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2ヶ月待った新車でドライブ。
コンパクトカーとは言え、
元々軽自動車に乗っていた私にはデカく感じた。
東名の厚木ICから下り、
足柄SA、富士川SA、清水JCTで新東名の上り、
駿河湾沼津SA、途中大雨に降られ、
伊勢原JCTから圏央道で茅ヶ崎へカムバック。
約200kmのドライブで料金は結局100円。
そうか、高速は途中で降りてないから、
お金かからないんだな。
茅ヶ崎駅付近で自転車が横断。
丁寧に会釈してくれた。
あ、隊長だ。
エメロードで自転車が横断。
あ、隊長だ。
ブックオフの前で自転車が横断。
あ、隊長だ。
そうか、隊長は前の軽自動車は乗ったことあるけど、
この車は私ですらまだ慣れていない。
駐車場で何回も通り過ぎたね。
そもそも暗くなってたし。
しずおかロングポテト。
サクサクで意外とうまい。
社会人一年目の話だからもう35年前の大昔のお話です。
私は某証券会社の池袋支店に配属されました。佐藤師匠は6つ歳上の営業課長で私の教育担当係を任ぜられた支店の先輩でした。
当時、28歳。社内結婚で3歳の娘とお母様と埼玉県川口市に住んでいらっしゃいました。私は何度も自宅に招かれたり、本当にお世話になった方でした。
師匠は全店でトップセールスマン。口癖は「仕事は見て覚えろ!同期に負けるな!」でした。
私の飛込み営業初日、師匠は「じゃあさ朴ちゃん、これから営業の神様の俺様が飛込みの見本を見せてやるから、よ~く見とけよ!見て身体で覚えろよ!で、もし取れたら俺の客ってことでいいよな?」
と頼もしくもセコい発言をかまします。そして。
「こんにちわ~ お忙しいところすみません。私、◯◯証券会社池袋支店の佐藤ともう、え?ほんとに忙しい?でも、5分だけ?え?間に合ってる?え~‼︎名刺だけでも~ あ、ダメ?分かりましたあ。じゃあ失礼しま~す。」
「師匠ぉ ダメでしたねぇ。いくら初めてでも、ちょい酷いっすよねー⁈」
「いいか!朴ちゃん。今のは悪い見本だ。断られ方も勉強のうちだ。それから、今のは貧乏人だから、あんな奴は相手にするなよ。時間の無駄だしな。分かったか!」
「へ~い、わかりやした。ありがとうございます。じゃあ次お願いします。」
「こんにちわ~ ◯◯証券会社池袋支店の佐藤と申します。え?ウチは八百屋だからカブは売るほどある?って、大将!上手いことおっしゃいますね。カブに株、はははは~ あ、忙しい? いえいえ、あ、帰れ? じゃまたぁ。」
「師匠ぉ!あんなつまんないダジャレで引き下がんないでくださいよ!」
「いいか!朴ちゃん。八百屋は大体あんなこというんだよ。それを見せてやりたかったわけだ!それに八百屋は金がないのが相場だから、八百屋に飛び込んだらダメだぞ!分かったか!」
「師匠ぉ!じゃあなんで金ないとこに飛び込んでるんですかあ?」
「あのなー朴ちゃん。おまえ煩いよ。せっかく営業の神様が身を以て教えてあげてるのに、もう教えないよ。」
「師匠!大変失礼しました。では次ヨロシクお願いします。」
「よし、分かればよろしい。新人は素直が一番よ!じゃあ、次、今度は事務所に飛び込んでみよう!」
「こんにちわ~ ◯◯証券会社池袋支店の佐藤と申します。社長さんいらっしゃいますか?」
「私が社長ですが何か?」
「社長さん、株式とかお取引されてますか?
