9月12、13日に吾妻連峰の西にある日本百名山の西吾妻山(にしあずまやま、標高2035m)から、東にある日本三百名山の一切経山(いっさいきょうざん、同1949m)までを縦走した。
これまで3回に亘り、1日目の様子をご覧いただいてきた。
・その①:グランデコスノーリゾートのゴンドラ(ロープウエイ)山麓駅から、山頂駅まで。
・その②:ゴンドラ山頂駅から西吾妻山まで。
・その③:西吾妻山から弥兵衛平小屋(明月荘)まで。
これから2回に亘り、2日目の様子をご覧いただきたいと思う。
・その④:弥兵衛平小屋(明月荘)から家形山まで。
・その⑤:家形山から浄土平駐車場まで。
<縦走全体の地図>
<今回(その④)歩いた範囲の地図>
■2日目(9月13日)
2日目の朝はまだ暗い中に目覚めた。1階でも人が動きだしたので、それに合わせて私たちも起床した。4時だった。
師匠のS氏は弥兵衛平の西にある明星湖へ散歩に行き、水も汲んでくるという。水場は明星湖とは逆の方向で、小屋から800m離れている。
師匠に私の2リットルの容器を預けて、私は朝食の準備をして待つことにしたが、特段手間がかかることはなかったので、明るくなりかけた頃合いで小屋の外に出てみた。
水場の方へ歩いて行くと、途中で戻ってきた師匠に出会った。朝日が昇る刻限だった。
下界はすべて雲海で隠され、朝日と空だけが輝いていた。
小屋へ戻る途中に観た、夜露を受けたアカモノの実や、シラタマノキの実がきれいだった。
こちらはムシカリの実。
東の空に何だか怪しげな積乱雲が出ていた。離れているので影響はなさそうだった。
朝食は、フランスパンにガーリックバターを塗り、チーズとスモークチキンを挟んで食べた。チーズは2種類を用意した。飲み物はコーヒーを淹れた。
小屋を出発したのは、計画より20分遅れて、6時20分だった。今日は計画に問題はなく、体調もよいので順調にいくことだろう。
いずれにしても天気は徐々に下り坂に向かうので、早めに下山した方がよいと話し合った。
小屋を出て、最初の山の東大巓(ひがしだいてん、標高1928m)に向かう。
東大巓に向かう途中、写真を撮ったのは、ミヤマアキノキリンソウの1枚だけだった。道脇の草やササが朝露で濡れていて、それがズボンにべったりついた。
6時53分、東大巓の山頂に到着した。この山も展望はなかった。
東大巓を後にして次の昭元山(しょうげんざん、標高1893m)に向かった。途中の稜線から、飯豊連峰がきれいに見えた。
途中の湿原では、キンコウカの草紅葉が鮮やかだった。師匠のS氏は湿原の風景を撮るため、私が先行した。
私も所々で立ち止まって写真を撮りながら進んだ。赤い実をつけていた植物は、タケシマラン(竹縞蘭、ユリ科タケシマラン属の多年草)のように思えた。
7時39分に昭元山に到着した。師匠は5分ほど遅れて着いた。
この山は北側に展望があった。地図で山座を同定しようと思ったが、正面に見える山が標高1723mの無名ピークで、それ以外の山の名は分からなかった。
昭元山を出たのは7時56分で、計画と比べて6分の遅延になっていた。
次の烏帽子山(えぼしやま、標高1879m)へは急登が続いた。登山道に大きな岩がゴロゴロしていて、時に倒木が道を塞いでいた。
写真を撮ることもなく登りに専念して、烏帽子山の山頂には8時33分に到着した。計画より3分の遅れになっていた。
山頂では西南側の展望があったので、吾妻山(標高1807m)、中吾妻山(同1931m)が見えた。
ここで小腹を満たし23分休憩し、次のニセ烏帽子山(にせえぼしやま、標高1836m)に向かった。烏帽子山を出たのは8時56分で、計画から6分の遅れになった。
ニセ烏帽子山まではほぼ平坦な道で、北側が切れていたが危ないところはなかった。ナナカマドが赤い実をつけていた。
ニセ烏帽子山には、計画より7分早く、9時13分に到着した。
ここで観たナナカマド(写真左)だが、このシリーズのその②でご覧いただいた、西吾妻山付近のウラジロナナカマド(写真右)、さらにタカネナナカマドと比べてみたい。
