが、弁護士の先生がそういうふうにするべきだと言っているということ。・・・(中略)・・・、原本の写しでもいいですし、あるいは要約したものでもいいと思います。そこらへんは県にお任せしますけれども、公の裁判ですので、・・・(中略)・・・、やはり速やかに公表してもらいたいなと。当事者は、県であり知事でありますけれども、言わば県民が準当事者というか当事者だと私は思っています。ですので、どういう主張のやりとりがあったのかということは、やはり速やかに県民に公表されるべきだと思いますので、もう一度再考していただければというふうに思います。

<知事>
 そうですね、一旦弁護士にお任せするというふうにした以上は、その姿勢はやっぱり守るというのが、依頼した者の義務だということです。公表に関しましては、全部見られる訳ですからね。だから、時間の問題で、しかも、そう時間的なずれもですね、遅い遅いと言う程のものでもないかなと。遅いと言う程のものではないだろうと思っています。

<記者>
 やはり県民が一人ずつ東京地裁に足を運んで閲覧をするということは事実上無理ですので。

<知事>
 やってください。

<記者>
 私はやりますけれども、それを県民にやってくださいとは言えないと思うのですよ。いくら知事でも。

<知事>
 今私が「やってください」と言ったのはあなたに申し上げたのです。

<記者>
 私は言われなくてもやるのですが、やはり当事者である、当事者というか責任者である県がですね、しっかりとそれは公表するべきものだと思いますし、その法律家の判断と為政者の判断というのは別物であると思うのですね。弁護士の先生がこう言ったからというのは、よく裁判沙汰で行政側の人がよく使う言葉ですけれども、法律家の判断と行政あるいは政治家の判断というのは分けないといけないと思うのですね。

<知事>
 私は、正義はこちらにあると思っています。・・・・・(中略)・・・・・何と言いますか、数ヶ月待てとか一年待てとかということではありません。裁判というのはもちろん、公開されますので、傍聴人もいらっしゃる訳ですから。ですから決して秘密裏にやっている訳ではありません。手続き上、本県の信頼する弁護士3人にお任せしたと言った以上、私はもう彼らの見識、これを信頼し、それの言われるとおりにしたいということなのですね。これは県一体でございまして、私が言うことによって、チーム川勝の一体感が損なわれるということがありますので、この件に関しましては、スタンスは変わりません。

以上

要するに、県にとって不都合な主張は注目される公判だろうが県民の目から遠ざけたいということである。
知りたければ東京に閲覧に行けと。
しかも、一般県民だけでなくマスコミに対してもというのは静岡県らしい。
マスコミは県が発表してくれというものだけ載せてくれればいいんだという上から目線が露骨に出ている。
広告費、コマーシャルなどで県はお得意様。逆らえないということを知事も分かっているのだろう。

「手続き上、本県の信頼する弁護士3人にお任せしたと言った以上、私はもう彼らの見識、これを信頼し、それの言われるとおりにしたい」という川勝の言葉はまさに知る権利や自律性といった理念や合理性を欠く「信心」だ。
彼は職業を誤った。宗教家になった方が成功するだろう。

平成23年度 静岡空港関係県当初予算案 その2

2011-02-16 22:49:00 | 静岡空港
前段(http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/743.html)につづき、空港予算についてコメントする。

今回の空港予算でもっとも特徴的なのが新たなハコモノ「空港ティーガーデンシティー」に2か年度にわたり4億5,300万円をつぎ込む点である。
空港本体施設に加え、新たな維持管理費が今後毎年発生するわけであり、費用便益比も検証せずに安直にゴーサインというのは、新たな長期房を抱えるに等しい愚行である。

次に、富士山静岡空港利用促進協議会等を迂回しての利用者への実質運賃補助が大きく増加している点も注目だ。
前年度比16%増の4億5,096万円が「空港利活用支援事業費(補助金)」としてばらまかれる。

また、空気を運んでいるとまでいわれる空港アクセスバス維持予算9,300万円が示すのは、まさに空港聖域の現実である。
国の補助対象となるのは生活交通路線維持の民間バス事業補助が県下総額で2億9,200万円であるが、補助率はあくまで1/2以下である。
また、県単の過疎地域のバス事業補助にあっては600万円の予算であり、しかも補助率は1/2以内である。空港アクセスバスの予算で全額賄ってもおつりがくる計算だ。
空港アクセスバスが他に優先して全額県費で支えるというのは、同路線が生活交通路線や過疎地域のバス事業よりも県政上優先するという県の明確な意思の現れであり、聖域を象徴するものである。

