花と野鳥と、虫もいっぱいだった高妻山ハイキング - その① からの続きです。
滑滝を登り終えると、登山道は沢を詰めていく。
そして、どの沢詰めでも最後に尾根に出るには急登が待っている。ここもその例外ではなかった。
先ほどの滑滝から、その様子がうかがい知れていた。
沢の奥には、大きな一枚岩が待っていて、滝が流れ落ちるのが見えた。この一枚岩は帯岩と呼ばれていて、滝には不動滝の名がついている。
登山道は、この帯岩の上をトラバースする、このコース随一の危険個所だ。
でもその前に、沢を詰めたところにお花が咲いていたので、それを見て落ち着こう。
久しぶりに見たので名前を思い出せなかったが、ノビネチドリ(ラン科テガタチドリ属)のようだった。
この植物は、先ほど観たオククルマムグラとは違い、7枚の葉が輪生している(オククルマムグラは必ず6枚)。クルマバソウ(アカネ科ヤエムグラ属)のようだ。
こちらも、カラマツソウではなく、ミヤマカラマツ(キンポウゲ科カラマツソウ属)のようだ。僅かに標高を上げていくだけで、植生が変わっていくのが面白い。
さて、いよいよ帯岩のトラバースである。落ちたら大けがが免れないので、鎖からは手を離せない。
50mほどのトラバースを終えると、このコース最後の水場となる氷清水が待っていた。とても冷たく、美味しい水だった。ボトルにこの水を満たした。
水場の先に白い花が咲いていた。2種類の花が咲いている。ミヤマハタザオ(アブラナ科シロイヌナズナ属)とズダヤクシュ(ユキノシタ科ズダヤクシュ属)のようだ。
黄色い花も咲いていた。初めて観るが、オオダイコンソウ(バラ科ダイコンソウ属 )のようだ。
そして、ニリンソウ(キンポウゲ科イチリンソウ属)の群落が現れた。
ニリンソウを見た後、すぐに戸隠山縦走路との分岐に当たる一不動に着いた。時刻はすでに6時56分になっていて、計画より30分近く遅れていた。
一不動にお参りする。
近くフウロソウの仲間と、ヤマオダマキが咲いていた。このフウロソウの仲間は、シロバナタカネグンナイフウロ(フウロソウ科フウロソウ属)というようだ。初めて観る花だった。
こちらはお馴染みのゼンテイカ(ワスレグサ科ワスレグサ属)だ。shuのプロファイル写真にも使わせていただいている。
今年初めてゼンテイカを観た。
続いてはアザミの仲間だ。アザミの仲間は種類が多く、調べ切れていない。
ハクサンチドリ(ラン科ハクサンチドリ属)も現れた。この山には、なんとラン科の植物が多いことだろう。
樹木ではベニサラサドウダン(ツツジ科ドウダンツツジ属)がたくさんあって、どの樹もたくさんの花を咲かせていた。
たくさん写真を撮ったが、載せるのは1枚にしておこう。
道ばたにマイヅルソウ(キジカクシ科マイヅルソウ属)が現れた。この花が見られると、ゴゼンタチバナやツマトリソウも咲いていることが多い。
おっと、イブキジャコウソウ(シソ科イブキジャコウソウ属)が咲いていた。この山は高山植物の見本園のようだ。
続いては、大好きなアカモノ(ツツジ科シラタマノキ属)。この後道ばたにアカモノが先並ぶアカモノロードも出てくるが、先ずは最初に撮った写真だ。
こちらはミヤマクワガタ(オオバコ科クワガタソウ属)で、戸隠山で産したものが基本標本となっている。
いよいよゴゼンタチバナ(ミズキ科ミズキ属)が現れた。後ほど群落の様子もご覧いただくが、先ずは最初に撮った写真だ。
こちらはゼンテイカの群落。
実は、この辺りで雨が強くなり、雷も聞こえてきたので、森の中で一時雨宿りした。撤退するにしても五地蔵山まで進み、弥勒新道を下山するしかない。
幸い雷は遠ざかり、雨も弱くなった。
ヨツバシオガマ(ハマウツボ科シオガマギク属)だ。この後、道端にたくさん咲いていた。
こちらはウスユキソウ(キク科ウスユキソウ属)のようだ。実は、花が開く前のウスユキソウを観るのは初めてだった。現在の分類では、ミネウスユキソウはウスユキソウと同一種とされている。
こちらは、咲き始めたばかりのウラジロヨウラク(ツツジ科ヨウラクツツジ属)のようだ。