葉はいずれも互生である。ナナカマドとタカネナナカマドの鋸歯は葉の縁全体にある。一方、ウラジロナナカマドの鋸歯は葉の上半部だけにあり、下半部は全縁である。また、ナナカマドとタカネナナカマドの葉は先端が鋭く尖っているのに対し、ウラジロナナカマドの葉は先端にやや丸みがある。花(実)はナナカマドとウラジロナナカマドは上を向いてつくが、タカネナナカマドは下、または横を向いて垂れ気味につく。生育する標高は、標高が低い順に、ナナカマド、ウラジロナナカマド、タカネナナカマドである。
師匠のS氏は、兵子(ひょっこ、標高1823m)に行くため、ニセ烏帽子山を先に出発した。そして、家形山の山頂で待ち合わせることにした。
兵子は北に向かって眺めがよいらしい。師匠の踏力からすれば、私は家形山でそれほど待つことはないと思った。そこで、写真を撮りながらゆっくり歩いた。
左:エゾオヤマリンドウ。 右:ゴゼンタチバナ。
左:登山道に倒木があり、跨いだり回り道して進んだ。 右:左に進むと兵子。
左:堀田林道に通じる分岐。 右:ムシカリの実。
左:ミズバショウの群落。 右:家形山と書かれた標識(10時6分にここを通過した)。
五色沼、一切経山へ直接向かう道との分岐の標識(10時17分にここを通過した)。
今回はビデオを撮っていないことに気づき、家形山に向かう道でビデオを撮影した。
手ぶれが大きいが、ご容赦願いたい。
家形山の三角点には10時20分に到着した。当初の計画より10分早かった。ここでザックを下ろして師匠を待った。
その⑤ 家形山~浄土平 に続く。
縦走で踏破した主な峰
・西大巓(にしだいてん、標高1982m)
・西吾妻山(にしあずまやま、同2035m)
・凡天岩(ぼんてんいわ、同2004m)
・東大巓(ひがしだいてん、同1928m)
・昭元山(しょうげんざん、同1893m)
・烏帽子山(えぼしやま、同1879m)
・ニセ烏帽子山(にせえぼしやま、同1836m)
・家形山(いえがたやま、同1877m)
・一切経山(いっさいきょうざん、同1949m)
これまで3回に亘り、1日目の様子をご覧いただいてきた。
・その①:グランデコスノーリゾートのゴンドラ(ロープウエイ)山麓駅から、山頂駅まで。
・その②:ゴンドラ山頂駅から西吾妻山まで。
・その③:西吾妻山から弥兵衛平小屋(明月荘)まで。
これから2回に亘り、2日目の様子をご覧いただきたいと思う。
・その④:弥兵衛平小屋(明月荘)から家形山まで。
・その⑤:家形山から浄土平駐車場まで。
<縦走全体の地図>
<今回(その④)歩いた範囲の地図>
■2日目(9月13日)
2日目の朝はまだ暗い中に目覚めた。1階でも人が動きだしたので、それに合わせて私たちも起床した。4時だった。
師匠のS氏は弥兵衛平の西にある明星湖へ散歩に行き、水も汲んでくるという。水場は明星湖とは逆の方向で、小屋から800m離れている。
師匠に私の2リットルの容器を預けて、私は朝食の準備をして待つことにしたが、特段手間がかかることはなかったので、明るくなりかけた頃合いで小屋の外に出てみた。
水場の方へ歩いて行くと、途中で戻ってきた師匠に出会った。朝日が昇る刻限だった。
下界はすべて雲海で隠され、朝日と空だけが輝いていた。
小屋へ戻る途中に観た、夜露を受けたアカモノの実や、シラタマノキの実がきれいだった。
こちらはムシカリの実。
東の空に何だか怪しげな積乱雲が出ていた。離れているので影響はなさそうだった。
朝食は、フランスパンにガーリックバターを塗り、チーズとスモークチキンを挟んで食べた。チーズは2種類を用意した。飲み物はコーヒーを淹れた。
小屋を出発したのは、計画より20分遅れて、6時20分だった。今日は計画に問題はなく、体調もよいので順調にいくことだろう。
いずれにしても天気は徐々に下り坂に向かうので、早めに下山した方がよいと話し合った。
小屋を出て、最初の山の東大巓(ひがしだいてん、標高1928m)に向かう。
東大巓に向かう途中、写真を撮ったのは、ミヤマアキノキリンソウの1枚だけだった。道脇の草やササが朝露で濡れていて、それがズボンにべったりついた。
