クラブボクシング@ゴールドジム湘南神奈川

普通、湘南辻堂といえばサーフィンなのにボクシングでひたすら汗を流すオッさん達のうだうだ話!

鳩よ!(後編)

2015年04月15日 | あの頃 朴は若かった
あ、どうも朴竜です。

子供の頃、近所にひとつ歳下の男の子で、私と同じ名の「伽於(きゃお)」がいました。

ひとつ歳下の伽於は身体は私よりひと回り大きく、いつも真っ裸のフル◯ンで外を走り回り、アワアワと自分は上手く喋れないので意思を上手く伝えられないのですが、人の気持ちは分かるのです。

懐っこい伽於は嬉しくなるとすぐ抱きついてくるのですが、身体の大きいフル◯ンが嬉々と突進してくると私も怖いし、他の大人もそうでした。

伽於のお父さんは酒乱、美人のお母さんは万引きを繰り返しいつも警察のお世話になって、そんな夫婦はいつも殺し合いのような喧嘩が絶えません。伽於は朝に夜に喧嘩が始まると、哀しい声で咆哮するのでした。
ウォーウォーとずっと泣いているのでした。

そんな伽於には世の中で不思議に思えるものがたくさんありました。ひとつは「換気扇」でした。

いつもフル◯ンですから、冬の期間にはないのですが、毎日毎夕に朴家の台所外に来てはクルクル回る回る換気扇を見上げてウォーウォーと喜びの雄叫びを上げるのです。換気扇の何が楽しいのか分かりませんが、飽きずにずっと換気扇を見つめているのです。

さて、その換気扇横に父が拵えた鳩舎がありました。

東京から痛々しく連れ帰った10羽の鳩が住んでいます。

所謂、東京育ちの野鳩はなんの訓練もしていないのに、北海道の空に放っても帰巣本能なのか夕方にはしっかり帰ってるのでした。

が、しかし、伽於が毎日毎夕換気扇を見て咆哮を上げていると、やっとの思いで連れ帰った鳩達が怖がっていつの間にか帰ってこなくなったのです。

伽於を追い返すのも大人気なく、酒乱に言うのも怖い両親は結局いつも伽於に優しく換気扇を見せ続け、せっかくの鳩を失うのでした。

鳩を連れて帰るとダダを捏ねた弟は、既に飽きたのか、帰ってこない鳩達に特になんの興味もないようでした。