あ、やだなぁ社長!もう、沢山四季報お持ちじゃないですか!ウチとも取引しましょうよ。新規発行の転換社債お持ちしますから。
え?今日相場が下がってる理由?理由ですか?理由? そりゃ売りたい人が多いからですよ。あ、今のは冗談です。あ~ 朴くん。お客様に下がっる理由を説明してください。」
「初めまして新人の朴竜と言います。昨日、米国の雇用統計が発表されまして、非農業部門の雇用者数が予想より低くかったこと、新規失業保険の申請件数が予想より高かったことを背景に景気拡大に水をさすのではないかと、ニューヨーク市場が売られたのに日本も引っ張られていること、またそれで円高に振れたりしてることでしょうか。個別銘柄の状況は分からないのですけど。」
「社長!ということです。あ、彼は朴竜です。良く勉強してる?ありがとうございます。うちのエース!期待の星ですから。で、頭デッカチにならないように、今、私が教育してるんですよ。あ、じゃあ、これを機によろしくお願いします。失礼しました。」
「師匠ぉ!店出る前に情報チェックしてなかったでしょ~?酒臭い匂いで出勤してくるし!」
「あのなー
おまえ煩いよ。今のはお前がどれだけ勉強しているかチェックしたんだよ。今日は合格だな。で、さっきの社長は後で俺が転換社債持っていくから。俺の客ってことでいいな? あ~疲れた!午前の飛び込みはこれで終わり!午後からはひとりで飛び込め!お前に教えることはもうない!」
「え~ 師匠!なんすかあ~それ。適当じゃないですか?」
「煩いね朴ちゃんは。そんなこと言ってると嫌われちゃうよ。あ~ それから、おまえ今日は夕方まで支店に帰らなくていいから。俺、おまえと一緒に飛込みすることになってるんで、そう言うことで。俺、サウナで寝てくるわ、じゃあヨロシク!」
佐藤師匠!
お調子者で、自分に甘くて適当で、せこくて、時間にルーズで、でもそれに余るくらい優しく接して頂きました。
私がもう60歳近いのに外資系金融機関で長々といられるのはあなたが、適当さや、どうにかなるさなるものを教えてくださったからだと感謝しています。
例えば「Lord of the Rings」や「End of the World」や「Sound of Silence」などに使われるこの英語の前置詞
「of」は皆さん習われた通り「~の」、「~から成る」、「~のための」等々色々な意味があるわけですが、
一番使うのは「~の」だと思うのです。End of the World(世界の終り)って使うんですね。
さて、史上最強の上司の山口さん(ファーストネームは「徹」)のお話。
当時、私が勤務していた会社は米系資産運用会社で本国からよくゲストが来て一緒に仕事をすることがありました。
日本語もろくに話せない山口さん、当然英語はちんぷんかんぷんです。
それでも初対面の時は一応形だけの上司としても挨拶はしなければならないと思うんですね。
恥ずかしいから出てこなければいいんですけれど。
そして「朴ちゃん、初めましてって英語でなんちゅうの?」とか「午前11時はGood MorningそれともHello?でも12時だとどっち遣えばいいでしょうか?」
とどうでも言いことを
色々と聞いてきて面倒くさいんです。
とにかく外人に会うと緊張してしまうんですが、それでも一応「自分はこの部の代表だ!」ってアピールしたいです。面倒な人です。
あ、そうこうしているうちにアトランタからゲストがやってきました。
「おー、朴ちゃん久しぶりだねぇ。元気にしていたかなぁ。」「うん、まあまあだね。時差ボケとか大丈夫かい?」等とお互い英語で挨拶をしているわけですが、そんな僕らのずっと後ろで山口さんは緊張の面持ちで挨拶の順番を待っているのです。
そしてようやく順番が回ってきました。山口さん、最初に英語の挨拶を忘れないうちに先に名乗りたかったようなのですが、
いきなり「Oh! It’s very nice to meet you. My name is John Doyle, I’m in charge of alternative product development・・・・」
と先に名乗られてしまい自分が何を言うべきなのかすっかり忘れてしまい、
パニックになっていったのが
「オー、イエース、イエース、マイネーム イズ 徹オブ山口! 徹オブ山口!」と連呼するのです。
確かに由緒正しい血統の両家ではこの「of」を使用するということもどこかで聞いた記憶がありますが、
それにしてもこの場合「私の名前は 徹の山口、徹の山口」って言ってるわけですから外人も「What?」と聞き直してくるのです。
そこで山口さん「朴ちゃん、このofって使っちゃいけないんだっけ?びっくりしたぞ、じゃあin? with?」とかうる覚えの英単語を並べて聞き直してきます。
そこで、モノマネ上手のはしもっちゃんが「あ、山口さん。別にofでも間違いじゃないんですけど、丁寧にいうときはABOVEですよ。ABOVE(~の上に)」
「ふーん、そうなの?びっくりしたぞ、朴ちゃんちゃんと教えてよ最初から!
オーイエス、オーイエス、マイネーム イズ 徹アバヴ山口 アバブ山口!」
徹さんの上に山口さんがいるわけですね。
天は人の上に人を作るわけですね。いやいや、びっくりしたぞ!