思惟石

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宮下奈都『羊と鋼の森』しあわせな物語!

2020-02-21 12:05:14 | 日記
話題になりましたね〜。
宮下奈都『羊と鋼の森』です。
世の中のブームとは少々時差がありますが、
ようやく読みました。

第13回本屋大賞(2016)
第4回ブランチブックアワード大賞(2015)
第13回キノベス!(2016)
で第1位。三冠達成!

ほへぇ〜すごいな!!

というわけで読んだらすごい良かった。
グッときた。

調律に魅せられた青年の成長物語が
静かなトーンでつづられます。
するする読めて、しみじみ沁みる。

主人公の外村(とむら)くんの語りで、
淡々と、粛々と、訥々と、調律の仕事との出会いから
就職して数年までの、迷いとか学びとかが描かれます。

山育ちの外村くんは、ピアノの音の向こう側に
「森」が見える予感を持っているけれど、
その風景は人によって違うみたいです。
ふたごは「水」に例えたり。
そういう言葉にするのは難しいことを、
登場人物たちがみんなマジメに考えて、誰かに伝えようと
頑張って比喩にしたり、会話に食らいついたりするのが、
すごく好感。

物語のなかに大事件とか、覚醒レベルの成長とかはない。
ふんわりとした大きなものに真摯に向き合う外村くんの、
5年間くらい(?)の日々。

個人的には、10代で一生ものの仕事に出会えた外村くんは
とても幸せな人だと思います。
彼は今後の人生も、当たり前のように、
調律師を「諦める」という選択肢を持つことなく
前を見ながら粛々と歩んでいくのでしょう。
うらやましい。

ジブリの『風立ちぬ』(原作は未読)を観たときの、
二郎さんはすごく幸せな人でうらやましいと思ったときの
感情に似ている。
こんなふうに生きられたらいいな、と思います。
コメント
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