
11月12日、晩秋の筑波山を歩いてきました。
平日といっても人気の山です。ケーブルカーやロープウェイで行ける御幸ヶ原付近は、観光客で賑わっているはずです。
また、表登山道の御幸ヶ原コースや白雲橋コースも、混雑していることでしょう。
そこで、いつも空いている薬王院コースを、時間をずらして10時半過ぎから登ることにしました。
冒頭の写真は、登山開始前に筑西市の東石田付近で撮ったものです。
さて、先ずは大きな地図をご覧いただきましょう。

左上につくし湖(地図ではつくしこ調整池と記載)が見えます。この人工湖は、霞ケ浦の水を揚水して、農業、工業、上水道などに利用するために貯えるために造られました。
筑波山の下には、用水が流れるトンネル(地図には青色の破線で記載)もあります。意外とこのトンネルは知られていません。
そして、つくし湖からジグザクの車道を上がっていくと椎葉山薬王院があります(写真は下山後に撮影しました)。

いつもはつくし湖畔から登山道を歩くのですが、今回は車で薬王院まで来ました。
登山者用の駐車場は、すでに下山した人がいるので、登山口に近いところが空いていました。
では、薬王院から出発します。
単調な道を歩いていきます。
登山道脇にアオキ(ミズキ科アオキ属の常緑低木)の樹をたくさん見ますが、実をつけているものはひとつもありません。
実が熟すのはこれからですね。
30分余り歩くと標高420mで車道を横切ります。ここから傾斜がきつくなります。ここで上着を脱いで半袖になりました。

そしてしばらく進むと、このコースの名物の、780段の木段が現われます(数えたことはありません)。


ここは何度来てもきついです。救いはどこまで続くかを知っていることで、息を切らしながらもペースを維持して登れました。
途中でミヤマシキミ(ミカン科ミヤマシキミ属の常緑低木)の赤い実や、紅葉した樹木の葉を撮りながら進みました。

ミヤマシキミの実を鳥が食べないのはなぜでしょう?
実はミヤマシキミは樹木全体に毒があるのです。Wikipediaには次のように書かれています。
「有毒植物で葉、果実にアルカロイドのスキミアニンやジクタムニンがあり、葉に多く含まれる。誤食するとけいれんを伴う中毒を起こす」
野鳥は毒があることを知っているのでしょうね。
黄色い葉はヒメコウゾ(クワ科コウゾ属の落葉低木)かもしれません。

こちらはコアジサイ(ユキノシタ科アジサイ属の落葉低木)かもしれません。

オレンジ色に色づいた大きめの葉。ウリハダカエデのようです。keitannさんから教えていただきました。

木段を上がり切ると緩やかな道に変わります。落ち葉が敷き詰められた道を歩いていきます。

12時ちょうどに、自然研究路との分岐に着きました。四阿で昼食を摂りました。
昼食の後は、まだ残っているカエデの紅葉を探しながら散策。
こちらはオオモミジ(ムクロジ科カエデ属の落葉高木)のようでした。

モミジやカエデは、葉の大半が落ちてしまっています。

黄色く色づく葉も。keitannさんから「クロモジかもしれない」と教えていただきました。
緑色の枝に黒い汚れ模様が入ることや、葉の特徴はクロモジ(クスノキ科クロモジ属の落葉低木)と一致しています。

男体山の山頂に着きました。あまり人はいません。
西に向かって秩父方面です。霞がかかって遠望はききません。

東には霞ケ浦が見えました。

御幸ヶ原近くまで下りると、きれいなモミジに出会えました。
いずれもイロハモミジ(ムクロジ科カエデ属の落葉高木)のようでした。






keitannさんから「ヤブムラサキなら毛がいっぱいの茶色い額片が見える」ことから、ムラサキシキブではないかと教えていただきました。
山渓ハンディ図鑑のヤブムラサキの説明に「下部は毛が密生した萼片に包まれる」の記述もあります。
以上より、ムラサキシキブ(クマツヅラ科ムラサキシキブ属の落葉低木)に訂正させていただきます。

14時過ぎに下山して、その後はお決まりの桜川の近くで筑波山の全景を撮って帰りました。

おまけの写真は、その日の朝に撮ったイチョウ並木です。街路樹としては珍しく、イチョウの実がたくさん落ちていました。
紅葉は山より里の方がきれいになってきています。
