箱根で育ったと言うと、たいていは、
「ご実家、温泉ですか ?」
と、聞かれるのだけど、違う。
しかし、近所の旅館の温泉にいれてもらったり、友達の家の温泉に入れてもらったり、
普通の子供よりはデッカいお風呂に入った率は高い育ちをしたかもしれない。
最近はなおさら、
どへ~疲れたなぁ。という週末は、デカいお風呂に頼ってしまう。
街には温泉は気やすく無いが、スーパー銭湯という素晴らしい娯楽施設がある。
スーパー 銭湯には高濃度炭酸泉というのがあって、これがヌルい。
ヌルい風呂に、ぼへ~と浸かって、目の前のパンパンしたのやガリガリしたのや、シワシワした霊長類の長の雌標本をなんとは無しに眺める。
ぼ~っと思い出すのは、子供の頃に母と祖母と行ったデカい風呂だ。
祖母の実家がお風呂屋さんだったことがあるらしく(鉄工所と不動産屋だったこともあるらしい)、公衆浴場でのマナーは一通り厳しく教えられた。
電車にはおとなしく座っていられない我が末っ子にも、私は公衆浴場でのマナーをたたきこんできた。いわばエリート教育だ。
なのに最近は、女湯に入るのが嫌だと言ってついてきてくれない。
寂しい限りである。
でも、スーパー銭湯の暖かさは、一つの私の幸せのシンボルになっていて、それは、私のしあわせだった幼い日々の記憶と直結しているからかもしれない。