三文殊まで来た。祠の前で帽子を取り、一礼して通過した。二釈迦は気づかずに通り過ぎたようだ。お釈迦様に申し訳ない。
イワカガミ(イワウメ科イワカガミ属)が現れた。
ユキザサ(キジカクシ科マイヅルソウ属)のようだ。
ゴゼンタチバナの群落だ。この後、道端にマイヅルソウやゴゼンタチバナが咲き並んでいた。
再びゼンテイカの群落だ。雨は上がっても、霧は晴れない。
数は少ないが、ヤマツツジ(ツツジ科ツツジ属)も咲いていた。
ナナカマド(バラ科ナナカマド属)も所々で観られた。
四普賢まで来た。このまま晴れてくれるとよいのだが。
ツマトリソウ(サクラソウ科ツマトリソウ属)が現れた。数は多くないが、この後も所々で咲いていた。
そして、図鑑で見覚えのある、希少種のランが突然現れた。しかも固まって咲いていた。キバナノアツモリソウ(ラン科アツモリソウ属)だ。
実物を観るのは初めてだった。
ずいぶんお花を観てきたが、記事が長くなったので、続きは明日とさせていただきたい。
花と野鳥と、虫もいっぱいだった高妻山ハイキング - その③ に続く。
2022/06/27
滑滝を登り終えると、登山道は沢を詰めていく。
そして、どの沢詰めでも最後に尾根に出るには急登が待っている。ここもその例外ではなかった。
先ほどの滑滝から、その様子がうかがい知れていた。
沢の奥には、大きな一枚岩が待っていて、滝が流れ落ちるのが見えた。この一枚岩は帯岩と呼ばれていて、滝には不動滝の名がついている。
登山道は、この帯岩の上をトラバースする、このコース随一の危険個所だ。
でもその前に、沢を詰めたところにお花が咲いていたので、それを見て落ち着こう。
久しぶりに見たので名前を思い出せなかったが、ノビネチドリ(ラン科テガタチドリ属)のようだった。
この植物は、先ほど観たオククルマムグラとは違い、7枚の葉が輪生している(オククルマムグラは必ず6枚)。クルマバソウ(アカネ科ヤエムグラ属)のようだ。
こちらも、カラマツソウではなく、ミヤマカラマツ(キンポウゲ科カラマツソウ属)のようだ。僅かに標高を上げていくだけで、植生が変わっていくのが面白い。
さて、いよいよ帯岩のトラバースである。落ちたら大けがが免れないので、鎖からは手を離せない。
50mほどのトラバースを終えると、このコース最後の水場となる氷清水が待っていた。とても冷たく、美味しい水だった。ボトルにこの水を満たした。
水場の先に白い花が咲いていた。2種類の花が咲いている。ミヤマハタザオ(アブラナ科シロイヌナズナ属)とズダヤクシュ(ユキノシタ科ズダヤクシュ属)のようだ。
黄色い花も咲いていた。初めて観るが、オオダイコンソウ(バラ科ダイコンソウ属 )のようだ。
そして、ニリンソウ(キンポウゲ科イチリンソウ属)の群落が現れた。
ニリンソウを見た後、すぐに戸隠山縦走路との分岐に当たる一不動に着いた。時刻はすでに6時56分になっていて、計画より30分近く遅れていた。
一不動にお参りする。
近くフウロソウの仲間と、ヤマオダマキが咲いていた。このフウロソウの仲間は、シロバナタカネグンナイフウロ(フウロソウ科フウロソウ属)というようだ。初めて観る花だった。
こちらはお馴染みのゼンテイカ(ワスレグサ科ワスレグサ属)だ。shuのプロファイル写真にも使わせていただいている。
今年初めてゼンテイカを観た。
続いてはアザミの仲間だ。アザミの仲間は種類が多く、調べ切れていない。
ハクサンチドリ(ラン科ハクサンチドリ属)も現れた。この山には、なんとラン科の植物が多いことだろう。
樹木ではベニサラサドウダン(ツツジ科ドウダンツツジ属)がたくさんあって、どの樹もたくさんの花を咲かせていた。
たくさん写真を撮ったが、載せるのは1枚にしておこう。
道ばたにマイヅルソウ(キジカクシ科マイヅルソウ属)が現れた。この花が見られると、ゴゼンタチバナやツマトリソウも咲いていることが多い。
おっと、イブキジャコウソウ(シソ科イブキジャコウソウ属)が咲いていた。この山は高山植物の見本園のようだ。
