宇宙から見える春空ももいろに 火を焚けり「プラトニック・セックス」読み継ぐとき ジパングと呼ばず春黄金花覗き込む 無帽の人菜の花畑に現れて消ゆ 死にそこないの青ってやつは飛花落花 引き込み線一駅ごとに緑立つ 花筵闇とは白きものと知る 銀河より遥か落花のけむりたつ イースターまさか盲愛のドラマとは はらはらと日めくりの音花の闇 薄れゆく水菜の青を水に追ふ
テーブルを叩いて去りぬ飛花落花 ひとときは恋の残り香落花の日 ミニチュアの名無しの城にもある落花 落花落日あの闘いは続いている 大落花船団もぬけのからになり いっせいに隣家に向かふ飛花落花 東京の闇の明るさ余花終わる 余花ちるときもう人間には戻るまい 人工の滝も拒まず飛花落花 ある阿呆の一生落花のしきりなり
連翹忌またもこの世ではぐれけり これはジャニスのサマータイムと推定無罪 落花地点は無数に どれが私かわからぬ 冬林檎を剥いても肉も骨も見えず 海へにげても空へにげても帰るところはひとつ 平成はまだ始まったばかり海のそばでむほん 白兎は白のまま巨大な不幸を語る ここまでは人猿ここからはキャシャーンの支配地 北乃きいは空中から「第三の性」を取り出した ふらここの交差す私の抜け殻が散乱
御神渡りベルリンの壁は健在なり 飛花落花まごうことなきスッカラカン ソーラー電池何本溜めても夏は来ず スサノヲの蚯蚓退治はまだ三度目 春黄金花(カネゴン)に問ふカネは喰ったあとどうなった 吉岡禅寺堂は俳句でパントマイムをやっていた 春猫の集会無言のまま終わる 子規庵の落花はこの世だけのこと ふらここやポールシフトは始まっている 長テーブルに饂飩敷き詰め桜散る
これは戦争とは違う戦争西東忌 西東忌渡る世間は鬼ばかり この痛み冷やしても無駄三鬼の忌 吉田拓郎並の転居数三鬼の忌 西東忌生きてればホームレスに違いない 乳房はすでに人体パーツ西東忌 西東忌戦後の戦後次の虚空 猫嫌いは同族ゆえか三鬼の忌 投石機の瓦礫と化せり三鬼の忌 火の無い所に煙は立たず三鬼の忌