そして、もう一つ、空港予算と直接の関係はないが、空港がらみで私が注目していた予算がある。
それが、港湾整備の予算、特に清水港関係の予算である。
見て「やはり」と思ったとおりであった。
清水港整備費は前年度比172.7%の16億8,200万円
御前崎港整備費は前年度比91.4%の1億4,400万円
田子の浦港整備費は前年度比119.6%の6億3,500万円
下田港整備費は前年度比117.6%の2億4,700万円
である。
港湾整備で潤うのは誰か、工事だけでなく利用が増えてに受けが増えて潤うのはどこか、それらを考えれば「やっぱり」である。

蜜月のふじのくに教団と地元企業の潤う中で一般県民は・・・
北朝鮮の贅を尽くすファミリーと窮乏する国民の構図が目に浮かぶ。
庶民のための政治とは程遠い現実は同じである。

平成23年度 静岡空港関係県当初予算案 その1

2011-02-16 22:18:00 | 静岡空港
平成23年度の静岡空港関係の当初予算案の内容を取りまとめたので掲載する。
なお、本年度の3776訪中職員に係る旅費予算科目(http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/612.html)の例からも分かるように、本来の予算を使わずに一見空港とは無関係の予算からでも空港のために多額の経費が投じられることに留意する必要がある。
すなわち、以下の空港関係予算は、あくまで表向きの大本営発表数字であるということである。
また、仮に今廃港にしても支出し続けるしかない建設のために借りた県債の償還年間約20億円(公債費)は以下の予算には含まれていないので留意されたい。

[文化・観光費]
・ふじのくに海外誘客推進事業費 9,020万円
(静岡空港を利用する海外誘客促進)

・空港アクセスバス運行事業費 9,300万円
(空港アクセスバスの維持費)

・空港企画推進事業費 1,410万円
(空港利活用施策の推進費)

・富士山静岡空港交流拡大推進事業費 2,340万円
(航空会社、企業、団体への利活用働きかけ費)

・空港利活用促進支援事業費 4億5,096万円
(富士山静岡空港利用促進協議会(経由しての空港利用者)、航空会社、旅行会社等への助成)

・空港広報活動推進事業費 1,100万円
(インターネット等での空港広報)

・空港ティーガーデンシティー構想推進事業費 2億2,540万円
(石雲院展望デッキ、エアメ[ト楽座等の整備:別途平成24年度債務負担3億4,100万円)
[交通基盤費]
・空港アクセス道路整備事業費 4億3,700万円
(空港アクセス道路の整備費)

・空港管理運営事業費 5億6,000万円
(富士山静岡空港(株)への管理委託料等空港基本施設の管理費用)

・空港行政費 3,838万1千円
(空港施策の推進経費)

・富士山静岡空港利便性向上事業費 6,922万2千円
(富士山静岡空港株式会社に支払う賃貸料、補助金等)

・航空保安関係事業費 4,050万円
(航空会社への補助金)

・ターミナル地区西側整備事業費 2億8,000万円
(FDA用格納庫用地整備、駐機場増設経費)

・空港灯火電源高質化事業費 1億700万円
(国の補助を受けての無停電電源装置の整備)

・空港周辺部環境整備事業費 7,500万円
(空港周辺部の管理費)

・隣接地域振興事業費助成 3億7,800万円
(地元市町への補助金)

・空港周辺部環境保全対策事業費 1億260万円
(航空機騒音対策等環境保全費用)

・富士山静岡空港周辺部緊急森林保全等事業費 6,280万円
(空港周辺部の下刈り、葛の除去経費等)

・静岡県空港建設基金積立金 5,600万円
(空港整備のための基金積立金)

[教育費]
・日中青年代表交流発展事業費 420万円
(事業仕分による廃止実績計上事業「ふじの翼グローバルリーダー養成事業費」の看板架け替え)

以上、計31億1,876万3千円(別途、翌年度債務3億4,100万円有)
(また、上記には前年同様空港関係県職員人件費約7億円が含まてれいない。)


※前(平成22)年度及び前前年度当初予算は(http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/576.html)(http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/415.html

さらに、上記以外の空港に関連する事業としては、
・地域外交展開事業費 7,650万円
(東アジア地域との友好的互恵・互助関係のための地域外交費)

・国際化総合推進費 835万7千円
(国際協力費)

・海外駐在員事務所運営費 1億3,660万1千円
(ソウル事務所、上海事務所等の運営経費)

・静岡ゴールデンサッカーアカデミー開催事業費 1,500万円
(海外実施研修での中国・韓国チームとの大会)

・ふじのくに戦略的物流推進事業 3,100万円
(戦略物流ビジョンの策定)

