思惟石

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『時の子供たち』王道かつ強いSF作品

2022-03-28 13:55:19 | 日記
『時の子供たち』
エイドリアン・チャイコフスキー
内田昌之:訳

ザ・SF〜!という感じのSFです。
満足である。

進化したテクノロジーの末に自滅した人類。
その後の数千年後から、何世代にも渡る壮大な物語。

古代人類がテラフォーミングした惑星で、
独自の進化を遂げた「蜘蛛」。
地球の滅亡から、安住の地を求めて彷徨う最後の人類。
ふたつの生物の物語が並走し、最後に惑星を求めてかち合う。

王道的な構成かもしれないけれど、とにかく「蜘蛛」の進化がおもしろい。
「蜘蛛」の進化と文明の歴史が主人公といっても過言では無いくらいです。

基本は蜘蛛なので、コミュニケーション方法も
独特(糸と振動)な進化をします。
というわけで、人類とニアミスしつつも、
お互いに意思の疎通が図れるようには、なかなかならない。
おお、まどろっこしい。

惑星の衛生軌道上には、蜘蛛たちの保護者(?)的な
古文明の生き残り(肉体はもうない)のカーン博士が存在するのだけど。
蜘蛛には人間の言葉が通じないし、蜘蛛は思うように進化しないし、
なんなら「猿」だと思ってたのに「蜘蛛」かよ!と遅まきながら気づくし、
という。
真面目でド直球なSFなのだけど、ちょっと笑える。

読んでいる間中、手塚治虫の『火の鳥 未来編』の、
なめくじが進化するエピソードを思い出していました。
猿や人類が常に知的生命体としてのトップに君臨するはずない、
というのって、意外な盲点だなあと思って。
コメント
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