山口さんとカラオケに行った時のお話。
外人のゲストも入れて総勢8人で部屋を借りました。その部屋は4階にありました。
さて、乾杯を終え誰彼が勝手に歌い出して15分くらい経過した頃に2杯目の飲み物をオーダーすることになりました。
受付に繋がる部屋の壁掛け電話の近くに山口さんが居心地悪そうに大人しく座っています。
「すみません山口さん。電話に一番近いので、飲み物をオーダーして貰っていいですか?」と女性社員。
「じゃあ、カシスオレンジとジントニック、モスコミュール、カンパリソーダ。朴さん何にします。え?じゃあ生追加。」
山口さん、聞いたこともないような飲み物を一気に云われて慌てふためきます。
そんなものひとつずつ聞きながら電話でオーダーすれば良いものを、何故か聞き返しながら手のひらにボールペンでメモるありさま。
メモリ終えたらブツブツと言いながら部屋から出て行きました。
「トイレかな?」
「トイレ行く前にオーダーしてくれたらいいのにね~。」と奇行が日常の山口さんですから、まあ文句を言いながら暫し待つことにしました。
ところが、山口さんが戻る前に飲み物がやってきました。そして暫くして息を切らしながら山口さんが戻ってきたのです。
そして暫くしてまた飲み物の追加オーダーを電話に近い山口さんに頼むことになりました。前回と同じ手のひらにメモりブツブツと外に出て行きました。
で、また山口さんが戻る前に飲み物が届きます。まあ、別に飲み物があるなら山口さんがいなくても構わないので、我々は引き続き歌い狂っていました。
暫くしても山口さんは戻ってきません。
頻尿の山口さんですからトイレかな?と思い、私もトイレに行こうとドアを開けたところ、廊下にあるソファに山口さんが苦しそうに寝そべっているのです。
「山口さん!大丈夫ですか?どうかされましたか?」
「いやいや、朴ちゃん達飲み物を頼むから一階まで降りて頼んできたんだけど、さすがに4階から2回降りてくのはつらいぞぉ。」
「山口さん、飲み物は部屋の電話でオーダーするんですよ。一階まで行かなくてもいいんですって!」
「え?そうなの? 知らなかった!びっくりしたぞ、朴ちゃん!」
あ~ この人、いい人だなあ。でも、滑稽な物知らずだなあ。
写真は本編と全く関係ない全然食欲が湧いてこない不味そうで投げやりなディスプレイです