山口さんはタバコが大好きで、セブンスターを1日二箱は最低吸っていました。
そんなヘビースモーカーですから、出張の移動時は彼にとってツライ時間帯なのです。
古いなめし革のような皮膚は長年の大量のタバコの影響もあるに違いありません。
さて、当時の勤務先はかなりのバブルと言うか野放図と言うか、新幹線はグリーン車での出張が認められていました。
勿体無いと思いつつも広いし綺麗だし、何よりエグゼクティブな感じが嬉しくて、慣れたらクセになってしまうのです。
山口さんとふたりで出張する際は私が二人分のグリーン車を予約するのですが、いつもいつも新幹線が発車するまでは私の横にいるものの、5分も経つと喫煙車両に消えていくのです。(今は喫煙車両はないかもです)
喫煙者の私でも喫煙車両は酷いと感じます。単に車両移動のために数秒いるだけでも、衣服や髪の毛についた匂いは取れず、眼は煙で痛くなるのです。
その車両に山口さんは例えば大阪に行くなら2時間以上、岡山なら3時間以上居続け、吸い続け、駅弁を食べ、惰眠を貪るのです。
ですから、新幹線を降り私のところにやって来るときに、もう凄い匂いの繭に包まれて、そばにいるのも耐えられないくらいなんです。ファブリーズの風呂に頭まで使って欲しい!
そんな状況ですから、取引先の応接室は山口さんが連れてきた匂いにやられてしまい。商談を打ち切られることもありました。
「山口さん!喫煙車両に行かないでくださいよ。グリーン車勿体無いないし、客に迷惑ですから。私もツラいですよ!」
「朴ちゃんも吸うクセに怒るからびっくりしたぞ!」
「いやいや、私の問題じゃなくて、匂いが客に迷惑なんですってば!」
う~ん
やはりこのくらいじゃないと生き延びていけないんだよなあ。
写真は本編とは全く関係ない茅場町にありました中東居酒屋。