・重点広報推進費 9,200万円
(県政の重要施策の広報)
など。

一方の着陸料収入であるが、来年度から着陸料半額にするとしたため、本年度から約5,200万円減(これは実質、補助金と同じことである)の約1億5,900万円にとどまる見込みとなり、空港事業の収支はさらに悪化することとなる。
これを気にしてか、抗弁(言い訳)として間に合わせ用意したのが昨日紹介の経済波及効果(http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/742.html)だったが、見てのとおり意味も説得力もない代物。あまりに風呂敷を広げすぎて現実離れしてしまった。
それでも、ふじのくに教団信者にとっては教祖が明日は明るいといえば合理性も論理性も関係なく明るいと信じ空港予算を賛美するのだろう。
とても21世紀の先進国の出来事とは思えないのだが、この空港予算は100%現実なのである。

(その2)へつづく⇒http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/744.html

懲りない県、無意味な経済効果を公表し空港予算聖域化に理解を求める

2011-02-15 19:36:00 | 静岡空港

経済波及効果というと、あたかも新たに増加した経済活動効果を連想しがちであるが、県の経済波及効果は空港利用者や見学者についての経済活動を見るだけであって、それ以外(減少分)は無視したもの、つまり実増効果ではない点に留意する必要がある。
例えば空港見学者であるが、普段昼を外食している人が無料駐車場に車を止めて見学しそこで昼食をとったとしよう。
普段の金額と空港での金額が同じ、例えば1,000円なら、実増消費額は0円のはずである。
しかし、県の計算では1,000円の効果となるのである。
これは空港利用者についてもいえることで、毎月JRで来県していた営業担当者が静岡空港を使って同じだけ県内で消費し、実増消費額が増えなくても県の計算では静岡空港を使ったということだけでその人の空港利用来県時の消費額のみが効果として算入されるのである。

つまり、県発表の経済波及効果とは空港によって新たに増加した経済効果ではないのである。
はっきり言えば無意味な数字である。
もう少し巧妙に創作してくると思っていたが、こんな調査成果では委託料(税金)をどぶに捨てたにも等しい。
ちなみに総合効果というのは直接効果から自動的に算出される効果(例えば弁当購入費を直接効果とすれば、その運搬や材料生産などの経済活動への波及何パーセントあるというふうに計算されるものである。)であるので根拠としては画像の県記者発表資料中の「直接効果(13,679百万円)の積算基礎」を見ればよい。

そして、この積算の基礎が年間利用者数(63.4万人)とイコールであることを見れば、新規増(純増)効果でないことは一目である。

にもかかわらず、相変わらずというか懲りないというか、県担当者のお気楽なコメントに失笑した。
「県は今回の試算結果について「空港は、使われることでかなりの波及効果があることが改めて確認できた」」(産経)
「経済波及効果が245億円に上った結果に同課担当者は「空港建設費1900億円のうち、本体部は490億円。経済波及効果は本体部の半額まで貢献できたのは大きい」」(中日)

おそらく、県議会の高齢議員は数字の根拠なんて分からないだろうと思っているのだろう。大本営発表なら世間離れした需要予測にさえ、ころっとだまされるくらいである。

ちなみに県が昨年度開催し発表した「第24回国民文化祭・しずおか2009」の経済波及効果は178億5千万円、雇用誘発効果は1,180人であり、予算は10億5千8百万円、しかもわずか16日間での経済効果だ。(http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/626.html

何なら空港に年四十億円超の予算を投じるよりも毎年十億円かけてイベントでもした方がいいんじゃないのかと真顔で県議会で議論してみたらどうか。
とはいえ、少しはまともな議員もいるだろうから付言するが、企業の投資判断の基礎となるROIに相当する指標であるCBA「費用便益分析」を求める習慣をつけるべきである。
もちろんこれだけですべてではないが、少なくともこれなくして公共財・サービスの供給者としての効率的な資源配分を秩序立てることは不可能だ。

不正経理関係公文書の非開示に係る意見書

2011-02-14 19:27:00 | 近況活動報告
以前(http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/722.html)お知らせのとおり、知事の意見書(業者名等非開示の理由の主張)を受けて、本日の開示文書閲覧に併せて以下のとおり意見書を提出したので公開する。


意 見 書
平成23年1月25日付け静情審第33号で依頼のあったこのことについて、静岡県情報公開条例(以下、「条例」という。)第25条第2項に基づき、本書のとおり意見書を提出する。
また、本書をもって、意見陳述については希望しないことを併せて回答する。

