素振りブログ。

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面白かったですよ。

2015年04月28日 23時22分28秒 | 日記
寄生獣劇場版の完結編、見てきました。

結論からいいますと。面白かったです。
色々と原作と違うところありましたけど。

例えば、ヒロインの村野里美が、シンイチ君がパラサイトに寄生された、常人とは違う存在であることを知っていること。

パラサイトを産んだのは、地球の意思ではなく、人間の意志だったこと。

最強パラサイト・後藤が、ダイオキシンではなく、高濃度放射性廃棄物で倒されること。


原作だとさ、ヒロインの村野里美、シンイチが何か抱えていることを気づいてはいるものの、本当のところは分からない状況だったわけじゃないですか。
そこが映画だと、後藤に追われて逃げ惑ってる最中、ミギーを失い右手を失った状態で、二人肌を合わせるシーンが入るので、具体的にシンイチが何を抱えていたのかをまず間違いなく里美は気づくわけです。
(むしろ、そこで気づけないなら、里美の知能がヤバイ状態)

おかげさんでね。

色々とプラスアルファがあるわけですよ。

例えば、種付けが終わって(おい)シンイチが自分の腕にミギーの細胞がまだ残ってることに気づくんですけど。
原作だと、ミギーの残滓が残ってることをですね、ただ喜ぶわけですが。

映画だと「このままだと後藤に探知されて、二人とも殺されてしまう!」と、村野を逃がすために、即行動を開始するんですわ。
殺されてしまうなら、俺だけでいい、って。

ここんとこ、種付けが終わって、自分の種を抱えたメスを全力で守ろうとするオスって感じで。
かなりグッときましたね。

寄生獣、人間だって動物の一種だ、地球環境を形作る役者の一人なんだ、という事実が重要なポイントなわけじゃないですか。

生物として見たらさ、シンイチ君の行動は理にかなってるわけですよ。
高い確率で自分が死を迎えるのであれば、そこは受け入れて、自分の子供を孕んでいるかもしれない女を、何が何でも守り抜こう、っての。
生物の生きる目的って、自分の子孫を残すことですしの。

で、後藤を奇跡的な流れで撃退することに成功したシンイチ&ミギー。

クライマックス、瀕死の後藤のボディを破壊するかそうしないかの選択。

原作だと、1回「俺にそんな選択をする資格は無い、神の判断に任せよう」と、放置しようとして。
後から思いなおして、後藤のボディを破壊するわけじゃないですか。
人間の身勝手を詫びながら。

映画だと、この思いなおしたのがなんでなのか?
それが想像できるつくりになってたのが良かったですね。

放置を決めかけたときにですね、焼却炉での戦いを見守ってた村野の存在に気づくんですわ。
映画だと。

で、きっと思ったわけです「そうだよな。資格がなくても、仮に後藤が蘇生に成功してしまった場合、その後の後藤の行動で、誰か命を落とすものが居たら、それは後藤を殺さなかった自分の責任だ。その命を落とす誰かが、お前の愛する彼女で無いって保障は無いんだぞ」と。

言葉では語られて無いけど、構図でね、そういう心の問答があったのは分かるので。いい改変です。
あと、村野がシンイチの秘密に気づいているせいで、ラストの浦上との問答に深みが出てたと思います。
シンイチ君がパラサイトもちだと気づいてて言う「化け物はアンタよ」と、具体的にどう常人と違うのかは知らないけど、何かとんでもない秘密を抱えていると薄々勘付いているだけの「化け物はアンタよ」は、深みが違いますよね。

前者は、人間の本質に気づいているんだな、と思えるけど、後者はその場のノリで発した台詞とも受け取れますし。


他には。
最強パラサイトの後藤をですね、シンイチ君はゴミの焼却場で迎え撃つわけです。村野を守るためにたった一人で。映画だと。
原作だと山の中でしたが。

この改変、動きのある実写映画と言う事情に合わせた良い改変だと思いましたよ。

こっちの方が派手だし、人間による環境汚染の恐ろしさというテーマにも、マッチした変更です罠。

そして最後の戦いの最中、後藤がいうわけです。

「我々に<この種を食い殺せ>と命じたのは地球じゃない。人間だ」

……正直、これには唸りましたね。

人間が増えて一番困るのは、地球の他の生物じゃない。
人間だって。

……事実、そうですしね。
人間が増えると、養う人数が増えるし。
でも、土地、生み出される富には限界が。
だったら、人間の数の方を弄るしか。

原作で語っていたテーマを、一歩踏み込んだようで。
いい改変だったと思います。

で、決め手。
原作だとダイオキシンでしたけど、映画だと高濃度の放射性廃棄物。
……変な話かもしれないけど、今だとダイオキシンだとパンチがね、弱いですしね。
この改変に関しては正直、ちょっと答えに困ったですわ。