今渡発電所は木曽川と飛騨川が合流する地点からすぐ下流、木曽川水系の最下流に位置するダム式発電所で、設計は木曽川水系で多くの発電所を手掛けた佐藤四郎建築事務所です。
佐藤四郎は木曽川で7つの発電所(寝覚発電所、桃山発電所、読書発電所、落合発電所、大井発電所、笠置発電所、今渡発電所)を設計していますが、発電所の外観はそれぞれ異なったデザインが採用されています。
今渡発電所の外観はまさにコンクリートの四角い箱ですが、その白い箱の外壁は柵で囲ったようにぐるりと柱で囲まれ、まるで巨大な虫かごを連想させます。
基礎部分から屋上まで通されている主柱の間に、等間隔に同じ長さの連続した付け柱(ピラスター)を配し、すべての柱は屋上から飛び出し上に伸びています。
建物正面の主柱4本と側面の両端の主柱2本は、付け柱より高く突き出し、垂直性を志向する中世のゴシック建築を思わせる味わいがあります。
◆今渡発電所(関西電力)/可児市川合字西野~美濃加茂市
竣工:昭和14年(1939)
設計:佐藤四郎建築事務所
施工:間組
構造:RC造
撮影:2006/11/05
◆発電所正面(下流の新太田橋から撮影)
スリット状の縦長の窓と小さな半円アーチの窓の2段に分かれ、最下部に3つ1組の換気用の窓が4か所設けられています
上空に飛び出した柱で屋上が凸凹になっているのが良く分かります
◆発電所側面(可児市側)
上空に突出した柱が中世の城郭を思わせます