 処分庁による平成23年1月21日付け出管第120号-3「意見書」(以下、「処分庁意見書」という。)について、以下のとおり意見を述べる。
1 処分庁が非開示とした具体的な理由について
処分庁は、「年度別業者別物品納入整合表」(以下、「対象公文書」という。)記載の業者名の特定につながる「業者」欄及び「業者名」(以下、「業者名等」という。)について非開示とし、その根拠として条例第7条第3号イ、条例第7条第3号ア及び条例7条第6号を援用し、以下の3点を主張している。
①条例第7条第3号イ該当の具体的理由においては、「今回の調査に当たって、提出された帳簿の写しの取扱いについて秘密の厳守や目的外に使用しないことを条件に付したが、県の会計調査のため、取引件数の実績により一律に業者の帳簿の写しの任意提出を求め、多くの業者の協力を得る必要があることから、このような条件を付したことには合理性がある」と条件付与の「合理性」の存在を処分庁は主張している。
②条例第7条第3号ア該当の具体的理由においては、「3つの「判定」欄とともに「業者名」欄を公にすることにより、不適正経理に関連付けられた業者は、一律に不適正経理に関与したとの誤解を県民に与え、今後の営業活動に支障を及ぼすおそれがあり、業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」と処分庁は業者の営業活動への支障の「おそれ」の存在を主張している。
③条例第7条第6号該当の具体的理由においては、「仮に業者名が判定結果とともに明らかとなるようなことになれば、(2)で述べたとおり業者には営業活動に支障が生ずるおそれもあることなどから、相当な負担をしてまで県の調査に協力しないという業者も出てくるものと考えられ、今後の調査の実施が困難になるおそれがある」と調査継続への障害のおそれを主張している。
 
2 援用条例各条項の解釈について
(1) 条例第7条第3号イの解釈について
条例第7条第3号イにおいては、①「公にしないとの条件で任意に提供された」情報であることに加え、②「法人等又は個人における通例として公にしないこととされている」情報であるか、又は③「当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められる」情報である場合に非開示とできると規定されている。
また、当該条項による非開示の保護法益については、「公開の取扱いに対する期待と信頼は保護に値するものである」(「静岡県情報公開条例解釈及び運用の基準」、以下「同基準」と記す。)と解釈されている。
さらに、「法人等又は個人における通例として公にしないこととされている」の解釈としては「客観的にみて、当該法人等又は個人が属する業界、業種において、公にしないとの慣行が存在するかどうかを判断する」(同基準)とされ、「当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められる」中の「当時の状況等」の解釈においては「当該条件が付された時点における諸事情を基本に判断することを意味すると同時に、他方において、その後の事情変更(例えば、その後に提供者自ら公にした場合や公にすることについて提供者の承諾が得られた場合など)を勘案する余地も残す趣獅ナある」(同基準)と解されている。
加えて、同基準においては「実施機関は、事務又は事業の執行に不可欠な情報の収集については、根拠規定を定め、それにより情報の収集を行うよう努めるべきである。」と、むやみに本非開示条項による情報収集を図るべきではない獅ヲしている。
(2) 条例第7条第3号アの解釈について
条例第7条第3号アは、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」情報を非開示と規定しているが、当該条項の解釈として「権利利益を害するおそれがあるとは認められないもの」(同基準)として「市場の流通に置かれた商品の客観的な品質、性状等何人でも相当の負担をすることによって調査可能な情報」(同基準)が挙げられている。
(3) 条例第7条第6号の解釈について
条例第7条第6号における、(県の)事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれについては、「「適正」とは公にすることによる支障だけでなく、公にすることによる利益も考慮して判断しようとする趣獅ナある。したがって、「支障」の程度は、名目的なものでは足りず、実質的なものが要求され、「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく法的保護に値する蓋然性が要求される。」(同基準)と解されている。

