野性派でいこう!

日々の徒然です。子供四人。自然派。遺跡発掘事務所でお仕事。遺跡発掘調査で働き、やっぱり描いたり書いたりする日々。

鉄塔物語

2015-11-20 20:49:57 | 日記
もう14年前。

上の子供たちが通っていた保育園で、開園記念日かなにかの時、保母さんたちと親と一緒に人形劇をして子供に見せようということになった。

東欧の物語がベースで、元気なボールが飛びはねて冒険する物語。

わたしは背景の絵を描いた。

鉄塔が出てくる背景。

その時、わたしの描いた鉄塔の絵を見て、園長先生が、
なぜ、地面から三角形の鉄塔が出ていないのか、と言った。

確かに、わたしは、鉄塔の脚がこちらに迫りくる壁のように、逆の傾斜をつけて描いたのだった。


ストーリーは、その鉄塔の上の方に雨雲があって、悪役の凧のムラクがその雲の中に住んでいる。

これから、元気な子供のボールは、凧のムラクと対決しようとするシーンだ。

ならば絶対に、
客観的に遠く見える三角形の鉄塔ではなくて、

ボールの子から見た、迫りくる壁の鉄塔でなくてはいけない。

と、思ったのだが、わざわざ説明しなかった。


その時のわたしは、逆にそういわれればそうだなぁ。と、初めて気がついておどろいて、説明するまで頭が回らなかったのだ。


でも、園長先生はそのままその絵を使ってくれた。

わたしは自分の感覚がちょっと人と違うということに気づかなかった。

たいてい、自分のままを出すといつもこっぱずかしい目にあってしまうのだ。

でも、園長先生がスマートにスルーして受け入れてくれたので、いま思うと大変ありがたい事だったなぁ。と、思った。


今日、仕事場のお山の上の発掘現場から、隣の敷地に立つ鉄塔を見ると、
やっぱりこちらに迫ってきている。

そして、写真を撮ってみるとちゃんと地面から三角形に立っているのである。

おやまぁ。

また、ちょっと驚いて、14年前の鉄塔にまつわるお話を思い出してしまったというわけなのだった。