続いては、大好きなアカモノ(ツツジ科シラタマノキ属)。この後道ばたにアカモノが先並ぶアカモノロードも出てくるが、先ずは最初に撮った写真だ。
こちらはミヤマクワガタ(オオバコ科クワガタソウ属)で、戸隠山で産したものが基本標本となっている。
いよいよゴゼンタチバナ(ミズキ科ミズキ属)が現れた。後ほど群落の様子もご覧いただくが、先ずは最初に撮った写真だ。
こちらはゼンテイカの群落。
実は、この辺りで雨が強くなり、雷も聞こえてきたので、森の中で一時雨宿りした。撤退するにしても五地蔵山まで進み、弥勒新道を下山するしかない。
幸い雷は遠ざかり、雨も弱くなった。
ヨツバシオガマ(ハマウツボ科シオガマギク属)だ。この後、道端にたくさん咲いていた。
こちらはウスユキソウ(キク科ウスユキソウ属)のようだ。実は、花が開く前のウスユキソウを観るのは初めてだった。現在の分類では、ミネウスユキソウはウスユキソウと同一種とされている。
こちらは、咲き始めたばかりのウラジロヨウラク(ツツジ科ヨウラクツツジ属)のようだ。
三文殊まで来た。祠の前で帽子を取り、一礼して通過した。二釈迦は気づかずに通り過ぎたようだ。お釈迦様に申し訳ない。
イワカガミ(イワウメ科イワカガミ属)が現れた。
ユキザサ(キジカクシ科マイヅルソウ属)のようだ。
ゴゼンタチバナの群落だ。この後、道端にマイヅルソウやゴゼンタチバナが咲き並んでいた。
再びゼンテイカの群落だ。雨は上がっても、霧は晴れない。
数は少ないが、ヤマツツジ(ツツジ科ツツジ属)も咲いていた。
ナナカマド(バラ科ナナカマド属)も所々で観られた。
四普賢まで来た。このまま晴れてくれるとよいのだが。
ツマトリソウ(サクラソウ科ツマトリソウ属)が現れた。数は多くないが、この後も所々で咲いていた。
そして、図鑑で見覚えのある、希少種のランが突然現れた。しかも固まって咲いていた。キバナノアツモリソウ(ラン科アツモリソウ属)だ。
実物を観るのは初めてだった。
ずいぶんお花を観てきたが、記事が長くなったので、続きは明日とさせていただきたい。
花と野鳥と、虫もいっぱいだった高妻山ハイキング - その③ に続く。
2022/06/27
想像以上に険しい道、しかも雨。
素人から見たら、よくぞご無事で‥という感じです。
それでもこれだけたくさんの高山植物が次から次へと現れたら、嬉しいですね!!
人は他に誰もいないのでしょうか?
独り占めですね!
アツモリソウすら見たことがないのに、キバナノアツモリソウですか。
一気に疲れが取れそうな光景。
予定時間遅れても、写真は撮り逃したくないですよね。
それにしても、1、2ヶ月は花が遅いですね。
まだまだありそうな気配。
続きが楽しみです!
こんなに咲いているとシャッターばかりで、
私だとかなり進むのが遅くなりそう^^;
下界では、見ること無い、貴重な花ばかり、
shuさんも、初めてと書かれているのもたくさんあったんですね。
ノビネチドリ、
チドリと聞くと、チドリソウを思い浮かぶますが、
全く違う、見てみたいです。
ミヤマカラマツ、ミヤマハタザオ、
可愛い花たち、
深山を感じる花たち、そして、高山なのも感じます。
ニリンソウ、
えぇぇ~またえぇぇ~ですが、今時期に、
ニリンソウ、やはり気温が低いんですよね(@_@)
シロバナタカネグンナイフウロ、
キバナノアツモリソウ、
まさに高山植物を感じます。
フウロソウ属を感じる、花後ですね^^
アツモリソウと言うと、見た目微妙なんですが、
こうして山でみると、貴重な花だと、
気持ちの変わる、単純な私です^^;
貴重な花々、たくさん見せていただき、
ありがとうございます^^
おはようございます。
いかにも滑りそうで怖い名前がついていますね。
雨ですので、普段よりなお危険が一杯だったのでしょうね。
それにしても高山植物の宝庫ですね。
知っているお花の名前もありますが、ほとんど知らない花ばかりです。
完全に登山なのにshuさんにはハイキング程度なのがすごい!