6時53分、東大巓の山頂に到着した。この山も展望はなかった。
東大巓を後にして次の昭元山(しょうげんざん、標高1893m)に向かった。途中の稜線から、飯豊連峰がきれいに見えた。
途中の湿原では、キンコウカの草紅葉が鮮やかだった。師匠のS氏は湿原の風景を撮るため、私が先行した。
私も所々で立ち止まって写真を撮りながら進んだ。赤い実をつけていた植物は、タケシマラン(竹縞蘭、ユリ科タケシマラン属の多年草)のように思えた。
7時39分に昭元山に到着した。師匠は5分ほど遅れて着いた。
この山は北側に展望があった。地図で山座を同定しようと思ったが、正面に見える山が標高1723mの無名ピークで、それ以外の山の名は分からなかった。
昭元山を出たのは7時56分で、計画と比べて6分の遅延になっていた。
次の烏帽子山(えぼしやま、標高1879m)へは急登が続いた。登山道に大きな岩がゴロゴロしていて、時に倒木が道を塞いでいた。
写真を撮ることもなく登りに専念して、烏帽子山の山頂には8時33分に到着した。計画より3分の遅れになっていた。
山頂では西南側の展望があったので、吾妻山(標高1807m)、中吾妻山(同1931m)が見えた。
ここで小腹を満たし23分休憩し、次のニセ烏帽子山(にせえぼしやま、標高1836m)に向かった。烏帽子山を出たのは8時56分で、計画から6分の遅れになった。
ニセ烏帽子山まではほぼ平坦な道で、北側が切れていたが危ないところはなかった。ナナカマドが赤い実をつけていた。
ニセ烏帽子山には、計画より7分早く、9時13分に到着した。
ここで観たナナカマド(写真左)だが、このシリーズのその②でご覧いただいた、西吾妻山付近のウラジロナナカマド(写真右)、さらにタカネナナカマドと比べてみたい。
葉はいずれも互生である。ナナカマドとタカネナナカマドの鋸歯は葉の縁全体にある。一方、ウラジロナナカマドの鋸歯は葉の上半部だけにあり、下半部は全縁である。また、ナナカマドとタカネナナカマドの葉は先端が鋭く尖っているのに対し、ウラジロナナカマドの葉は先端にやや丸みがある。花(実)はナナカマドとウラジロナナカマドは上を向いてつくが、タカネナナカマドは下、または横を向いて垂れ気味につく。生育する標高は、標高が低い順に、ナナカマド、ウラジロナナカマド、タカネナナカマドである。
師匠のS氏は、兵子(ひょっこ、標高1823m)に行くため、ニセ烏帽子山を先に出発した。そして、家形山の山頂で待ち合わせることにした。
兵子は北に向かって眺めがよいらしい。師匠の踏力からすれば、私は家形山でそれほど待つことはないと思った。そこで、写真を撮りながらゆっくり歩いた。
左:エゾオヤマリンドウ。 右:ゴゼンタチバナ。
左:登山道に倒木があり、跨いだり回り道して進んだ。 右:左に進むと兵子。
左:堀田林道に通じる分岐。 右:ムシカリの実。
左:ミズバショウの群落。 右:家形山と書かれた標識(10時6分にここを通過した)。
五色沼、一切経山へ直接向かう道との分岐の標識(10時17分にここを通過した)。
今回はビデオを撮っていないことに気づき、家形山に向かう道でビデオを撮影した。
手ぶれが大きいが、ご容赦願いたい。
家形山の三角点には10時20分に到着した。当初の計画より10分早かった。ここでザックを下ろして師匠を待った。
その⑤ 家形山~浄土平 に続く。
縦走で踏破した主な峰
・西大巓(にしだいてん、標高1982m)
・西吾妻山(にしあずまやま、同2035m)
・凡天岩(ぼんてんいわ、同2004m)
・東大巓(ひがしだいてん、同1928m)
・昭元山(しょうげんざん、同1893m)
・烏帽子山(えぼしやま、同1879m)
・ニセ烏帽子山(にせえぼしやま、同1836m)
・家形山(いえがたやま、同1877m)
・一切経山(いっさいきょうざん、同1949m)
朝日と雲海の光景、最高ですね!
泊まりの登山だからこそですね。
アカモノの赤と、シラタマノキの白も紅白めでたいです。
朝ごはんのフランスパンにガーリックバター、コーヒーにスモークチキン、なんてオシャレ!
