クラブボクシング@ゴールドジム湘南神奈川

普通、湘南辻堂といえばサーフィンなのにボクシングでひたすら汗を流すオッさん達のうだうだ話!

明日への扉 1

2014年11月14日 | あの頃 朴は若かった
1989年8月15日の零時近くのことです。

私は単身赴任先のイギリスはウインブルドンに用意されたアパートに到着しました。

成田より半日以上かけてのフライト、初めての海外赴任の緊張で甚だ疲れ切っていました。

アパートの鍵は日本で既に渡されています。「ささっと寝よう」と鍵を鍵穴に挿し込みながらノブを引いても、ドアは全く開きません。「あれ?おかしいな?」ともう一度同じことを繰り返しますが、ビクともしません。

「おかしい・・・」鍵は鍵穴にすんなり入り、左右に回り開錠施錠は出来るようなのですがドアは開きません。

鍵を街灯にかざし確かめるのですが問題はないようです。ライターの火を頼りに鍵穴を覗きますが、特に異常はありません。でも、ドアが開かない。

ドアに右足をかけ、左足で踏ん張りながら、両手で力任せにドアを引きますがビクともしません。開かない原因がさっぱり分らない。

もしかして中から誰かが引っ張っているのではないかと思い始めます。

そうして、一時間ほど開かないドアと格闘しているうちに、不安と疲れと苛立ちと情けなさで薄らと涙が出てきました。「どこかホテルにでも泊まろうかなあ・・・」と諦めながら、ドアに凭れ掛かると、あれま?

ドアはスッと開いてしまったのです。そう、イギリスのドアは外から内に入る時には「押して入る」のです。日本は「引いて入る」、その逆なわけです。

それは室内でも同様で、廊下から寝室に入る時は「押す」、寝室から浴室へ入る時も「押す」のです。内から外へ開ける際は当然その逆になるわけです。そんなことすら分らない状況で渡英したわけです。

「押してもダメなら引く」「引いてもダメなら押す」とよく言いますが、物事の理の一端を私は本当のドアの「押し・引き」で学びました。

無理やり結論に結び付けるとするなら、この要諦めいたものはボクシングにも通じることでしょうか。

「押して押して」もいいのですが、それは相手のあること、「押して・引いて」相手を崩していく。そういう駆け引きやテクニックを学んで行きたいと思う次第です。