春の陽ざしに誘われて、3月15日に碧南と知立の近代建築を訪ねました。
名鉄三河線の終点碧南駅で降り、大浜港を目指します。大浜港を望む大浜地区は、古くから漁港の町として栄え、現在も細い路地に板塀の続く古い町並が残っています。大浜港に近い堀川沿いに建つ旧大浜警察署は、大正13年竣工の鉄筋コンクリート建築で、玄関脇の八角形の塔屋が目を引きます。当時流行のセセッション様式を取り入れたデザインで、刈谷を中心に活躍した大中肇の設計と言われています。
現在は町の拠点施設として再活用されるためのリニューアル工事中で、外観も新しく塗り直されていました。
●建物全景
八角形の塔が大正時代のレトロな雰囲気を今に伝えます。
左端に見える石柱にはバロメートル(気圧計)が埋め込まれています。
●漁に出る船が利用した、石柱に埋め込まれたバロメートル(気圧計)
●塔は潮見台とも呼ばれ、当初は火の見櫓としても利用されました。
●建物裏手(東面)には新たに庭も造られ整備が進んでいます。
●玄関脇には「大濱警察署」と刻まれた白い石のプレートが埋め込まれています。
幾何学模様をモチーフにしたデザインは、大正から昭和初に流行したセセッションの影響がうかがえます。