尾根に出る急登にさしかかる写真は迫力があります。
ここを登ると、帯岩の上をトラバース。
ここで、花をを見て気持ちを落ち着かせるのですね。
テニスのショットでも同じですが、一呼吸は大切です。
ボールを、引き付けて溜めを入れショットする。
これがミスショットを防ぐ一番の秘訣ですね。(^.^)
鎖から手を離せば大けがは免れない。
読むだけで、手から汗が出ます。
shuさんでも初めての珍しい高山植物が見つかりました。
また、そのほか沢山の高山植物が見ることができました。
タイトル通り、花と野鳥と虫もいっぱいの高妻山ですね。
雨で濡れていたでしょうに、よくぞご無事で。
なんて沢山の高山植物!
お写真はまるで図鑑のようですね。
知っているお花はほんの少ししかありません。
流石はshuさん、よくご存じですね。
とてもじゃないけど覚えられません。
天気が悪い中、よく写真を撮られましたね。
晴れていたらどんなにか綺麗だったことでしょう、と言っても仕方ありませんが。
shuさんのプロフィールのゼンテイカもありましたね。
野鳥と虫もいっぱいとか。
続きを楽しみにしています。
私には、ハイキングではありません登山です。
それにしても沢山の花を丁寧に撮影し、解説されておりますね、花日記の面目躍如たるものがあります。
観たことのないキバナノアツモリソウを図鑑で確認したら基準標本は戸隠山とありましたので、たくさん生育していそうですね。
オオダイコンソウも観たことありません。ミヤマダイコンソウの葉と明らかに違いますので、見落としているとは思いませんが、これからは注意して観察します。
私はこれまで、ノビネチドリをハクサンチドリと間違えていたかもしれません、テガタチドリも含めしっかりと区別しなくちゃ。
タカネグンナイフウロの白花品は少ないのかと思います、珍しい花に出会うことが出来て良かったですね。
その③には虫が登場するのでしょうか?
私の手足には先週焼石岳で虫に刺された跡が残り、まだ痒いです。
虫、嫌です(笑)
帯岩を通り一不動までのコースは、修験の山として知られる戸隠山の登山道(主に下りに使う)でもあります。
修験者や登山の上級者は、このコースをすいすいと下りていくのでしょうね。
高妻山に登る登山者は、ここを主に登りに使います。中にはここを避けて弥勒新道を往復する人もいますが、これだけのお花が見られないのは残念ですね。
さて、先ほど山歩きさんから、キバナノアツモリソウの基準標本が戸隠山だと教えていただきました。
今回、私が見たのは1ヶ所だけでしたが、昔はもっと数多く咲いていたのかもしれません。
ちなみに戸隠山は、山と渓谷社が選んだ、決定版・花の百名山に選ばれています。
ここで発見された、トガクシショウマという花が有名ですが、今では幻の花になっているのかもしれません。
明日は、標高が2000mを越えますので、見られるお花の種類がまた変わります。
どうぞ、お楽しみくださいませ。
高妻山にこんなにたくさんの種類のお花が咲いているとは、私も知りませんでした。
登山者の日記を読んでいても、こんなにたくさんのお花は出てきません。
私は凄くいい時期に登ったようです。
残念だったのは、雨でレンズに水滴がついたまま、気づかずに撮った写真が多いことです。
私自身、毎回レンズの水滴を拭く余裕がなかったと思います。
希少種のキバナノアツモリソウにしても、正面からの写真は撮らず仕舞いでした。
もし、これらのお花を目的に登るのなら、高妻山ではなく五地蔵山を目的にして、時間に余裕を持って周回してもよいように思います。
実は今回も、五地蔵山で引き返すことも考えました。雷が鳴り出したころのことです。
幸い天気が回復し(晴れはしませんでした、雨が止みました)、高妻山まで登れました。
明日は、山頂までの様子をご覧いただこうと思います。
滑滝は固有名詞ではないと思います。でも、このコースには滑滝は一つしかないので、ここを指します。
一方、帯岩は固有名詞だと思います。とても大きな一枚岩です。
仰るとおり、雨なので、岩も土も滑りました。特に下りはよく滑りました。
高山植物は、これからまだまだ出てきます。
雨が上がったら、虫もわんさか出てきました。
こんなに虫の多い山も、珍しいかもしれません。
テニスの一呼吸ですか? そうですね、サーブを打つ前には一呼吸入れますね。
さて、鎖から手を離しても、落ちなければ大丈夫です。
帯岩は登山道の下が僅かに草が生えていて、その下は大きな一枚岩で落差があります。
もし落ちれば大けがは免れないので、鎖から手を離せません。
歩きながら動画を撮ろうかと思いましたが、馬鹿なことは止めました。
これからの道も花がいっぱいです。
花が咲けば虫がいるのは当たり前ですが、こんなに虫が多い山は初めてでした。