食べたくなりました。
沢山の峰ですが、アップダウンはそれほどないと伺い、安心しました。
稜線を行くのは、お写真拝見してるだけでも気持ちよさそうです(^^)
それにしても、師匠と仰るだけあって、S氏はタフでいらっしゃいますね〜
山で泊まる良さは、日の出と満天の星空を観られることです。
この朝は雲海から昇る朝日を観ることができました。
一方、星は夜早く寝たので夕方の空は観ていませんが、朝方オリオン座が見えていました。
まだ明るい月が残っていて、小さな星までは見えませんでしたが、都会では観ることができない星空でした。
前夜の夕食がカロリー重視だったので、この日の朝食はタンパク質が豊富なメニューにしました。
本当は逆の方がよかったかもしれませんが、作る手間を思うとこうなりました。
師匠のS氏は、以前も書きましたが山のベテランです。
ヒマラヤの未踏峰を始め、国内外の岩場をたくさん登っています。
歩く速さも凄いですが、バランス感覚の良さは真似できません。
アカモノの赤と、シラタマノキの白に、
見入りました(@_@)
見事な紅白ですね^^
師匠さんと別行動とは、こういうそれぞれの目標を持って楽しむ山旅、お二人がベテランだからですよね
烏帽子山、まさに烏帽子、
そして、朝焼け、
高原ならではの景色と不思議な雲、
高度があるからの景色、
写真から、楽しませていただいています。
詳しい説明とともに、ありがとうございます^^
おはようございます。
山の朝は素晴らしいですね!
雲海から昇ってきたご来光に向かって今日の無事をお願いする。
皆さん出発が早いですから、その後はバタバタですね。
朝の苦手な私でも山の朝は早く目覚めました。
動画はやはりいいですね。
山を歩いている雰囲気がよく伝わります。
リンドウがずっと続いていることもよくわかりました。
アカモノの赤と、シラタマノキの白。ふたつ並んで生えていました。
どちらもツツジ科シラタマノキ属の常緑小低木で、生える環境も似ていますね。
ちなみにシラタマノキは、シロモノの別称もあります。
今回、師匠に説明するため、シラタマノキの果実をひとつ(二人でふたつ)口に入れました。
久しぶりにサリチル酸のフレーバーを楽しみました。
烏帽子山の登りは急でした。
地図で見ても等高線が込み入っています。
しかも大きな岩がゴロゴロして、所々倒木もあって苦労しました。
その分、山頂からの眺めは絶品で、師匠と地図を見ながらゆっくり山座同定を楽しみました。
コメントありがとうございます。
台風の影響で風雨が強いです。標高が高い木曽ではさぞかし吹いたことでしょう。
ご無事で何よりです。
さて、山では早寝早起きです。
せっかく山中で泊まったのだから、日の出を観ない手はありません。
この日も日の出が見えるところまで行って観ました。
何度観ても神々しいものです。
よい一日のスタートが切れました。
昨夜は凄い風でシャッターがガタガタいってうるさかったです。
さて今回は弥兵衛平小屋から家形山までですね。
雲海から登る朝日が素晴らしいです。
山ならではの楽しみですね。
アカモノとシラタマノキは葉もそっくりと思ったら、属も同じなんですね。
湿原の草黄葉が綺麗です。
烏帽子山へは等高線が混んでいて、急な登りと分かります。
ナナカマドも標高が上がるにつれて種類が違って来るんですね。
動画は流石に臨場感があります。
リンドウがいっぱい咲いた道を歩かれましたね。
最初は計画より遅れていた時間も、家形山に着いたときは10分も早くなっていて、感心しました。
明日また続きを見せて下さい。
鋸歯だけではナナカマドかタカネナナカマドか迷うことがありますが、花(実)の付かたの違いを教えて頂きましたので、間違わないと思います。
動画を拝見しました。手振れどころか身体が上下左右に揺れておらず安定してます。
私は木道を歩くときスマホで撮してみたことがありますが、揺れが酷くて見にくかったです。
この時間になってようやく風が収まりました。今日はめまぐるしく天気が変わりましたね。
さて、朝日が昇るのを観るのは、山で泊まった際の楽しみの一つです。
この日は福島県と山形県に霧の予報が出ていました。恐らく雲海の下は霧だったのでしょうね。
幸い山の上はよく晴れて、日の出を観ることができました。
アカモノとシラタマノキは同属で、花も似ています。でも実がつくと違いは一目瞭然です。
赤い実がつく木に、コケモモがあります。アカモノによく似ていますが、見慣れると葉の違いで分かります。
この山ではコケモモは見ませんでしたし、アカモノも少なかったです。
動画は、もっと広々としたところで撮ればよかったと思います。
リンドウがたくさん咲いていたので、それを撮りました。
計画は歩いている時間はコースタイムを基に、それに休憩時間を加味して作りました。
結果的に、2日目はこれまでの通り計画通り歩いています。
まるで、インターハイの登山競技みたいです。
ナナカマドについて、昨年も同じような記事を書きましたが、ちょうど2種類が実をつけていたので復習しました。
花(実)の付き方については、昨年の記事には入っていなかったかもしれません。
ウラジロナナカマドは、葉の裏側が白いので、それでも分かります。
動画を褒めていただき、ありがとうございます。
体の前にカメラを構えて、まっすぐ歩きながら撮りました。
もっとゆっくり歩けばよかったと思います。
これからも時々動画を交えてご覧いただこうと思います。