「陶子さん、僕、離婚しました」「えっ?それで髪切ったの?」
なんともまぬけな切り返し。だけど、仕事の合間にそんな重大なこといきなり言われたら、どう応えたらよいものか。一瞬にしていろんな思いが頭の中をグルグル巡って、結局冗談ぽく返してしまいました。
どうしてそこに至ったのか、話し込む場面でもなくて、でも誰でも良いから聞いて欲しかったのかな。
泣き笑いのような複雑な表情の彼のことを今、家に帰ってきて思い出して、なんだかやるせない気持ちでいます。
離婚するカップルはこのご時勢、そんなに珍しくもなくなりました。
だけど、あえていうなら、お互い惚れて一緒になったのだから、相手のいやなところも受け止めてあげようよ。って思うのです。
いつまでも新婚のままでなんていられない。二人だけの問題じゃなくてお互いの両親や親戚づきあいとかいろいろ受け容れがたいことも出てきたりして、けんかしちゃったりすることもあるしね。
夫婦のあいだにしかわからないこともあるし。よそと比べることじゃないのよ。他から見て変わってるねって思われても、当人同士がよければそれでいいの。二人だけのオリジナルのルール。そのうち何十年も経って笑い話になったりね。
今だけが全てじゃないのですよ。
冒頭の彼は今とても辛いんだろうな。乗り越えるのは彼自身。
みんなそれなりに年齢を積めば、何かしら背負って生きている。