3 処分庁が非開示とした具体的な理由に対する反論
(1) 条例第7条第3号イ適合性について
処分庁は業者に対して「提出して頂いた帳簿の写しの取扱いについては万全を期し、秘密を厳守します。また、帳簿の写しの内容は調査以外の目的に使用することはありません。」との条件を付し情報を収集したものであるが、依頼者、被依頼者ともに、具体的にいかなる情報を「秘密」と定義し、いかなる使用方法を「調査以外の目的」と概念しているか不明確である。
そもそも公金で購入した物品の納入業者名については開示して当然の情報であり、かつ前述処分庁が業者に示した条件から「業者名等」を非開示にするとの期待と信頼があったとはいえず、前記「条例第7条第3号イの解釈について」中の①の要件及び②の要件を満たしているとはいえない。
また、処分庁が県のホームページ等で「全庁会計調査結果報告書」及び「全庁会計調査結果報告書(資料編)」を公表したことにより、例えばその差替え事案の1例目の経営管理部自治局の調査聞取り調査結果中「差替え2件、127,080円は、①ブックエンド他の消耗品3品目82,530円を納入させ、ブックエンド分を他の2品目の単価に上乗せして支払ったもの(17 年度)」などの記述から、知りたい個別のケースの支出票又は物品取得伺(以下、「支出票等」という。)を公文書開示請求することや替え事案に係るすべての支出票等を公文書開示請求すること等によって、処分庁が非開示とした「業者名」はいかようにしても支出票等の公文書から直接了知しうる情報となるものであり、対象公文書上の「業者名等」を非開示として保護すべき「期待と信頼」の法益は存在しえない。(甲1号証及び甲2号証)
すなわち、具体的な調査結果事実の公表により、処分庁が業者に示した条件は合理性を欠く条件となったことは明らかである。
よって、前記「条例第7条第3号イの解釈について」中の③の要件をも満たしていない。
加えて、処分庁が非開示とした「業者」欄記載の電話番号にあっても、「業者名」が判明すれば電話帳等から容易に知りうる情報である。
 以上のことから、処分庁の条例第7条第3号イの適用は誤りである。
(2) 条例第7条第3号ア適合性について
対象公文書は調査における客観的事実を集計した帳票であって、県と業者のいずれにどのような責任があったかなどの価値判断(評価)を含む文書ではない。
一方で処分庁は「「前年度納入」、「翌年度納入」等のように業者側には関係ないものまである」と評価しているが、「全庁会計調査結果報告書」においては、そのような調査結果としての評価は示されていない。
そもそも、非開示とした「業者名等」の情報は何人でも条例によって入手可能な同じ処分庁の公文書から判明しうる情報なのであって、通常一般人をして複数の情報源から情報をつなげるいわゆるモザイクアプローチによって非開示情報が調査可能な情報にあっては当該情報の開示によって新たに権利利益の侵害性が生じるものと観念することはではないことから、対象公文書上の「業者名等」を非開示とすることには実質的な意味がない。
すなわち「業者名等」は、まさに「市場の流通に置かれた商品の客観的な品質、性状等何人でも相当の負担をすることによって調査可能な情報」(同基準)であって、当該情報の開示により「権利利益を害するおそれがあるとは認められないもの」(同基準)である。
以上のことから、処分庁の条例第7条第3号アの適用も誤りである。
(3) 条例第7条第6号適合性について
処分庁は業者の協力を得ての同様の調査を「今後もぜひとも実施しなければならないもの」と主張するが、調査継続を不可欠と主張するならば、まさに「実施機関は、事務又は事業の執行に不可欠な情報の収集については、根拠規定を定め、それにより情報の収集を行うよう努めるべきである」(同基準)。
さらに処分庁は「仮に業者名が判定結果とともに明らかとなるようなことになれば、(2)で述べたとおり業者には営業活動に支障が生ずるおそれもあることなどから、相当な負担をしてまで県の調査に協力しないという業者も出てくるものと考えられ、今後の調査の実施が困難になるおそれがある」と主張するが、対象公文書と併せて支出票等の公文書を開示請求すれば同様の事態となるものであって、業者における期待と信頼が「(対象公文書上)業者名が判定結果とともに明らかとなる」ことがないという単に形式的なものであれば格別、そうでないならば処分庁の主張は根拠を欠くというべきである。
本件の場合、業者がそのような形式的秘匿を期待し信頼したと認めるに足る事実は適示されておらず、県の主張する対象公文書の非開示事項の開示を事務事業への「おそれ」とする認識は「法的信頼に値する蓋然性」を欠く認識である。
以上のことから、処分庁の条例第7条第6号の適用も誤りである。
(4) 総括
以上(1)、(2)、(3)に反論のとおり、処分庁が非開示とした条例上の根拠規定の適用判断には誤りがあり、対象公文書の公開により判明する事実を別の公文書を別途請求しなければ判明させないという情報公開の姿勢は、条例の目的とする「県政の公正な執行と県民の信頼の確保」という目的にももとる情報公開の姿勢であり違法である。
以上のことから、対象公文書上の「業者名等」は、当然に公開すべきである。

4 付記(添付書証説明)
甲 標目 作成者 作成年月 説明の趣
1 「全庁会計調査結果報告書(資料編)」抜粋1枚 静岡県 平成22年10月 公文書の特定につながる具体的事実を公開している事実。
2 「支出票」(添付の納品書含む)3枚 静岡県 平成17年7月 差替え事案の事業者の関与が対象公文書以外の公文書から判明する事実。

以上