豊橋建築散歩 その2~豊橋市公会堂
ハリストス正教会のすぐ西側、豊橋市役所の南に豊橋市公会堂があります。
私の好みで言わせていただければ、三河地方に現存する数ある近代建築の中でも、スケール、様式美、ランドマーク性、保存活用状態、どれをとってもまさに特Aランクの名建築といえるでしょう。
公会堂はロマネスク様式と呼ばれる意匠の建物で、正面の列柱に連続するアーチや、上部のロンバルジアバンド、半円アーチの窓などが特徴です。
なかでも大階段の両脇には、四羽の鷲に囲まれたイスラム風の半球ドームを頂く階段室塔屋が設けられ、正面の連続する6本の列柱とあいまって見るものに圧倒的存在感を与えます。
とにかくこれぞ近代建築といえる見どころいっぱいの楽しい建物で、玄関ホールの交差ボールト天井や、階段室の有機的造形とステンドグラスなど、設計者のこだわりが満載です。
建物外壁は平成12年に改修工事を受け保存状態も良好、私の訪問時も「歌と踊りの祭典」を開催中で大勢の人が訪れていて、公会堂が市民に身近に親しまれている様子がよく分かります。
この公会堂をバックに八町通を路面電車が走る風景は、昭和初めにタイムスリップしたようで、昭和から平成、次の時代へと豊橋の原風景としていつまでも受け継がれていくことでしょう。
◆豊橋市公会堂/愛知県豊橋市八町通2-22
竣工:昭和6年(1931)
設計:中村與資平(中村工務店)
施工:松村組
構造:RC造3階
撮影:2011/10/09
※国指定登録有形文化財
公会堂正面
2階にある正面エントランスのコリント式オーダー
当時のまま残る鋳鉄製の面格子と門扉
エントランス脇の小窓とホールのボールト天井
大階段の下にある1階入り口
1階玄関脇にある案内板
2階ロビー
階段室はセセッションや表現主義の影響を感じさせるデザイン
貝や有機体を思わせる曲線はガウディの建築を連想させます
階段室丸窓のステンドグラス
ステンドグラスから2階玄関ホールを望む
建物東側
東側出入り口
創建当時の鷲の彫刻が取り外され建物脇に保存されています
建物北側
建物西側
イスラム風ドームの四隅に集う鷲たち